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複数の言語を話す人は脳の老化が遅い?新たな大規模研究で判明

複数の言語を話す人は脳の老化が遅い?新たな大規模研究で判明

November 25, 2025

中村 航 wataru_nakamura

1985年生まれ。福岡県福岡市出身。翻訳者。テクノロジーやファッション、伝統工芸、通信、ゲームなどの分野の翻訳・校正に携わる。WirelessWire Newsでは、主に5G、セキュリティ、DXなどの話題に関連する海外ニュースの収集や記事執筆を担当。趣味は海外旅行とボードゲーム。最近はMリーグとAmong Usに熱中。

年を重ねても記憶力や集中力を保つ鍵は、語学にあるかもしれない。アイルランドのダブリン大学などの国際研究チームが行った大規模研究により、複数の言語を話す人ほど脳の老化による衰えが遅い可能性が示された。

この研究では、欧州27カ国に住む51〜90歳の約86,000人を対象に、「話せる言語数」と「脳年齢が実年齢を上回るかどうか(加速老化)」の関係を分析した。脳年齢とは、記憶テストや認知機能テストから推定される脳の健康指標のことで、実年齢より高いほど老化が早いことを意味する。分析の結果、複数言語を話す人は、母国語のみの人に比べて加速老化のリスクが平均でおよそ半分だった。また、話せる言語が多いほど、そのリスクがさらに低くなる傾向も確認されたという。

人の脳は年齢だけでなく、生活習慣や環境によっても老化のスピードが変わる。これまでも語学が認知機能に良い影響をもたらすという研究はあったが、対象者が少ないことや測定方法のばらつきが課題だった。今回の研究は、これらの弱点を補い、言語の習得や使用が脳の健康維持に広く関わっている可能性を強調する。

研究チームは、複数言語を使うことが「日常の中で脳を活発に働かせる一種のトレーニング」になっている可能性を指摘する。今後は、教育政策や高齢者支援の分野で、第二言語や第三言語の学習を取り入れたアプローチが検討されるかもしれない。

参照
EXPERT REACTION: Multilingualism could help buffer against aging – Scimex
Learning Another Language May Slow Brain Aging, Huge New Study Finds | Scientific American
Speaking Multiple Languages May Slow Down Biological Aging – Neuroscience News
Being bilingual delays ageing, but being multilingual is even better – study | RNZ News

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