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グーグル、世界中のショッピングデータから独自の景気動向指数を算出

2010.10.25

Updated by WirelessWire News編集部 on October 25, 2010, 17:00 pm JST

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(cc) Image by oswaldo

グーグルが世界中から集めてきた膨大なオンラインショッピングデータから、独自の景気動向指数として「グーグル物価指数」の算出を社内で始めていると、英Financial Timesが記事「Google to map inflation using web data」で伝えています(日本経済新聞による日本語訳「[FT]米グーグル、物価指数の社内運用開始」)。

記事によると、政府が発表する従来の「消費者物価指数(CPI)」は各店舗からデータが手作業で集められ、数週間遅れで発表されているが、グーグルのチーフエコノミスト Hal Varian氏はオンラインデータを利用すれば経済統計が迅速に集計できることに着目し、開発したとのこと。

Mr Varian emphasised that the GPI is not a direct replacement for the CPI because the mix of goods that are sold on the web is different to the mix in the wider economy.

ただしVarian氏は、GPIがすぐにCPIに取って代わるわけではないと強調する。その理由として、Webで販売されている商品の割合は、広く実際に販売されているものの割合とは異なることを挙げている。

このニュースは、グーグルのように大規模にデータを集める能力が、さまざまな分野に影響を与える可能性について考えさせられます。何より、グーグルに「チーフエコノミスト」という肩書の社員がいるのですね。グーグルは一体どこまでその能力を広げていくのでしょうか。

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マイクロソフトも統計分析を重視

グーグルがこうしたことを実現できるのは、クラウドという巨大なデータ処理能力に支えられているためです。

このデータ処理能力に関連した、統計処理がこれからITでもっともホットな分野の1つになると書いているのが、マイクロソフトの採用活動などを記しているブログ「Microsoft JobsBlog」に8月23日付けでポストされたエントリ「The Top Three hottest new majors for a career in technology」(テクノロジー分野でもっとも熱い、3つの専門性とは)です。

具体的には、次の3つがホットだと挙げられています。

- Data Mining/Machine Learning/AI/Natural Language Processing

- Business Intelligence/Competitive Intelligence

- Analytics/Statistics - specifically Web Analytics, A/B Testing and statistical analysis

3つとも呼び方は違いますが、どれも大量のデータを分析する仕事という点で一致しています。しかも、この傾向は長期なものだろうと予想されているのです。

These fields are very HOT and looking long term, the demand will be just that much greater in these areas.

これらの領域は非常にホットで、そして長期的な視点で見たものです。これらの求人はますます増えるでしょう。

ITの中心的な役割が変わっていくのか

これまで、IT分野の中心的な役割は、さまざまな目的に応じたシステムを構築することでした。ITの専門性とは主に、ソフトウェアとハードウェアを使って構築するためのものでした。

しかし、クラウドの時代には、膨大なデータ処理能力を用いて統計処理を行い、新しい知見を発見する、作り出すということも、ITにとっての大事な役割となるといえるでしょう。

文・新野淳一(ブログ「Publickey」 Blogger in Chief)

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