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[2011年第20週]各社の夏モデルは個性派揃い、WiMAXは東京の地下鉄で利用可能に

2011.05.23

Updated by Naohisa Iwamoto on May 23, 2011, 10:00 am JST

5月16日に始まった第20週は、携帯電話各社の夏モデルの発表に大きく湧いた。スマートフォンへのシフトは急速に進み、注目製品の多くはスマートフォン。NTTドコモとKDDIが開催した記者発表会後のタッチ&トライコーナーでは、記者が群がるのはスマートフォン。フィーチャーフォンのコーナーは人影もまばらな状況であり、両者の情報ニーズにはすでの大きな隔たりが出来ていることが見て取れた。

スマートフォン9モデルと充実のドコモ

201105231000-1.jpgNTTドコモは2011年5月16日、都内で発表会を開き夏モデルの端末・サービスを発表した。製品はスマートフォンが9機種、iモード携帯電話が12機種、Xiサービスに対応したモバイルWi-Fiルーターが2機種、FOMAデータ通信カードが1機種の計24機種となる(関連記事:NTTドコモ、スマートフォン9機種、Xi対応ルーター2機種など夏モデル24機種を発表)。

201105231000-2.jpg夏モデルのスマートフォンは9機種。注目は、デュアルコアCPUを搭載した「GALAXY S II」、従来機の薄さをそのままに防水対応した「MEDIAS WP」、日本向け機能に対応したエンターテインメント機「Xperia acro」、ツインカメラの「AQUOS PHONE」などの高機能機種。さらに、スマートフォン初心者への使いやすさを追求した「F-12C」「P-07C」「Optimus bright」「AQUOS PHONE f」の4機種をラインアップする。また、BlackBerry端末のBlackBerry Bold 9780」も用意した(関連記事:ドコモのスマホ夏モデルのポイントをチェック、価格は実質1万〜3万円台で)。

フィーチャーフォンのiモード携帯電話は12機種。12色のカラーバリエーションを用意した「P-06C」、カシオブランドのEXILIMケータイ「CA-01C」、Windows 7パソコンを携帯電話サイズにまで押し込んだ「F-07C」など、なじみやすい一般的な携帯電話タイプや個性的なモデルを用意した。待ち望まれたLTEサービス「Xi」対応のモバイルWi-Fiルーターも2機種が発表された。「L-09C」と「BF-01C」の2機種で、Xiの普及に向けて試金石となる。

端末のスマートフォンシフトが進むとともに、サービスのスマートフォン対応も進展させる。既存のiモードサービスをスマートフォンでも使いたいという要望などに応えるものだ。

まず、iチャネルのスマートフォン対応を進め、6月からAndroidスマートフォンで対応を開始する。次に、夏モデルで対応を開始するのがエリアメール。緊急地震速報の受信に必要なサービスで、夏モデルではソフトウエアをダウンロードすることで対応が可能になる。冬モデル以降では、iモードの課金・認証の仕組みをスマートフォンでも利用できるようにする。

201105231000-3.jpg既存のビジネス・サービスの枠組みにスマートフォンが対応することで、フィーチャーフォンからのスムーズなマイグレーションを進めようとするものだ。一方で、OSはスマートフォンのものを採用しながら、サービスは既存のビジネスモデルの枠組みにに押し込もうとしているとも考えられる。オープンを求めるのか、これまでの延長線上の安心を求めるのか、ユーザーの選択が注目される(関連記事:NTTドコモ、iチャネルやエリアメールなどをスマートフォン対応に)。

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KDDI、INFOBARなどスマートフォンも個性的に

201105231000-4.jpgNTTドコモの発表の翌日の2011年5月17日、KDDIも都内で記者発表会を開催し夏モデルの新製品と新サービスを発表した関連記事:KDDIの夏モデル、新INFOBARなどスマートフォン6機種、Facebookとの提携も)。

まず端末としては、スマートフォンが6機種。ISシリーズのスマートフォンが5機種と、iidaモデルのスマートフォン「INFOBAR」である。ISシリーズでは、ツインカメラの「AQUOS PHONE IS12SH」、タフネスモデルの「G'zOne IS11CA」、10キータイプの「AQUOS PHONE IS11SH」、フルキーボードを搭載する「REGZA Phone IS11T」、ワンセグやおサイフケータイを備えたXperia「Xperia acro IS11S」をラインアップする。またiidaモデルでは、初代のINFOBARのタイル状のキーとマルチカラーを踏襲した「INFOBAR A01」を発表した(関連記事:KDDIのスマートフォン夏モデル、10キーにフルキー、INFOBARとバリエーション豊か)。

夏モデルのスマートフォン新製品は、すべて最新のAndroid 2.3を搭載。おサイフケータイや赤外線通信、「〜@ezweb.ne.jp」のEメールといった国内向けの機能も備える。また全機種が、下り最大9.2Mbps、上り最大5.5Mbpsと高速なデータ通信が可能な「WIN HIGH SPEED」に対応する。ここでもNTTドコモと同じく、スマートフォンの国内化が大きく進もうとしている。KDDIの田中孝司社長が言うところの「au標準サービスを搭載した"ガラスマ"(ガラパゴススマートフォン)をずらりとラインアップした」状況で、国内での利便性が高まるとともに、早くも世界との距離が開きつつあるようだ。

フィーチャーフォンは、6機種。1620万画素カメラを搭載する「S007」、防水スライドモデルの「T007」、使いやすさにこだわった「CA007」、金属パネルとLEDがキレイな「K009」、キラキラ輝くイルミが魅力の「T008」、500万画素カメラを搭載した簡単ケータイ「K010」である。このほか、WIN HIGH SPEEDに対応したモバイルWi-Fiルーター「Wi-Fi WALKER DATA06」、同じくUSBタイプの「DATA07」や、デジタルフォトフレームの「PHOTO-U2 SP03」などをラインアップに加えた。

ソフトバンクも新製品を徐々に発表中

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NTTドコモやKDDIと異なり、早々に発表会を実施しないことを宣言したソフトバンクモバイル。とは言え、夏モデルの新製品は同じタイミングで少しずつながら披露されている。

まず、2011年5月18日にツインカメラを搭載したAndroid端末「AQUOS PHONE 006SH」を発表した。ツインカメラを搭載することで、3Dの動画や写真を簡単に撮影できる。AQUOS PHONE 006SHはシャープ製のAndroid端末。OSにはAndroid 2.3を採用、800万画素のツインカメラ、4.2インチのQHD(960×540ドット)NewモバイルASV液晶などを搭載する。NTTドコモ、KDDIの両社からもシャープ製のツインカメラ端末が発表されており、シャープの全キャリア向けラインアップが今回も揃ったことになる(関連記事:ソフトバンクからもツインカメラのAndroid端末「AQUOS PHONE 006SH」)。

そして、もっとも衝撃的な"スマートフォン"がこれだろう。2011年5月20日に発表した「AQUOS PHONE THE HYBRID SoftBank 007SH」(以下007SH、シャープ製)だ。007SHはフィーチャーフォンのような2軸回転式の折りたたみ液晶を備えるスマートフォン。10キーを備え、スマートフォンに慣れていない人にも使いやすく仕立てた。

Android 2.3をOSに採用しており、液晶を手前に向けて閉じた形をとればフルタッチ使うスマートフォンと変わりはない。一方で折りたたみを開くとそのスタイルはフィーチャーフォンそのまま。フィーチャーフォンユーザーのスムーズなスマートフォン乗り換えに対する1つの提案となる。逆に見ると、フィーチャーフォンをAndroid OSで作ったとも考えられ、スマートフォンの定義やご利益をどう考えるかを世に問うているとも言える(関連記事:折りたたみ式、10キー搭載のAndroid 2.3端末がソフトバンクから)。

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東京の地下鉄でWiMAX利用可へ

夏モデル以外のニュースもあった。東京のモバイル事情の改善への光明として、地下鉄でのWiMAXサービス提供の話題は大きなニュースとなった。

具体的には、東京都交通局と東京メトロが、UQコミュニケーションズと共同で地下鉄の駅や列車内でWiMAXサービスによるインターネット接続を提供するというもの。都市の電波過疎地帯となっていた東京の地下鉄の列車内がサービスエリアになると、ワイヤレス通信の有用性は大きく高まる。都営地下鉄、東京メトロの路線ともに、2011年度末から順次サービスを提供することを目指して、整備工事を進める計画だ(関連記事:東京の地下鉄でWiMAXによるインターネットが可能に)。

NTTドコモからは3つのニュースリリースが相次いで発表されている。1つは、携帯電話同士で資金の移動が可能なサービス「ドコモ ケータイ送金」を5月27日にリニューアルする。リニューアルにより、資金を貯めておける「口座機能」が追加されるほか、送金できる上限額も従来の2万円から20万円に引き上げられる。口座に資金を貯めておけることで利便性が高まるだけでなく、上限額の増加と併せてネットオークションの支払いや仕送りなど少額決済以外の利用にも弾みを付けたい考えだ(関連記事:NTTドコモの「ドコモ ケータイ送金」、口座機能追加や上限額の増加を実施)。

海外渡航者へのサポートも進める。海外での携帯電話利用者に向けたサポートの強化策として、海外でのスマートフォン利用時の設定などを容易にする「ドコモ海外利用」アプリの提供と、1つが海外での無料充電サポート拠点の拡充を開始する。こうした施策はソフトバンクモバイルがすでに行っており、NTTドコモも追従した形だ(関連記事:ドコモも海外サポートを強化、Androidアプリ提供と充電拠点を拡充)。

201105231000-6.jpg最後に業界に一石を投じることになるかもしれないニュース。NTTドコモは、ソフトバンクモバイルの2010年度適用相互接続料の水準について、電気通信事業紛争処理委員会に対してあっせんの申請を行った。ソフトバンクモバイルが提案した接続料の水準について、その算定根拠となる情報の開示を求めたもの。不透明さが拭いきれない接続料問題に、動きが生じる可能性がある(関連記事:NTTドコモ、ソフトバンクモバイルの相互接続料について情報開示あっせんを申請)。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。