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なぜ、にわかにTD-LTEに注目が集まっているのか - 次世代通信方式をめぐる議論の潮流

2010.04.02

Updated by WirelessWire News編集部 on April 2, 2010, 07:54 am JST

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(cc) Image by Phil Whitehouse

各国の既存の通信キャリアと、キャリアに機器を納入するベンダーが主導して標準化が進められてきたLTE。そして、既存網からの移行などを気にする必要のない新規参入キャリアなどが採用してきたWiMAX。この2つの次世代通信規格がしばらくの間競争を続けてきたが、巨大な顧客ベースを持つ各国の携帯電話会社がLTEへの移行を進めるに連れて、LTEの優位は揺ぎなくなってきているようだ。

そして現在は、LTEのなかでも「FDD(周波数分割複信)か、TDD(時分割複信)か」という点に話題がシフトしつつあり、最近ではTDD方式のTD-LTEのほうにより大きな注目が集まっている印象が強い。

携帯電話会社のドル箱である音声通信は、上りと下りで同じ帯域幅が必要なため、周波数帯を対(つい)にして利用するFDDを使うのが自然。この理由から、各国のLTEはFDDが主流だった。だが、データ通信では(ADSLのように)上りと下りが非対称で、しかも時間帯によって消費される帯域幅も変化する。また、実際には諸外国でもTDD帯域はあまり使われておらず、競争が激しく利用者も多いFDDに比べて、電波の値段も安いようだ。

いっぽう、機器ベンダー側にしてみれば、3GPPの規格の点でもTDDとFDDはかなり近いので、FDD向けに開発した技術をTDDに転用することや、両方のモードで動作する装置を開発することもできる。そのため、「どれだけ普及するか」が読みにくいWiMAX向けの機材を開発するのに比べて、TD-LTE向けの機器開発のほうが、意志決定の際してのハードルも低い。

スウェーデンのEricssonは、2008年2月の時点で、TDDとFDDの両モードを同一のLTE基地局で動作させるデモを行っている。これは、TDDの周波数しか持たない事業者も、LTEをリーズナブルな設備投資で提供できる環境が整いつつあるということを示す例といえよう。

また、WiMAXの基地局をTD-LTE用にアップグレードすることも可能という点が、事業者に選択の幅を与えるという優位性もある。欧州などFDDが主流の市場では、FDDの帯域が逼迫してからTDDを追加することになる可能性が高いが、それに対していきなりLTEに踏み出す新興国などでは、最初からTD-LTEが導入される場合も想定される。

海外ローミングを考えた場合、周波数を対で使うFDDでは、複数の国が同じ周波数帯をぴったり割り当てる可能性は極めて低いが、単一周波数帯で上りも下りも送受するTDDでは、同じ周波数帯を使う国がいくつも現れる可能性がある。

トラフィックのパターンは音声通信主体からデータ通信主体に大きく動いており、TDDが優位性を発揮する時代が来るのかも知れない。

【参照情報】
TD-LTE: The most powerful weapon in the LTE arsenal against WiMAX (Fierce Broadband Wireless)
エリクソンのNGN/IMS/LTE戦略を聞く(4):エリクソンのLTE製品開発ロードマップ(インプレスRD NGSフォーラム)

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