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いつでもそこにブロードバンドがある世界を具現化──モバイルWi-Fiルーター「URoad-8000」レビュー

2011.06.27

Updated by Naohisa Iwamoto on June 27, 2011, 14:30 pm JST

URoad-8000は、これまでにもWiMAX端末を国内に複数提供してきたシンセイコーポレーションの製品。UQコミュニケーションズのUQ WiMAXで利用できるモバイルWi-Fiルーターとしては、1つ前のモデルに3月に発売した円盤型の「URoad-9000」がある。URoad-9000は標準バッテリーと大容量のバッテリーの2つが標準で付属し、合計すると10時間以上の利用が可能というパワフルモデルだ。これに対して、新製品のURoadは、付属のバッテリー1つで9時間の連続使用をうたう。9時間の連続使用が可能ならば、バッテリー交換などをせずに1日の業務にもフルに耐えられる可能性がある。この長時間使用のチカラは実利用に役立ちそうだ。

▼柔らかい曲線で包まれたフォルムが印象的な「URoad-8000」
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シンプルで優しい曲線のボディー
ボタンや表示も必要最低限に抑える

まず基本のディメンジョンを確認していこう。ボディーは柔らかな曲線をまとった小さな箱だ。サイズは幅91×奥行き57×高さ20.4mmで、小型のスマートフォンほどの大きさである。角ばったところがどこにもないので、手にして心地良い。カバンなどに入れても収まりはいいし、取り出すときに何かに引っかかるようなこともない。重さは98gとのことで、少なくともカバンなどに入れて気になるような重さではなかった。手にしたときは、どちらかというと軽いなと感じるほどだった。

ボディーにはボタンやインジゲーターも必要最小限しかない。そのためにとてもすっきりした印象だ。前面にはアクセントになっている電源ボタンと、点灯したときだけ見える4つのLEDの表示があるだけ。シンプルな美しさがある。液晶ディスプレイなどを備えていないため、状態の確認は点灯したLEDの色や、点灯/点滅の違いなどで判断するしかない。とは言え、モバイルWi-Fiルーターの状況を逐一チェックしながら使う人はいないと思うので、大きな問題にはならない。バッテリーや電波状況は、緑が良好で黄色を経て赤くなると危ない状況を示すLED表示でもおよその見当はつく。実際には、バッテリーの残量が少なくなってきたときに、色の3段階表示だとやや不安な印象があった。それでも、液晶表示で電池のアイコンが3段階ならば、理解できる状況は同じであり、そう考えれば問題はない。

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▼ディスプレイはLED表示だけ。シンプルだが実用上はこれで問題ない。
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パソコンなどの機器に接続するには、機器の無線LAN設定画面でURoad-8000のSSIDを選んでセキュリティキーを入力するだけだ。SSIDとセキュリティキーは、裏ぶたを開けたバッテリーの横に記載してあるので親切。新しく機器を接続しようとしたときに、いちいちマニュアルを探したりする必要はない。URoad-8000は、SSIDを2つ持っている。それぞれ最大5台までのWi-Fi機器を接続できるので、最大10台の同時接続が可能だ。モバイルシーンで10台の同時接続はあまり考えられないかもしれないけれど、WiMAXは最大40Mbpsと固定のブロードバンド回線代わりにもなるパフォーマンスを誇る。家庭での利用や、イベント会場などの臨時ブロードバンド回線として使うようなときに、10台の同時接続の性能が役に立つことは十分に考えられる。

▼SSIDとセキュリティキーは、本体の裏ぶたを外したバッテリーの横に記載してある。
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東京近郊では実利用に十分な速度
バッテリーも粘り強く"切れない"

実際に10日ばかり利用してみたところ、都内から近郊程度ではWiMAXという比較的新しいサービスを利用しているということを忘れるぐらい、エリア的には問題なく接続できた。ただし個人的には、筆者の自宅での電波状況があまりよくなかったという問題があった。これは端末に依存する問題ではなく、別のWiMAX端末を利用した際にも窓際で電波を捕まえてから利用するといった状況だったので、基地局と自宅の建物の位置関係に起因するものだ。そういう意味ではエリアの広さで定評のあるNTTドコモの電波も、筆者宅ではあまり状況がよくない。WiMAXだから電波が弱いという訳ではないことを弁明しておきたい。

各所で利用しながら、USENのスピードテスト(測定サイト)でおよその下り回線速度を測定してみた。一番条件が悪かったのが前述した自宅で、それでもつながった時には1M〜2Mbps程度のスループットが得られた。自宅には別にブロードバンド回線があるので、つながらないと困るわけではないし、この程度のパフォーマンスでも下り最大7.2MbpsのHSPAの標準的な状態とさほど変わりはない。光ファイバーよりは遅いが、動画を見たりするようなことのない業務利用なら問題ないことが多いだろう。

外出先では、ターミナル駅近くのコーヒーショップ、少し郊外のショッピングセンターのコーヒーショップ、ホテルのロビーなどで計測してみた。外出してしまえば自宅よりは条件ははるかに良く、4M〜8Mbps程度の実測値が得られた。モバイルシーンでネットワークに接続していることを思えば非常に快適に使える状況だ。動画サイトを視聴してもなんら問題なくダウンロードし続けられるし、数Mバイトの写真やパワーポイントなどもストレスなく送信できた。

URoad-8000は論理的には40Mbpsの通信が可能で、スループットでも条件がいいと20Mbpsを超えるようなケースがあると聞く。今回は、高スループットが出るスポットであったり、見通しのいい駅前広場などでは通信しなかったので、10Mbps以上の値を見ることはなかった。個人的には、見通しのいい屋外でパソコンを使ってデータ通信することはあまり現実的ではないので、コーヒーショップやホテルのロビーといった実利用環境で8Mbps程度までのスループットが得られれば及第点ではないかと思う。場所を問わずにストレスを感じないで使えることは有り難いと素直に感じた。

URoad-8000のウリの1つである長時間使用はどうだったか。これが正直なところテストに難儀した。なぜなら、前述したように自宅での接続が不安定なのだ。9時間以上の連続使用となると筆者の場合には自宅で試用するのがベストなのだが、そこでは使い続けられない。やむなく外出時に電源を入れてそのまま持ち歩き、使えるときはパソコンやスマートフォンなどでデータ通信を試みるというスタイルで利用した。なので、厳密なテストとは程遠く、使用感をお伝えするレベルであることをお断りする。

それでも結論から言うと、かなりのスタミナの持ち主だ。8時間を超える外出で実質的には3〜4時間程度の使用だったときに、帰宅した際にバッテリーのLEDは赤く点灯していた。それでもまだ通信可能な状態であり、バッテリーがなくなって電源が切れるまでは至らなかった。8時間といった時間をずっと通信し続けていたら、バッテリーは切れていたかもしれないが、そうした状況はあまり現実的ではない。パソコンのバッテリーが8時間の連続使用に耐えないだろうし、8時間も連続使用する場所にはAC電源がある可能性が高いからだ。感覚的には、1日の仕事で連れ回しても、残業が長引かなければ帰宅するまでバッテリーは持つ印象だった。

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利用者の感想としては、つながないときはWi-Fiをオフにできる設定があるといいなと思った。明示的に「今はつながないから少し休んでいて」と伝えて、電力消費を抑えたい気がするのだ。かと言って電源を落としてしまうと、次に起動して接続するまでに1分程度かかってしまう。そうするとせっかくの常時接続モバイル回線なのに、ストレスを感じることになる。実際にはパワーマネジメントがしっかりなされていて、電源を入れっぱなしでもWi-Fi機器が接続されていなければほとんど電力は消費しないのだろう。だとしたら、スリープモードで電力消費が少ない状態にあることが、何らかの形で利用者に伝わったら安心であるように思える。

▼裏ぶた側から見てもツルンとした形状、カバンに潜ませておくには惜しい。
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Wi-Fiのオフができないこと、LEDの表示がシンプルなこと--。最初は少し戸惑った。しかし使っていくうちに、このモバイルWi-Fiルーターは本当に電源を入れたままカバンの中に放りこんでおく機器なのだと感じるようになってきた。ユーザーがなにかイジルものではないと。とにかくいつでもWi-Fiで接続できるブロードバンド回線があり続けることに意義があるからこそ、URoad-8000はシンプルなデザインやインタフェースで自己の存在を誇示しないのだと思えてきたのである。

■スペック
製品名:URoad-8000
メーカー:シンセイコーポレーション
実売価格:5800円(UQ Flat 年間パスポート)

●対応無線LAN:IEEE802.11b/g●同時最大接続数:10台●バッテリー使用時間:約9時間●重さ:約98g●サイズ:幅91×奥行き57×高さ20.4mm

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。