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「おサイフケータイ後進国」の米国で進むモバイル・ペイメントの取り組み

2010.04.14

Updated by WirelessWire News編集部 on April 14, 2010, 11:00 am JST

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(cc) Image by Yusuke Kawasaki

首都圏ではSuicaとPasmoのリーダーが実店舗に多数設置されるようになり、消費者がコンビニエンスストアやレストランの支払いに携帯電話機を使う姿が珍しくなくなった。駅の自動改札でも携帯をかざしている人をよく目にする。

アジアやヨーロッパでも携帯電話を使った支払い、いわゆる「モバイル・ペイメント」が普及してきており、欧州では駐車場の支払いに使われることが多いそうだ。

広義の「モバイル・ペイメント」の総取引額は全世界で2013年には6000億ドルを超えるとも言われているそうだが、この分野、アメリカは非常に遅れている。

シリコンバレーのニュースサイトであるSiliconValley.comで、ブリング・ネイション(Bling Nation)というパロアルト(カリフォルニア州)のベンチャー企業が紹介されている。同社のシステムは、小売店に置かれたRFIDの「箱」に顧客が携帯電話をかざすと、銀行口座から支払金額が引き落とされ、また携帯電話には支払い額と残高がショートメッセージで届けられるというもの。ポイントやクーポンも送ることができるので、従来のデビットカードでの支払いよりも魅力的にすることができるそうだ。

記事中では同社のサービスを利用し、会社近くの喫茶店で、店のレジにあるプラスティック製の「箱」に携帯電話を軽く当てて5ドル74セントを支払う例が紹介されているが、現在のところ、こうやって支払える店は近所に数軒しかないとのこと。同社にはコロラド州、テキサス州などの銀行と提携して、サービス利用可能なエリアを拡大する予定があるそうだが、それにしても前途遼遠な状態と言わざるを得ない。

上記の紹介記事には、ブリング・ネーションのほか、携帯電話番号に暗証番号を追加した番号を店舗のキーパッドで入力させる方法を採るモビバックス(MobiBucks)や、テキストメッセージで送金するオボペイ(Obopay)の名前も出てくる。ちなみに米国やインドで展開中のオボペイには2009年にノキア(Nokia)が出資をしている。

モバイル・ペイメントは日本がアメリカより大きく先行している分野だが、もしアメリカで広く普及した場合には、世界標準のISO/IEC 14443 Type A/B(日本ではわずかにtaspoや住基カードで採用)にFeliCaが席捲される可能性も生まれてくる。

【参照情報】
Mobile payment systems gain traction (SiliconValley.com)
Nokia、モバイル決済ベンチャーの米Obopayに出資へ (Enterprise Watch)

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