LO - Cupola #1 / © Nao Tsuda, Courtesy of Taka Ishii Gallery Photography / Film
December 19, 2025
今井太郎 t_imai
1965年京都府長岡京市生まれ。京都大学文学部哲学科卒。株式会社紀伊國屋書店に30年余勤務。主として外商部門で、法人営業、専門書仕入のほか、図書館向け電子書籍サービスの構築や公共図書館運営業務を担当した。新しい荒尾市立図書館(熊本県、2022年4月開館)の整備に深く携わり、地域に根差した公共図書館の将来性に開眼し、2022年に本棚演算株式会社を設立し、代表取締役に就任。ローカルナレッジ(LocalKnowledge https://www.localknowledge.jp )編集長 。
現地で4000メートルの高地を移動しながら、遠くには8000メートル峰の山々が見えている道で、いつも身体が浮遊しているような(まるで地上を歩いていないような)感覚だったことが蘇ってきた。数多くの砂の洞窟に登り、そこから風景を望んでいたからかもしれないが、果たしてそれだけのことで、重力から解放された感覚に陥るものだろうか。しばらくして、あれは宇宙船やヨーロッパの教会の塔の最上部にあるキューポラの窓からの眺めだったのではないか、という幻影までが浮かんでは消えていった。
(『LO』「逆さまの杯」より)
2025年12月のTOKYO ART BOOK FAIRで、写真家津田直さんの新作作品集『LO』がお披露目されました。そこでは、かつてチベット系の王国だったネパールの奥地ムスタンで昨年撮影された風景の数々が、上部両端の角をなくした平べったい半円形(つまりキューポラのかたち)に整えられ、幻想的なリソグラフ印刷で刷られています。
「写真集の夜」第9回は、刊行されたばかりの『LO』を中心に作品ひとつひとつを取り上げながら、津田さんのここまでの歩みやこれからについて、写真評論家・飯沢耕太郎さんとお二人で語り合っていただきます。
(飯沢さんコメント)
津田直さんの写真集『SMOKELINE』(2008年)は衝撃的な作品でした。「風の河」をテーマに、中国、モンゴル、モロッコなどで撮影したスケールの大きな風景写真に、向こう側に連れて行かれるような力を感じました。以後、津田さんはアイルランド、フィンランド、リトアニアなど、”辺境”の地に足を運び、そこで見出した眺めを写真集におさめていきました。今度のネパール奥地、ムスタンで撮影した写真を集成した『LO』もその延長線上にある仕事といえます。ただ、今回はリソグラフで印刷、半円形の画面に収めるという構成も含めて、これまでのように旅の経験をそのまま定着したものというよりは、アート作品として、現実世界とは別次元の”幻の風景”を立ち上げているように見えます。その辺りを、津田さんとぜひお話ししてみたいと思っています。
| 名称 | 写真集の夜 飯沢耕太郎オンライン・フォトブック・ギャラリー 第9回 津田直 『LO』 |
|---|---|
| 開催日時 | 2026年1月9日 (金) 22:00~23:00 |
| ゲスト | 津田直 (写真家) |
| 案内人 | 飯沢耕太郎 (写真評論家) |
| イベント形態 | Zoomウェビナー(Webinar)を利用したオンラインギャラリーです。 ※お申込みいただいた方には参加URLを事前にメールにてお送りします。 |
| 参加料 | 無料 |
| 参加方法 | このウェビナー(Webinar)を申し込む |
| 申込期限 | チケットの申込期限は当日1月9日の21:00までとさせていただきます。 |
| 主催 | スタイル株式会社 |
※プログラムの内容・時間などは予告なく変更となる可能性があります。ご了承ください。
著者:津田直
発行:NEUTRAL COLORS
発売日:2025年12月
(通常版)

(特装版)
