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インドのBWAオークションが終了 - 大型買収による新規参入、米クァルコムの動きなど

2010.06.14

Updated by WirelessWire News編集部 on June 14, 2010, 07:00 am JST

インド政府は12日(現地時間)、BWA(ブロードバンド・ワイヤレス・アクセス)周波数2.3GHz帯のオークション結果を承認すると発表した。

同政府は、今回のオークションで総額約3854億3000万ルピー($8.2 billion/1ルピー=1.96円換算で約7554億円強)を得ることになる。これに先立って5月下旬に終了した3G周波数オークションの落札総額が6771億8000万ルピーだっとのと比べると、金額的には半分に近い。

4Gオークションの落札者には、バーティ・エアテル(Bharti Airtel:2009年GSMシェア1位)、インフォテル(Infotel Broadband Services)のほか、アメリカのクアルコム(Qualcomm)も名前を連ねている。クアルコムはムンバイとデリー、ハリヤナ、ケララという有望な地域--インド全土の区分で「サークル」と呼ばれる。オークションはサークル単位に実施された--で権利を落札したようだ。

最大の落札者となったのはインフォテルで、インドの全22地域の周波数を獲得した。これにより同社はモバイルブロードバンド分野でインド最大の事業者となれる可能性がある。先の3Gでも、今回のBWAでも、22地域(つまり全国)で周波数を得たのはインフォテルだけだ。

ただし、このオークションの終了後に大きな動きがあった。このインフォテルをリライアンス・インダストリーズ(Reliance Industries)が買収すると発表したのだ(買収額は480億ルピー=約941億円で、インフォテル株式の95%を取得)。インド当局(Telecom Regulatory Authority of India:TRAI)は政府に対して、モバイルキャリアの統合を促すよう勧告している。競争激化による経営基盤の弱体化を防ぐことが目的だ。ただし、今回のリライアンス・インダストリーズによる買収は業界内でのM&Aではない。同グループは、石油製品、石油化学製品から衣料品、食品まで幅広い子会社を持つ企業グループで、オーナーはムケシュ・アムバニ(Mukesh Ambani)氏という人物だ。

Reliance Industries
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インドで「リライアンス」といえば、インド第2位の携帯電話会社であるリライアンス・コミュニケーションズ(Reliance Communications)のことが思い浮かぶが、同社のオーナーであるアニル・アンバニ(Anil Ambani)氏は、前述のムケシュ氏の弟にあたる。つまり、兄弟がライバルとして携帯+モバイルブロードバンドという非常に近い業界で競合することになる(2人は仲たがいをしていたという説もある0.

なお、弟側のリライアンス・コミュニケーションズは、業績悪化が伝えられており、3Gオークションでは22地域中13地域で周波数を獲得しているが、今回のBWAオークションには入札していない。

ちなみに、インフォテル以外の主要各社の動きとしては、上述のバーティ・エアテル(8地域)、クアルコム(4地域)のほか、Tikona Digital Networks(5地域)などが落札している。

【参照情報】
Indian 4G Wireless Auction Brings in $5.5B
Reliance Industries to Buy Indian Broadband Company (New York Times)
Indian broadband auction winner to be acquired (BusinessWeek)
インドの3Gオークションが終了 - 落札額は110億〜146億ドルに
米クアルコム、インドでのTD-LTE事業で地元企業とJV
競争激化がつづくインド携帯電話市場 - 第2位のリライアンスも業績悪化
インド当局、携帯通信キャリアのM&A加速を勧告
http://en.wikipedia.org/wiki/Anil_Ambani (Wikipedia)
Mukesh Ambani (Wikipedia)

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