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ボーダフォン、2011年中に「ベライゾン・ワイアレス問題」決着の意向

2010.09.16

Updated by WirelessWire News編集部 on September 16, 2010, 09:08 am JST

現在大きな方向転換を進めている英ボーダフォン・グループ(Vodafone Group:以下ボーダフォン)は、保有していたチャイナ・モバイル(China Mobile:中国移動通信)株式を先頃売却したばかりだが、さらに米ベライゾン・ワイアレス(Verizon Wireless)や仏SFR、インドのバーティ・エアテル(Bharti Airtel)など、同社が少数株主として出資する他の携帯通信事業各社についても関係の見直しを検討しているという。

携帯電話の普及期に、欧州を中心にアジア、アフリカ、北米地域まで手を広げたボーダフォン・グループには、現在20カ国を超える地域にあわせて3億4000万人以上の契約者がいる。だが、その多くは音声通話中心の付加価値の低いサービスであることから、同社では欧州、サハラ以南のアフリカ、そしてインドの3つの重点地域に焦点を絞り、さまざまなサービスを提供する「総合通信企業」に業態を転換しようとしている。

この背景には、同社の株価が低迷を続け、株主の間から不満の声が上がっているとの事情がある。10年ほど前には最高で440ペンスを記録した同社株価は現在半分以下の160ペンス程度まで下落。2008年から同社のCEOを務めるビットリオ・コラオ(Vittorio Colao)氏は「総合通信企業として、各重点市場で1位もしくは2位のプレーヤー」になることを目標に掲げ、伸びしろが少ない音声通話事業から成長が見込めるモバイルデータ事業への移行を目指してきた。ただし、同社の売上の中心はいまだに音声通話サービスで、たとえば欧州市場では今年3月までの1年間に全売上の62%を音声通話サービスが占め、データサービスからの売上は11%に過ぎなかった。

ボーダフォンが見直しを進める事業のなかでも、もっとも難しい対応を迫られそうなのが米国最大手の携帯通信事業者であるベライゾン・ワイアレス(Verizon Wireless)。同社はボーダフォンが株式の45%を、そして残り55%をベライゾン・コミュニケーションズ(Verizon Communications)が保有するジョイントベンチャー(JV)で、契約者数は約9200万人。一部のアナリストの推定では、ボーダフォンの持ち株の評価額は500億ドルを上回る可能性があるという。

ベライゾン・ワイアレスでは負債の返済を優先して、2005年以来株主への配当を実施していないが、コラオ氏はWall Street Journal(WSJ)とのインタビューのなかで「ベライゾン・ワイアレスの負債は来年末までにゼロになる」と述べ、「その時点で何かしらの判断をしなければならない」と付け加えた。

このWSJの記事では、ベライゾン・ワイアレスの問題に関して3つの可能性が示されている。ひとつめは、ボーダフォンからベライゾン・コミュニケーションズへのベライゾン・ワイアレス株式の譲渡。ふたつめは、ボーダフォンとベライゾン・コミュニケーションズとの合併。そして三つめはベライゾン・ワイアレスによる復配だ。

このうち、ふたつめの選択肢については、ベライゾン・コミュニケーションズCEOのイヴァン・サイデンバーグ(Ivan Seidenberg)氏が否定的な考えを明らかにしたのに対し、ボーダフォンのコラオ氏は「すべての選択肢を検討している」としている。

また、ベライゾン・コミュニケーションズ側が希望する株式譲渡の選択肢については、譲渡(売却)時にボーダフォンが支払わなければならないキャピタルゲインに対する税金が大きな問題になる可能性がある。同社では現在インド税務当局との間で、同社が2007年にハッチソン・エッサール(Hutchison Essar)を買収した際に発生したとされるキャピタルゲインに対する税金約26億ドルの支払いをめぐって係争中だ。

【参照情報】
Vodafone CEO looking to solve Verizon ownership issue by end-2011 - Fierce Wireless
Vodafone's Chief Pushes to Untangle Wireless Giant - Wall Street Journal
英ボーダフォン、大幅な組織再編計画を発表 - ウォール・ストリート・ジャーナル 日本版
英ボーダフォン:投資家は次の一手に注目-中国移動の持ち株売却で - ブルームバーグ

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