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[2011年第13週]桜とともに通信業界が活動再開、スマホシフトへの動きも続々

2011.04.04

Updated by Naohisa Iwamoto on April 4, 2011, 10:00 am JST

週末に4月を迎えた2011年第13週になり、通信業界にもようやく大震災に関連しない通常の話題が復活してきた。いち早い回線の復旧や復興支援は望まれるが、その上で将来を見越した活動が継続されていることが分かる。

震災後も堅調なスマートフォン関連の動向

201104041000-1.jpgスマートフォンをめぐる動きは、震災後にもその勢いを止めることはなかった。まずスマートフォン向けのブラウザーアプリの話題から。米Mozillaは「Android 版 Mozilla Firefox 4」の正式版を公開した。日本語を含む10カ国語以上に対応する。新版は、JavaScriptの大幅な改良により、Androidの標準ブラウザーと比較して最大で3倍の高速性を備えるという。標準で備える「Firefox Sync」を利用すると、ブラウザーで閲覧したサイトの履歴、ブックマーク、開いているタブ、フォームの入力履歴、パスワードなどのデータを、パソコンで使っているFirefox 4と同期して利用できて利便性は高い(関連記事:Android版の「Firefox 4」正式版が公開)。

音楽コンテンツ事業では、HTCとKDDIが接近。音楽コンテンツ配信事業を手がけるKDDIの子会社「KKBOX」が発行する第三者割当増資をHTCが引き受けた。HTCは音楽配信をデジタルコンテンツ市場の重点分野と位置付け、これまでもKKBOXのアプリをHTC製のスマートフォンに搭載するなどの施策を講じてきた。今回の増資引き受けによりKKBOXとの提携を深め、HTCスマートフォンに向けた新しい音楽サービスを提供していく。KDDIも音楽コンテンツビジネスのグローバル展開に弾みを付けたい考えだ(関連記事:KDDIの音楽配信子会社「KKBOX」に、第三者割当増資でHTCが出資)。

スマートフォンシフトに対して、端末の販売だけでなくサービス面でも本腰を入れようと組織変更を実施したのがNTTドコモ。既存のコンシューマサービス部と、フロンティアサービス部の内部組織のスマートフォン事業推進室を統合し、「スマートコミュニケーションサービス部」を4月1日に設置した。iモードで培ってきたリソースと、スマートフォン事業を推進してきたリソースを融合して、今後のスピーディーなスマートフォン事業の運営を目指す(関連記事:NTTドコモ、スマートフォン事業の強化を目指し新部署を設置)。

201104041000-2.jpgNTTドコモはスマートフォン向けのサービスの拡充なども積極的だ。スマートフォン向けのISPサービスであるspモードの機能を拡充し、基地局データを使った位置情報を提供を始めた。スマートフォン利用者に向けて、地下や屋内などGPS衛星の電波が届かない場所でもおよその位置情報を提供できる(関連記事:NTTドコモ、spモードに基地局データ利用の位置情報を提供

また、spモードの「コンテンツ決済サービス」を、Androidマーケットのコンテンツ購入の決済手段として利用できるようにした。spモードのコンテンツ決済サービスは、NTTドコモがコンテンツ購入代金を携帯電話料金とまとめて請求する決済代行サービス。4桁のspモードパスワードを入力するだけの簡単な操作で、クレジットカード番号などを送信することなく決済ができるようになる(関連記事:NTTドコモ、Androidマーケットでspモードのコンテンツ決済サービスを利用可能に)。

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WiMAXのMVNOサービス、SMSによるビジネスソリューションなども展開

スマートフォンよりも低いレイヤーにおける通信事業者の動きを2点。

201104041000-3.jpgフリービットは2011年4月1日、UQコミュニケーションズのモバイルWiMAXサービスを利用したMVNO(仮想移動体通信事業者)事業に参入したと発表した。サービスは「YourNet MOBILE-W」の名称で同日から提供を開始し、ISP(インターネット接続事業者)や家電機器・通信機器メーカーなどにOEM提供する。合わせて、フリービットグループのドリーム・トレイン・インターネット(DTI)は、このサービスを利用した「DTI WiMAXモバイルプラン」の提供を発表した(関連記事:フリービット、WiMAXでもMVNO事業に参入、DTIが月額3880円で提供)。

法人ビジネス向けソリューションとして、NTTドコモは「SMSセンタープッシュサービス」の提供を始めた。これは、NTTドコモのスマートフォンや携帯電話といったFOMA端末、FOMA通信モジュール内蔵機器に対して、企業内のパソコンからSMSを送信できるようになる。テキストによるメッセージを送る「テキスト型SMS」と、機器を制御するコードを送る「制御型SMS」があり、これらを組み合わせてビジネスソリューションに携帯電話端末を活用できるようにする(関連記事:NTTドコモ、法人向けソリューションの可能性を広げる「SMSセンタープッシュサービス」)。

震災からの復興、集めよう善意、注意しよう悪意

201104041000-4.jpg大震災からの復興に関するニュースもある。位置情報を使ったゲームなどを提供するコロプラは、人の移動を調査、分析する「コロプラおでかけ研究所」を設立した。コロプラサービス全体では、ユーザーの位置登録回数は月間4000万回にも上る。コロプラおでかけ研究所はこの情報を分析して、レポートを定期的に提供する。第1回として、「人々の動きが急速に回復へ〜東日本大震災後の東北エリア〜」と題したレポートを発表し、東北関東大震災後に東北地方への人的移動が復活してきていることを明らかにした(関連記事:コロプラ、人の移動を調査する研究所を設立、東北地方への移動の急回復も報告)。

KDDIは「被災地支援 義援金サイト」で、auポイントを使った義援金の受付を開始した。NTTドコモとソフトバンクモバイルは、同様のポイントプログラムから募金できる仕組みをすでに提供中。携帯電話から手軽に募金できるだけでなく、貯めたポイントを義援金に変えられる仕組みの提供で、より善意が集めやすくなる(関連記事:KDDIも被災地支援の義援金に「auポイント」の対応を追加)。

しかし、残念ながらIT分野でも悪意ある行動が見つかっている。フィンランドのエフセキュアは大震災に乗じたネット犯罪が多発していることを報告した。義援金募集のスパムメッセージなどへの注意を喚起している。特に、WebサイトのURLが確認しにくく、かつ手軽に使えるスマートフォンや携帯電話用のWebサイトがターゲットになる危険性が高いと予測、さらに義援金の名目でお金をだまし取るスマートフォンアプリの登場も懸念を示している。同社では信頼できるサイトからの情報かを必ず確認するよう、注意を呼びかけている。このようなときだからこそ、ネット上での二次災害に遭わないように心していきたい(関連記事:東北関東大震災に乗じたネット犯罪が多数発生、エフセキュアが注意を喚起)。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。