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「臨時情報」に97.2%が混乱、南海トラフに備える

2024.10.01

Updated by WirelessWire News編集部 on October 1, 2024, 12:40 pm JST

過去、100-150年ほどの間隔で繰り返し起きてきたと言われる南海トラフ沿いの大地震。この歴史的事実自体は多くの人に知られているが、実はその地震が次に予測されたときに社会で何が起こるかは、意外と知られていない。不確実な地震予測の下で、自由な市民生活を営み続けることの大切さを静岡新聞社編集局社会部長の鈴木誠之氏が著す。

2019年5月から本運用の「臨時情報」とは?

4月中旬、「南海トラフ地震臨時情報(以下、「臨時情報」)」が話題になった。「臨時情報」は2019年5月から本運用が開始された新しい仕組みで、南海トラフ地震の可能性が通常より高まったと考えられる場合に気象庁が発表する。

4月17日は、南海トラフ地震の震源域付近の豊後水道でM6.6の地震が発生し、「あわや『臨時情報』が発表されるところだった」と注目された。一方で「臨時情報」そのものの認知度不足と、実用の難しさも改めて浮き彫りになった。

そもそも「臨時情報」という言葉自体、この時に初めて聞いたという方が多いのではないだろうか。4月の騒動は「不確実な地震予測」をどう理解し、防災に活かすべきかという、我々が先送りにしている喫緊の課題ににわかに脚光を浴びせる一件でもあった。

確実な地震予測は難しいが過去のパターンを防災に活かす

従来、東海地震に関しては地震予知ができることを前提とした大規模地震対策特別措置法(大震法)に基づく、いわば地震戒厳令のような仕組みがあった。地震予知がなされた場合、内閣総理大臣が「警戒宣言」を発令する。

ひとたび「警戒宣言」が発令されたら、大地震の想定地域では鉄道やバスなどの交通網は全面停止、高速道路は通行禁止、事業所や工場、病院、診療所は休業、学校も直ちに休校となり、人々はグラウンドに避難して大地震の発生を待つ、という想定だ。

しかし、近年になって地震の予知(確度の高い予測)は困難で、地震予測の精度自体、それほど強力な社会規制を伴う仕組みには耐えられないことが分かってきた。そこで「警戒宣言」の代わりに導入されたのが「臨時情報」である。

※本稿は、モダンタイムズに掲載された記事の前半部分です。
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