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システムベンダが向かう垂直統合とクラウド戦略の先に何があるか?

2010.11.22

Updated by WirelessWire News編集部 on November 22, 2010, 19:00 pm JST

Dell Tied to Data Center in Washington State
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デルがワシントン州クインシーにデータセンターを建設し、クラウドサービスに乗り出すのではないか、と米国で報道されています

デルが25万平方フィートの土地を購入したクインシーは、マイクロソフト、ヤフー、グーグル、インチュイットなどのデータセンターが林立する地域で、デルが購入した土地もそれらにほど近い位置とされています。ここに25万平方フィートという規模の土地を購入したことは、データセンター構築以外に考えられません。

ではデルがデータセンターを建設する目的とは何でしょうか?

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ハードウェアの販売からITサービスの提供へ

デルからは本件に関わる発表がありませんので、データセンター建設の目的に関しても推測するしかありませんが、同社のハードウェアと組み合わせた何らかのクラウドサービス、例えばストレージやサーバに対するバックアップ/ディザスタリカバリサービスなどは十分に考えられます。

デルは複数のクラウドサービスを統合するBoomiを11月はじめに買収したばかりで、クラウドサービスへ進出する方向へ踏み出していることは明白です。また、先月には自動化されたデータセンターのアーキテクチャともいえる「Virtual Integrated System」を発表。データセンター構築のノウハウも備え、顧客へ提供しようとしていますし、クラウド事業者のためのオープンソースプロジェクト「OpenStack」にも関与しています。

Virtual Integrated System (VIS) | Dell
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昨年にさかのぼれば、デルは情報処理サービス会社のペロー・システムズを買収しており、すでに企業向けの戦略をサーバなどハードウェアの販売からITサービスの提供へと広げていることが分かります。今回のデータセンター建設も、その戦略に沿った大きな投資であることは間違いありません。

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ゆるやかな垂直統合を選択

現在、ハードウェアベンダは垂直統合を目指して自社、あるいは自陣営でハードウェアと仮想化、基本ソフトウェアなどをひととおり提供できる方向へ進んでいます。特に以下がその4大勢力といえます。

  • サンを獲得したオラクル
  • シスコシステムズ、EMC、VMwareのVCE連合
  • 関係を深めるマイクロソフトとヒューレット・パッカード
  • IBM

垂直統合が目指すのは、効率的なプライベートクラウドの構築です。「これ一式でプライベートクラウドが構築できます」というのが最大の売りになるわけです。

しかしデルはこうした買収や提携による垂直統合よりも、比較的ゆるやかな企業間連携によるシステムの提供を戦略として選択しています。具体的には、例えばネットワーク機器についてはジュニパーやブロケードとOEM契約を行い、ストレージについてはイコールロジックを買収するなどしてはいますが、EMCとのOEM契約も行っており、これらを自社ブランドとして提供することで、顧客への垂直統合を提供しようとしているわけです。

そのゆるやかな垂直統合によるハードウェア戦略と、前述したこれから登場するであろうデータセンターなどのクラウド戦略がどこで交わるのか? いままでクラウド市場では比較的地味な存在だったデルですが、来年にはデータセンターを絡めた新戦略が登場しそうです。

文・新野淳一(ブログ「Publickey」 Blogger in Chief)

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