米でもついに「おサイフケイタイ」の兆し - 大手通信事業者が共同実験へ
2010.08.11
Updated by WirelessWire News編集部 on August 11, 2010, 15:18 pm JST
2010.08.11
Updated by WirelessWire News編集部 on August 11, 2010, 15:18 pm JST
米携帯通信市場最大手のベライゾン・ワイヤレス(Verizon Wireless:以下、ベライゾン)と第2位のAT&T、第4位のTモバイル(T-Mobile USA)が手を組み、携帯電話端末を利用した非接触型決済システムの実験を2011年中頃に実施する計画だとブルームバーグ等が報じている。
携帯事業者3社は、クレジットカード業界第4位のディスカバリー(Discovery Financial Service)のもつ決済ネットワークを利用し、また英銀行バークレイズ(Barclays Plc.)もこの取り組みに協力する可能性があるという。実験の候補地としては、テキサス州オースティン、ミネソタ州ミネアポリス、ユタ州ソルトレイクシティの名前があがっており、また商用のトライアルフェーズではアトランタが候補地として挙がっている。この実験では、小売店店頭に専用のカードリーダーを設置し、無線のマイクロチップが搭載されたスマートフォンをこれにかざすことで決済を行うことになるという。
大手の携帯通信事業者がモバイル端末をつかった決済に乗り出せば、既存のクレジットカード会社にとって脅威となる可能性が大きい。2010年第2四半期末時点での各社の契約者数はベライゾンが約9210万人、AT&Tは約9010万人、そしてTモバイルが3360万人と、あわせて2億人を超える潜在ユーザーが存在するからだ。
いっぽう、新たな収入源をさがす携帯通信事業者にとっては、カード決済の市場には大きな魅力がある。ニールソンレポート(Nilson Report)によると、業界第1位のビザ(Visa)ならびに第2位のMasterCardの2009年度の取扱高は、あわせて2兆4500億ドル(米国市場での合計シェアは82%)にのぼり、両社が得た手数料は、400億ドルを超えたという。
日本ではFelica、Edy等の非接触型の決済サービスがすでに広く普及しているが、米国ではこれまで携帯端末をつかった決済をめぐる動きは主にベンチャーなどが主体であまり普及していなかった。大手通信事業者がこの分野に参入することにより、今後米国でも業界の構図に大きな変化が生まれてくると思われる。
【参照情報】
・AT&T, Verizon May Pick Texas, Utah for `Mercury' Payments Pilot - Bloomberg
・Operators targeting Texas, Utah for contactless payment trials - Fierce Mobile Content
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