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[2011年第23週]ウィルコム契約が急増、Androidの出荷はiPhoneの3倍に、980円の定額データ通信始まる

2011.06.13

Updated by Naohisa Iwamoto on June 13, 2011, 12:00 pm JST

首都圏では梅雨のジメジメした気候の真っ盛りだが、そんな湿り気を吹き飛ばすような元気なニュースが飛び込んできた。5月末の携帯電話・PHSの契約数では、ウィルコムが14年ぶりの大きな純増を記録し完全復活への足がかりをつかんだ。また2011年第1四半期の携帯電話出荷の調査では、Android端末が急増しスマートフォン市場を牽引していることがわかった。

ウィルコムの復活劇、新人Androidはすでに主役に

電気通信事業者協会(TCA)が発表した、5月末の携帯電話・PHSの契約数では、大きな動きがあった。全キャリアを通じて、純増数のトップはソフトバンクモバイルで29万9000だった一方で、NTTドコモは6万3000で最下位という結果だった。NTTドコモは夏モデル発表に伴う買い控えなどが影響したようで、PHSやWiMAXも含めた全キャリアを通じて最下位の純増数になった。ウィルコムのPHSは13万を超える純増を記録した。もう1台無料キャンペーン」などの各種キャンペーンと定額プランの効果がはっきりと表れてきた(関連記事:携帯電話・PHSの5月末の契約数、ウィルコムが13万超の純増、最下位はNTTドコモ

また、2011年第1四半期(2011年1月〜3月)の国内携帯電話市場の出荷台数の調査結果がIDC Japanから発表された。スマートフォンの出荷は好調で、この四半期のスマートフォン出荷台数比率は44.9%に達した。その中でもAndroidをOSとしたスマートフォンは約290万台と大きな出荷を記録し、先行していたiPhoneの出荷数の約3倍の規模に達したという。また、メーカー別シェアでは、アップルがシャープ、富士通・東芝についで単独第3位に躍進したことがトピックである(関連記事:アップルが国内携帯市場で初の3位に、Android端末はiPhoneの3倍に--IDC調査)。

201106131200-1.jpg時流を感じさせる話題もあった。6月8日から10日まで幕張メッセで開催されているInterop Tokyo 2011 の会場では、「節電」「省電力」をうたったソリューションが目立った。この夏、東京電力と東北電力の管内では15%の節電目標が掲げられていることから来場者の関心も高く、クラウドやVPNのソリューションの展示にも「節電」の文字が躍っていた。例えば、機器ごとの消費電力をモニターするためのインテリジェントコンセントの出展や、太陽電池と風力発電を組み合わせたハイブリッド発電システムで「電気を作ってしまおう」というソリューションもあった(関連記事:Interop Tokyo 2011 に見る「節電」ソリューション)。

事故、紛争、買収--キャリアーの動き

週明けには携帯電話サービスが使いづらい事故が起こった。NTTドコモは2011年6月6日、関東および甲信越地域で契約したユーザーの一部につながりにくい状況が発生しているとアナウンスした。6月6日8時27分ごろに発生し、事態発生から13時間ぶりとなる6月6日21時36分に利用しにくい状況から復旧した。影響はFOMAやXi、movaの約172万ユーザーに広がった(関連記事:NTTドコモ、関東甲信越で契約したユーザーにつながりにくい状況)。

201106131200-2.jpg事業者間での接続料問題が火種になっている。ソフトバンクモバイルは、NTTドコモが電気通信事業紛争処理委員会(以下、委員会)に情報開示のあっせんを申請していた接続料問題で、第三者である委員会に情報を開示すると発表した。ソフトバンクモバイルの2010年度適用相互接続料の水準について、算出の根拠となる情報の開示を求め、NTTドコモが5月18日に委員会にあっせんの申請をしていた(関連記事:ソフトバンクモバイル、電気通信事業紛争処理委員会に情報を開示へ)。

一方、KDDIは、電子マネーの「WebMoney」を運営するウェブマネーの完全子会社化を目指し、発行済株式と新株予約権のすべての公開買付けを実施する。KDDIではウェブマネーの完全子会社化により、WebMoneyとauのキャリア決済サービスの一体化や、auショップでのWebMoney販売、送金事業との連携、海外市場への展開などを進めていく(関連記事:KDDI、決済手段の拡充をめざし電子マネーのウェブマネーを子会社化)。

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980円定額データ通信サービスやFacebookクーポンが始まる

サービスの新顔が登場しているのもこの週のトピックだ。イオンリテールと日本通信は、月額980円の定額制3Gデータ通信サービスなどを共同で提供することを明らかにした。6月10日からイオンの14店舗で販売を開始する。提供を開始するのは、NTTドコモのFOMA網を利用した3Gデータ通信サービス。イオン限定の「b-mobile SIM」として提供する。プランは3種類。最も低料金なのが「月額定額980円」のプラン。ベストエフォート型で通信速度は約100kbpsに制限されるが、月額980円で自由に使える(関連記事:イオンと日本通信、月額980円の定額データ通信用SIMを発売)。

201106131200-3.jpg新サービスを国内で提供を始めたのがFacebook。位置情報を友人とシェアする「スポット」機能と連動して、割引やアイテムとの引き替えなどの来店特典を提供する「Facebookチェックインクーポン」機能の提供を開始した。同サービスは米国では昨年11月に開始されており、今回の日本でのサービス開始は欧州に続くもの。アジアでは初となる(関連記事:Facebookが位置情報と連動した「Facebookチェックインクーポン」を開始)。

法人の利便性を高めるサービスも始まる。KDDIは、法人向けの音声定額FMCサービス「KDDI ビジネスコールダイレクト」に新しく「内線Cメール機能」を追加すると発表した。定額料金の中で、内線番号を使ったCメールのコミュニケーションも可能になる(関連記事:KDDI、法人向けFMCサービスに定額内で使える「内線Cメール」を追加)。

もう1つはソフトバンクテレコムがクラウド型エリアワンセグ配信プラットフォームを開発したニュース。総務省の「ホワイトスペース特区」におけるエリアワンセグの配信トライアルに対して提供する。ソフトバンクテレコムは、ワンセグの送信機と番組の配信プラットフォームを分離し、配信プラットフォームをクラウド型で提供することで経済性と効率性を高めたエリアワンセグを実現できるようにした(関連記事:エリアワンセグをクラウド型で提供、ソフトバンクテレコムがプラットフォーム開発)。

スマートフォンをさらに便利に使う

201106131200-4.jpgBluetooth Special Interest Group(SIG)は、Bluetooth v4.0を使用したBluetooth体温計および心拍計製品の実用化を可能にする技術を開発した。Bluetooth v4.0には「体温計プロファイル」「心拍計プロファイル」が組み込まれており、モバイルヘルスのソリューションを実現できる。Bluetooth SIGでは、Bluetooth v4.0は2011年第4四半期以降に新規発売されるスマートフォンから組み込みが始まり、2012年末までには100%のスマートフォンに導入されると見ている(関連記事:Bluetooth SIG、Bluetooth v4.0を搭載した体温計・心拍計を実現へ)。

KDDIは、auスマートフォン「htc EVO WiMAX ISW11HT」のソフトウエアアップデートを実施すると発表した。このアップデートでCメールの送信に対応する。EVO WiMAXのソフトウエアアップデートには、3つの内容が含まれる。1つがこれまで受信しかできなかったCメールの送信に対応すること。2つ目は、「じぶん銀行スマートフォンアプリ」を利用できるようになること。3つ目は、ある種のEメールが正しく送信されない事象の改善である(関連記事:KDDI、EVO WiMAXをアップデートしてCメール送信に対応)。

スマートフォンに保存してあるデータの印刷ソリューションも提供された。富士ゼロックスは、Android端末内のコンテンツをセブン-イレブンでプリントできるサービスを開始した。インターネット経由で登録したファイルを全国のセブン-イレブンのマルチコピー機でプリントできるサービス「ネットプリント」をAndroid端末向けのアプリから利用できるようになった(関連記事:富士ゼロックス、Android端末内の写真や文書をセブン-イレブンでプリントできるサービス)。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。