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「3カ月以内に純増へ」--常識破りの"通話無料"で再起を誓うウィルコム

2010.12.02

Updated by WirelessWire News編集部 on December 2, 2010, 10:20 am JST

経営再建計画が認可決定し、再スタートを切ったウィルコム。代表取締役社長に就任した宮内謙氏は、2010年12月1日に記者説明会の冒頭で「ユーザーの方々にも債権者のみなさんにもご迷惑をおかけした。12月1日から、新生ウィルコムとして本格的な動きをはじめたい」と切り出した。ソフトバンクグループの4社めの通信会社として、再出発することになった。

0円の常識破りで通話したいユーザーに訴求

▼ピーク時から100万近く契約が減った現状から、3カ月以内の純増を目指す
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宮内社長は、「企業が生きて行くためには、お客さまを増やすことが大切。それに加えてコストをどう抑えていくかを考えなくてはならない。売上からコストを引いたものが利益になる。純減が続いている契約数を、少なくとも3カ月以内に純増に持ち込みたい」と、まずはユーザー数を増加に転じさせることを宣言した。「われわれはソフトバンクモバイルのホワイトシリーズの成功体験がある。ウィルコムでも、常識を破る新しいプランを提案して、一気に爆発させていく」(宮内社長)。

その大きな一歩が、「だれとでも定額」。他社のケータイでも固定電話でも、無料で通話できるプランで、これらの通話が「有料だという常識を破りたい。話すこと、つながることへの欲求は非常に強いものがある。定額料金を払ってもらえば、それを"0円"にしてしまいましょう」(宮内社長)というのだ。同社 マーケティング本部長の寺尾洋幸氏は、「だれとでも定額は、ウィルコム沖縄で先行実験した。4月10日からサービス開始したところ、5月以降は純減から純増に転じている。通話に対する欲求が高いことを実感した」と説明する。ソフトバンクの支持により、北海道や仙台、広島、などでも実験を繰り返し、10分以内の通話を月間500回までというパラメータを決めたという。宮内社長は、だれとでも定額で「日本中に通話の歓びを」与えたいとする。

▼「だれとでも定額」で攻勢に出ることを宣言する宮内社長
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インフラのコストは削減しながらサービスを発展

インフラ面でも攻めの姿勢を取る。寺尾本部長は、「夏以降、孫社長とも議論してきた。ネットワークの維持はもちろん、もっと攻めていこうではないかという結論になった。インフラのコストはできるだけ下げながら、サービスの品質は維持していく」と、方針を説明する。その1つが、基地局。DDIポケット電話としてサービスを開始した1995年には、基地局は500mのセルで4チャネルしかとれなかった。しかし、2010年時点では1kmのセルで14チャネルを確保できる基地局が開発されている。

▼バックボーンネットワークをソフトバンクグループと共用することでコストを削減
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ただし、「ソフトバンクに支援してもらうまでは、この基地局を展開することができなかった」(寺尾本部長)という。1つの基地局で4倍近くのチャネルを確保できるので、単純計算をすれば基地局を4分の1に減らすことも可能になるわけだ。「3GとPHSを共用できるアンテナはすでに開発済み。こうした技術を用いてソフトバンクモバイルと融合することで、コストを下げられる。従来のマイクロセルも使いながら、ユーザーの利用が減っている地域では3Gと共同のマクロセルを使ってサービスエリアをカバーする。マイクロセルとマクロセルの両方を使って、コストを下げながらエリアを確保したい」(寺尾本部長)。

バックボーンも、ISDNを使っていた当初のPHSから転換し、フルIPのネットワークにスイッチする。フルIP化は2010年度末から翌年度にかけて完成する予定だという。これにより、「バックボーンをソフトバンクグループのネットワークと融合できるようになる。これで大幅なコストの削減が見込める」(寺尾本部長)。実際、このコスト削減効果が新生ウィルコムを生き残らせるための生命線になると見ているようだ。

宮内社長は、「コストをどう下げるかが私の責務と考えている。世の中が求めているような安心して安く使えるサービスを、ウィルコムとして収益を確保できる構造で提供する。そのためにはソフトバンクとネットワークを融合させることで実現できる機能の進化とコスト改善が大きな役割を果たす」と説明する。

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ピークの465万契約に一日も早く

再建を始める新生ウィルコム。その目標はどこにあるのか。宮内社長は、「ウィルコムは465万がピークで現状は370万ぐらいのお客さまに使っていただいている。これをできるだけ早くピーク時の465万契約までカムバックさせたい。コンシューマ向けの音声通話無料だけでなく、法人向けでもソフトバンクグループの一員としてソリューションを展開していく。まず単年度で黒字を達成し、将来的にはきちんと利益を出していける会社にしたい」と語る。

国内発の技術を使ったPHSの生き残りを一人で背負う新生ウィルコムは、だれとでも定額の無料通話とコスト削減の両輪を回しながら、新しい航海に出ていく。

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