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【図・グラフ】モトローラを抱え込むグーグルのジレンマ(米アナリストの試算)

2011.08.22

Updated by WirelessWire News編集部 on August 22, 2011, 08:53 am JST

米パイパー・ジャフレイ(Piper Jaffray)のジーン・マンスター(Gene Munster)氏といえば、ベテランのアップル・ウォッチャーとして知られたアナリストだが、そのマンスター氏が19日に、先週モトローラ(Motorola)の買収を発表したグーグル(Google)が「アップルの垂直統合モデル」に倣ってAndroid OSの他社への提供を止めた場合と、現在のまま「オープンなモデル」を維持した場合との損得を比較する試算を発表している。

この投資家向けレポートの試算について採り上げた9to5Macブログの記事によると、グーグルがもし「垂直統合モデル」のみを選ぶと決断し、これを2013年に実施した場合、Android OS(=モトローラ製携帯端末)の市場シェアは2015末時点で20%で、グーグルの営業売上(operating income)は35%増となり、営業利益は105億ドル、一株あたりの利益は25.16ドルの増加になるという。

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[Android OSの他社への提供を止めた場合 - 出典:9to5Mac]

マイナス面としては「オープンからクローズド」への路線変更によって生じるAndroidのシェア減少が挙げられており、オープンを続けた場合には2012年:43%、2013年:45%、2014年:47%、2015年:50%と緩やかな増加が期待できるのに対して、クローズドにした場合は、2012年:43%、2013年:15%、2014年:18%、2015年:20%にそれぞれなるという。

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[Android OSの他社への提供を続けた場合 - 出典:9to5Mac]

このシェア減少に伴う広告収入額の減少は、2015年に年間45億ドル(1ユーザーあたり10ドルで試算)にも及ぶとマンスター氏は予想している。

いっぽう、モトローラ単体で見た場合はオープンからクローズへの変更にともない、現在25%程度の粗利率が2015年には35%へ、また現在約3%の営業利益率も20%まで向上すると試算されている。ちなみに、現在のiPhoneの粗利率は50%、営業利益率は40%で、いっぽうサムスンの携帯端末部門の営業利益率は14%程度だという。

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[アップルとモトローラ(2パターン)の利益率比較 - 出典:9to5Mac]

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[端末1台あたりの販売価格比較 - 出典:9to5Mac]

こうした試算を踏まえ、マンスター氏はレポートの結論として「グーグルが広告事業を犠牲にすることは考えにくいため、モトローラから特許を取得した上で、同社のハードウェア事業を手放す可能性がもっとも高い」と述べているという。

【参照情報】
What if Google closes Android and goes the Apple model with Motorola? - 9to5Mac
グーグルのモトローラ買収 - Android端末メーカー各社にとっての「損と得」
グーグルのモトローラ買収 - 「グーグルは押し売りを断れなかった」説について(編集担当メモ)
パンドラの箱を開けるグーグル - 「モトローラのハードウェア部門売却説」浮上の理由
グーグル、モトローラを125億ドルで買収へ - 特許関連強化はプラス、ハードウェアベンダーとの関係は微妙に

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