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[Xi Watching Report #5]Xiの加入者計画に対する進捗確認・4-5月はLTE関連の話題が目白押し

2011.06.01

Updated by WirelessWire News編集部 on June 1, 2011, 12:30 pm JST

前回(4月19日掲載)から、随分時間が経過してしまったが、引き続き月次契約者数の動向、進捗について確認すると共に、KDDIのLTE戦略について考察したい。

Xi純増構成比は3月比で上昇しているが、年間100万純増ペースには9万/月の純増が必要

昨年12月24日にサービス開始され、2010年度内に5万契約との加入者計画は残念ながら未達成に終わった。表1の通り、昨年12月以降のデータカード純増数に占めるXi構成比は純増に上げてきている。3月純増で17.4%であったXi純増構成比は、4月純増では23.7%まで上昇。少しずつ、認知が進んできた印象だ。とある、ドコモ系販売代理店幹部と5月中旬に話をした際、「12月に比べ、店頭での問い合わせは増えてきた」と聞いたが、数字にも表れていると言えよう。

▼表1:Xi契約数、純増数、データカード契約純増数などの推移
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(出所):会社資料、取材などから筆者作成

ところで、4月28日に行われたドコモの2010年度期末決算説明会では、今年度のXi契約目標102.6万契約(純増数100万)と公表された。

4月のXi純増数が1.4万であったので、目標達成には11年5-12年3月の残り11ヶ月で98.6万の純増数が必要な訳であるが、単純に1ヶ月あたりの平均的に必要な純増数を計算すると、約9万/月となり、4月だけの数で見ると目標到達には更なるペースアップが必要。今夏以降発売される、Xi版Wi-Fiルータ・タブレット・スマートフォンの販売次第という状況であろう。

東日本大震災の影響とは別に、Xiのエリア展開は順調に粛々と進んでいる印象

昨年12月24日にサービス開始された際、当面の基地局設置数目標として、2010年度:1,000局、2011年度:5,000局、2012年度:15,000局と公表された。その後、本年3月11日の東日本大震災により、少なからずドコモも基地局設備、通信設備建屋などの被害を受けている他(公表値では、194局で水没・破壊などの被害)、被災地における応急措置、その後の本格復旧を優先し、Xiの基地局設置計画は若干見直されるのではないかと想定した。

▼表2:Xi対応基地局数の推移 (※ドコモ公表値と総務省無線局情報検索との差分は、ドコモ公表値は基地局設置場所数であり、免許数ではない事に起因すると想定している)
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(出所):総務省無線局情報検索、会社資料より筆者作成

しかしながら、表2の通り2010年度の目標値は十分達成されており、4月28日の決算説明会で公表された2011年度・2012年度の計画値も震災前の計画と全く変らず、予定通りに行うというもの。Xiのエリア展開は震災とは別に順調に進んでおり、今後も計画通りに進めて行く、という事のようだ。

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KDDIも本命はLTE、2012年以降急ピッチでLTE投資を行わなければならないKDDI固有の事情

4月28日のドコモ決算発表会に先立ち、KDDIの発表会が行われた。ここでは、LTEに関し数値的な目標値や具体的な導入時期など明言は避けられたが、昨年就任した田中社長の初めての本決算説明会という事もあり、KDDIグループとしての中長期的な事業戦略が発表された。

KDDIは、今や保有するベアラの種類が国内通信事業者はもとより、海外でもあまり例が無いほどありとあらゆるベアラを保有している。「3M戦略」と名づけられた中長期戦略は、「マルチネットワーク」、「マルチデバイス」、「マルチユース」の頭文字を取って名づけられたとの事だが、何よりも数多あるベアラのそれぞれの特徴やコストパフォーマンスを有用に活かしながら、複数ベアラを保有する事が無駄ではなく、強みであることを改めて強調することに狙いがあったと見てよい。

▼図1:KDDIの3M戦略
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(出所):KDDI決算説明会資料 33ページより抜粋

昨年末の社長就任、その後の震災対応など繁忙を極める状況下、初めての本決算で社長としての責務を全うする上での「戦略」を公表した事は大いに賞賛されるが、決算説明資料上「3M戦略」を説明する全3ページのうち、数値目標が一切書かれていないのはいささか残念に思えて仕方ない。

「3M」のうち、唯一「マルチネットワーク」のみ、1ページを割いて複数ベアラを保有する事の意義を説明しているのだが、ここでの注目点は、全国エリアを展開する上での「基盤」となり得るのはあくまでもLTEであることが資料上明記されていることで、傘下のUQコミュニケーションズが提供するWiMAXや昨年10月に買収した株式会社ワイヤ・アンド・ワイヤレスが提供する公衆無線LANなどのベアラは補完的位置付け、目下3GやLTEの高トラヒックのオフロード先であることが改めて確認された。

KDDIは、現状明言は避けるものの、一昨年の1.5Ghz/1.7Ghz帯の周波数付与の際に総務省に提出している計画では800Mhz/1.5Ghzで2012年12月からLTEのサービス提供を開始し、2014年度末(2015年3月)には基地局を29,261局設置するとしている。

▼図2:移動体各社のLTEなど導入計画
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(出所):総務省発表資料

ドコモが2010年から3年程度かけ、15,000局(年平均5,000局)というペースである事を考えると、11年末〜15年3月のおよそ4年で約30,000局(年平均7,500局)とやや早いペースであると言える。

これには、KDDI固有の事情があるのだが、現在KDDIは、来年停波される予定の旧800Mhzから新800Mhzへの移行を目下進めている。更に、新800Mhzの一部はドコモのPDC(mova)と重なるため、同じく来年にPDCを停波予定のドコモが停波しない限り、KDDIの新800Mhzはフル活用できない状況だ。

800Mhz帯の再編終了後、KDDIの新800Mhzは、15Mhz幅×2となるが、現在は5Mhz幅×2での運用。2012年夏以降でないと、持っている周波数を全く運用できない状況であり、設備投資も2012年以降急ピッチで行わなければならないのである。

 
文・梶本 浩平(金融機関にてアナリストとして通信セクターを担当)

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