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インド政府のBlackBerry問題 - 今度は電子メールをめぐってRIMと協議

2010.09.22

Updated by WirelessWire News編集部 on September 22, 2010, 11:09 am JST

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(cc) Image by Gopal Aggarwal

インド政府が、カナダのリサーチ・イン・モーション(Reserch In Motion:以下、RIM)との間で、同社のスマートフォン端末「BlackBerry」で提供している電子メールサービスへの同政府によるアクセスを認めるかどうかについて協議しているという。

同政府高官の話としてReutersが伝えているところでは、RIMは9月1日からインド国内のBlackBerryユーザーがやりとりするインスタントメッセージをインド政府当局が監視できるようにしており、現在はその対象に電子メールを含めるかどうかの協議が続いているという。

インド政府は、高い暗号化機能をもつBlackBerryでの通信が、テロリストやその他の非合法活動に悪用されることを懸念し、RIMに対してそれらの通信を同政府が監視できるようにすることを求め、もしこの要求が受け入れられない場合には、BlackBerryの利用禁止措置をとるとの方針を示していた。その後同政府とRIMとの話し合いが続けられたが、インド政府は禁止措置発動を目前に控えた8月30日になって、RIMが同政府の要求に対して一定の譲歩を見せたとして、BlackBerryの禁止を一時的に延期すると発表。同政府は、RIMの示した方策の実効性について検証するため60日間の猶予を与えるとしていた。

BlackBerryユーザーの通信を監視しようとするインド政府の試みは、現在世界で最も急成長を遂げるインド携帯電話市場で今後に大きな影響を及ぼす可能性がある。また同政府が、BlackBerryのほか、アップル(Apple Inc)やノキア(Nokia)の各製品にも監視の目を広げる可能性を示唆する声もあがっている。ただし、暗号化されたデータの解読が必要なBlackBerryの場合に比べて、これらの端末を通じた通信の監視はより容易で、通信事業者の同意があれば可能だという。

いっぽうサウジアラビアでは、オンラインポルノ流通などへの懸念からインド政府と同様の要求をRIMに行った結果、セキュアな企業内ネットワークの外側で稼働するインスタントメッセージサービス「BlackBerry Messenger」について、同政府が監視を行えるようにしている。また、クウェートやアラブ首長国連邦(UAE)でも、サウジアラビアと同様の懸念を示しており、UAEでは10月17日までに何らかの措置を講じるようRIMに求めている。

RIMの共同CEOであるジム・バルシリー(Jim Balsillie)氏は、インドやUAEなどの各政府との話し合いが良好に進んでおり、これら政府の求める国家安全上の必要と、ユーザーのプライバシー保護や企業の機密保護とのバランスに配慮した結論が導けるだろうとの見解を示した。

なお、インド政府はRIMだけでなく、グーグル(Google)やスカイプ(Skype)など他の通信事業者に対しても、インド国内にサーバーを設置し、同政府が通信を監視できるようにする意向を示している。

【参照情報】
India in talks on BlackBerry e-mail access: source - Reuters
'Good progress' in UAE talks - BlackBerry official - ITP.net

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