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サンフランシスコで携帯電話機の電磁波量の表示義務付けへ

2010.06.18

Updated by WirelessWire News編集部 on June 18, 2010, 11:31 am JST

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(cc) Image by Orin Zebest

サンフランシスコ市内で携帯電話機を売る際に、電話機から放射される電磁波の量を消費者に明示することが小売店に義務づけられることになった。全米で初の表示義務付けになるという。

同市議会が6月15日(米国時間)に可決した条例案では、小売店に対し、SARという数値の表示義務付けを求めている。SARとは"Specific Absorption Rate"の頭文字で「比吸収率」などと訳される。SARは、人体が電波にさらされることによって単位質量の組織に単位時間に吸収されるエネルギー量のことで、日本の業界団体であるARIB(電波産業会)では1999年に民間規格を定め、2002年8月には総務省が省令で許容値(2W/kg)を示している。また、米国でもFCC(連邦通信委員会)が携帯電話機の製造業者に対してSARの上限を1.6W/kgと定めているが、SARを消費者に提示することは求めていない。

サンフランシスコの条例では、携帯電話機の小売店は消費者に対して「SARが何なのか」を説明しなければならない。また、同市環境局(Department of the Environment)がまとめる予定の「電磁波を受ける量を減らすためのヒント」なども消費者に伝える義務が生じる。

また、携帯通信事業者側ではサンフランシスコ市当局に対しては、同市内で自社の端末を扱っている小売店リストを提供しなければならず、小売店に対しては自社端末のSAR値のリストを供給しなければならなくなる。小売店がチェーン店の場合、SAR提示義務は2011年2月1日からだが、5月1日までは罰則はない。独立系の小売店では再来年2012年の8月1日まで罰則がない。非表示が指摘されても、改善すれば罰せられないが、2度めの指摘を受けると罰金100ドル(1ドル=91.31円換算で9,131円)、3度めで250ドル(約22,828円)、4度目で500ドル(約45,655円)というから、それほど厳しくない額かも知れない。

業界団体のCTIA(Cellular Telecommunications and Internet Association)は、このサンフランシスコ市の動きに対し、遺憾の意を表明している。CTIAでは、SAR値だけで「ある電話機が他の電話機より安全だ」という誤解を消費者が持ってしまうことを懸念しているそうだ。

ちなみに、今年の3月には携帯電話の利用と脳腫瘍の発症について直接の因果関係は見出せなかったものの、引き続き調査研究が必要だというレポートが国際がん研究機関 (IARC)から発表されている。これに対して米国の研究者が調査方法の問題点を厳しく指摘したとの報道もある。サンフランシスコ市の決定で、各国で議論が再燃する可能性もありそうだ。

【参照情報】
San Francisco Passes Cellphone Radiation Law (New York Times)
San Francisco close to passing cell phone radiation law (SFGate)
San Francisco to warn consumers about cell radiation levels (CNN)
「携帯電話で脳腫瘍リスク上がらず」の研究に問題点指摘 (CNN.co.jp)
ブラックベリー端末、電磁波輻射でワースト1に - 米NPO調査

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