• 執筆者一覧Contributors
  • メルマガ登録Newsletter
AI依存は「学び」を阻害する? 大学生231人調査で判明した学業成績との関連

AI依存は「学び」を阻害する? 大学生231人調査で判明した学業成績との関連

Updated by 中村 航 on October 14, 2025, 06:27 am JST

中村 航 wataru_nakamura

1985年生まれ。福岡県福岡市出身。翻訳者。テクノロジーやファッション、伝統工芸、通信、ゲームなどの分野の翻訳・校正に携わる。WirelessWire Newsでは、主に5G、セキュリティ、DXなどの話題に関連する海外ニュースの収集や記事執筆を担当。趣味は海外旅行とボードゲーム。最近はMリーグとAmong Usに熱中。

AIは近年急速に日常に浸透し、学習や仕事の場でも広く利用されるようになった。しかし、エストニア・タルトゥ大学の新たな研究によれば、AIへの「頼りすぎ」は学習成果をむしろ損ねる可能性があるという。

この研究では、プログラミングを学ぶ大学生231人を対象に、AIツールの使用頻度や目的、学業成績との関係などを分析した。これらの学生は主に、プログラミング課題の解決やコードの理解にAIチャットボットを活用していたが、分析の結果、その使用頻度が高いほど、成績が低い傾向が確認されたという。

研究者らは、この傾向が「AIを使うと成績が下がる」という因果を示すものではなく、「もともと学習に苦戦する学生がAIに頼る傾向」を反映している可能性もあると指摘している。それでも、今回の発見は、適切な指導なしにAIに依存することが学習を妨げる恐れがあることを示唆している。

論文著者の一人であるタルトゥ大学計算機科学研究所のMarina Repp准教授は、「学習プロセスにおけるAIの役割は補助的なものであるべき」と強調。「AIを安易な“近道”として使うことには、批判的思考力の発達を妨げるリスクがある」と指摘している。

参照
Frequent use of artificial intelligence may hinder students’ academic performance | EurekAlert!
Does generative AI help in learning programming: Students’ perceptions, reported use and relation to performance – ScienceDirect

Tags