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「iPadの優勢」を予想する市場調査会社と、その先を見据えるAT&T

2010.08.27

Updated by WirelessWire News編集部 on August 27, 2010, 12:21 pm JST

米市場調査会社のアイサプリ(iSuppli)が25日(米国時間)、「今後数年間はアップルのiPadがタブレット端末分野で圧倒的な優位を保つ」との旨の予想を発表した。それによると、先四半期(4-6月期)だけで約330万台を売り上げたiPadは今年この分野で75%のシェアを占め、さらに多数の競合製品が投入される来年以降も70%(2011年)〜62%(2012年)と過半数のシェアを維持していくことになりそうだという。この理由について、iSuppliでは「ハードウェア、OS、そして対応アプリケーションの豊富さなどをあわせた総合力の点でiPadに比肩するものを出すのは難しいため」としていると、Reutersは伝えている。

iPadの成功に刺激を受けた多数のハードウェアメーカーが、すでに競合製品の投入を明らかにしている。たとえばデル(Dell)はすでに「Steak」という5インチ画面のAndroidタブレット(スレート型)端末を投入しており、HP(Hewlett-Packard)も先頃買収したPalmのWebOSを搭載するタブレットの投入を予定。また韓国サムスンも「Galaxy Tab」というAndroid端末を来月明らかにするほか、同じ韓国のLGや米モトローラ(Motolora)でもAndroidを採用したタブレット端末の開発を進めていることが確認されている。さらに、スマートフォンのBlackberryを手がけるカナダのリサーチ・イン・モーション(Reserch in Motion:RIM)からも「BlackPad」というタブレット端末が出されるのではとの噂も出ている。

なお、グーグル(Google)のもう一つのOSである「Chrome OS」を搭載するタブレット端末については、これまで一部で「今年11月26日に発売になる」との噂が出ていたが、これについてアイサプリでは「登場は2011年以降になる可能性が高い」としている。

ところで、iPadをはじめとするタブレット端末の多くはクラウド・コンピューティングを前提とし、携帯通信機能を持つものだが、このインフラ部分を提供する携帯事業者側の見通しについて、AT&Tの幹部が興味深いコメントをしている。

FierceWirelessによれば、AT&TのEmerging Devices and Resale Division責任者が「(同社では)今後5年間に、大小さまざまなタイプのタブレット端末が登場する。その価格も、300ドルから1000ドルといろいろなものが出る。ただし主流は10インチ画面の大型端末になりそうで、それが現在のノートPCにとって代わる可能性がある」と、Bloombergとのインタビューで述べたという。

3G対応iPadの独占キャリアであるAT&Tとしては、この先もiPadの優勢が続くに超したことはないが、いっぽうでiPhoneで起こったような特定ベンダーへの過度の依存が望ましくない。そこで、「自社の契約者が増えればどこのハードウェアでも構わない」とスタンスを取り、すでに上記のデル「Streak」に対応するなどしてリスク分散を進めている、ということかもしれない。

【参照情報】
Apple's iPad to remain king of tablets: researcher - Reuters
AT&T sees future in tablets beyond iPad - FierceWireless

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