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多彩な解があるスマートテレビのインフラ構築を一元サポート--コンテンツや課金方法がシステム構成と並ぶ提案の柱に

2011.09.26

Updated by WirelessWire News編集部 on September 26, 2011, 15:00 pm JST Sponsored by NOKIA

テレビ受像機とインターネットの接近、スマートフォンやタブレット端末でのビデオコンテンツの視聴--。動画を楽しむ「スクリーン」がテレビ受像機だけだった時代から、さまざまな大きさの多様なディスプレイで、テレビ放送や動画コンテンツを楽しむ時代に移り変わった。いわゆる"スマートテレビ"の時代になると、テレビ放送や動画コンテンツがどのようにネットワークと融合し、新しいサービスや価値を生み出していくのか。ノキア シーメンス ネットワークスでTV & ビデオ・ソリューションズ・ビジネス・ディベロップメントの責任者であるステファン・シュナイダーズ氏に、最新の動向を聞いた。

まず、ステファン氏はビデオコンテンツを視聴する市場には、大きく4つのトレンドがあると指摘する。1つずつ確認していこう。

1つ目のトレンドは「マルチスクリーン」。これまでとは異なり、テレビ受像機だけで楽しむのではなく、ノートブックやタブレット端末、スマートフォンなどのさまざまな機器でテレビ放送やビデオコンテンツを楽しむようになってきたことを挙げる。2つ目は、ヨーロッパとアジアを中心にしてテレビ受像機にIPTV機能を融合させた「コネクテッドTV」が増えてきていること。3つ目は、すでに全世界で7億人以上が利用しているというFacebookをはじめとして、各種のソーシャルコミュニティが台頭してきていることを挙げる。そして4つ目のトレンドは、「マルチタスキング」。放送を見るだけでなくさまざまなタスクを同時に楽しむようなテレビ受像機の使い方である。特に若い世代を中心に増えている傾向だという。

ステファン氏は、これらの4つのトレンドが組み合わさることで、インターネットのトラフィック急増、すなわち"トラフィックトルネード"が起こっていると分析する。特にインターネット上でテレビ放送や動画コンテンツを視聴するOver The Top(OTT)によるビデオ視聴がトラフィックの多くを占めるようになってきている(図A)。インターネットをテレビのスクリーンで楽しむ傾向が増え、それと同時にテレビのスクリーンのHD(高精細)化や3Dテレビの普及も進む。

▼図A IPのトラフィックは一般消費者のインターネット利用で伸び続ける。その中でもインターネットビデオ(OTT)のトラフィックが急速に伸びる ※画像をクリックして拡大
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コンテンツをマルチスクリーンに届けるソリューション

こうした中で、さまざまな「スクリーン」に対して、テレビ放送やビデオオンデマンドなどの多種多様の映像コンテンツを提供するには、系統だったソリューションが必要だ。ステファン氏は、ノキア シーメンス ネットワークスが「テレビ」のソリューションもフルラインアップで提供していると説明する。その構成を図Bに示した。

▼図B スマートテレビのソリューションを構成する要素。左側が端末、右側がコンテンツ提供側、その間を配信管理プラットフォームやゲートウェイがつなぐ ※画像をクリックして拡大
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図の見方をまず確認しよう。右側がコンテンツの提供者、左側が視聴者になる。右側のボックスには多様な形態のビデオコンテンツがある。ライブのテレビ放送やビデオオンデマンド、ネットワークのリソースを使った上で録画や再生をするnPVR(Network Personal Video Recorder)などである。これらから送出される各種コンテンツは、コンテンツマネジメントシステムで制御され、ネットワークを介して視聴者に届く。左側のボックスには、視聴者が動画を楽しむさまざまなデバイスがある。テレビやパソコン、タブレット端末やスマートフォンなどを使って視聴する、いわゆる「マルチスクリーン」のテレビサービスが実現されることになる。

ユーザーにとっては、マルチスクリーンのテレビサービスにより、タブレット端末で番組ガイドを選択して大画面のテレビで番組を視聴したり、ビデオオンデマンドで映画を見たり、大画面テレビで見ていたコンテンツの続きを出先のスマートフォンで楽しんだりといった、さまざまな利用法が広がる。こうしたサービスをユーザーが利用するときに、例えばテレビ放送を見るならば「テレビサービス」につながる必要があるし、さらにビデオオンデマンドなど他のサービスにも接続できるシステムが必要だ。タブレット端末やスマートフォンが接続しているインターネットおよびマネージドIPネットワークなどのテレコム系のサービスとは、ゲートウェイを介して接続する。

このソリューションで中核をなすのが、「サービスメディエーション」と「メディアデリバリープラットフォーム」。これらがシステムの中心となってユーザー管理やコンテンツ配信を制御する。ステファン氏は、「ノキア シーメンス ネットワークスでは、マルチスクリーンテレビサービスを構成する要素を、すべて提供している。サービスを提供しようとする事業者は、すでにノキア シーメンス ネットワークスからワンストップでシステムやソリューションを導入できる」とソリューションの提供状況を説明する。

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国や地域ごとにコンテンツも料金も千差万別

ここでステファン氏は、欧州やアジアで始まっているテレビサービスの具体例を紹介した。具体的な状況を知ることで、ソリューションの全体像を理解しやすくなる。

その1つがベルギーのIPTVオペレーターであるベルガコムTVのテレビサービスだ。ベルガコムTVでは、有料でテレビサービスを提供しており、月額20ユーロ程度の収入が1ユーザー当たり確保できているという。基本の有料テレビサービスに、各種のパッケージプラン、フットボール(サッカー)プラン、オンデマンドプランなどを追加して使う料金体系を採る。

ステファン氏は「2010年に、ベルガコムTVがノキア シーメンス ネットワークスに対して問い合わせてきた。ベルガコムTVはIPTVサービスを提供しているが、IPTVに加入していないその他のユーザーにビデオサービスを提供するにはどうしたらいいだろう?というものだった」と振り返る。パソコンやスマートフォンなどのモバイル端末に対して動画配信するネットワークを作ろうというわけだ。ノキア シーメン ネットワークスは、インターネット上で動画を配信するOTTビデオの仕組みを使って、サッカーの試合を生放送したり、試合のハイライトをオンデマンドに配信したりするサービスを提案した。そうして提供されたのがジュピタープロリーグのサッカー専門放送「ベルガコム11」である。試合単位で課金する有料サービスである(図C)。

▼図C ベルガコムTVのサービスイメージと、追加したOTT TVサービスの位置づけ ※画像をクリックして拡大
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ベルガコムの事例からわかるポイントは、「サービスを提供するに当たって顧客の興味のあるコンテンツを提供しなければならなないということ」だとステファン氏は説明する。ベルギーは小国だが、サッカーへの興味は非常に高い。コンテンツが国民性にフィットしたことで、1000万人ほどの人口の国で100万契約ものIPTVの加入が得られた。さらにOTTでも2〜3万人の同時視聴が可能なシステムを導入するほどになっている。ベルギーでは「サッカー」というキラーコンテンツが重要な役割を果たしている。

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これが他の国だったら話は違う。ステファン氏は、「スポーツはライブなテレビサービスのコンテンツとして重要なものの1つだ。その中でも、ヨーロッパではサッカーが重要であるように、アメリカでは野球やバスケット、インドならクリケットなど、興味のあるスポーツは異なる」というのだ。その国ではどんなスポーツに興味があるか、コンテンツの権利関係をクリアして提供できるのか――。これらの事情によって提供するコンテンツは異なってくる。

ステファン氏は、次にトルコのテレビサービスの事例を取り上げた(図D)。トルコではボーダフォンがOTTによるモバイルテレビサービスを提供している。顧客の興味に合わせたパッケージを作り、パッケージ単位で月額課金する方式である。パッケージには、スタンダード、スポーツ&エンターテインメントなどがあり、月額でユーロに換算して4ユーロ程度でパッケージ内の番組は見放題になる。

▼図D トルコのボーダフォンが提供するモバイルテレビのサービス。月額料金でパッケージごとの見放題という料金体系を採用する ※画像をクリックして拡大
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料金体系を見ると、ベルギーとトルコでは大きな違いがあることがわかる。ベルギーのサービスでは90分のサッカーの試合ごとに約3.5ユーロがかかるが、トルコのサービスでは月額約4ユーロと非常に低コストで多くの番組を見られる。「国や地域、そして顧客によって興味分野が異なるため、適したコンテンツや料金体系を選択しなければならない好例」とステファン氏は語る。

もう1つの例としてステファン氏は、中国で2011年8月にモバイルテレビサービスの提供を開始したばかりのSMG(上海メディアグループ)の名を挙げた。このSMGのサービスは広告モデルで作られている。そのため、利用者は料金を支払わずにサービスを利用できる。上記の3つの例を見ただけでもわかるように、サービスもコンテンツも料金も、国や顧客によって大きく異なる。「ノキア シーメンス ネットワークスとしては、技術的なソリューションももちろん重要なファクターとして位置づけているけれども、それと同様にどのようなエコシステムを創り上げていくかという側面でのコンサルテーションが重要だと考えている」(ステファン氏)。

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複数の「経路」でトラフィックの増大を吸収

動画コンテンツを通信回線を使って配信すると、トラフィックがどんどん増えていく。こうした増大するトラフィックをオフロードする方法として、ノキア シーメンス ネットワークスではハイブリッド型のシステムを提案する。

ステファン氏は「テレビやパソコン、モバイル端末などを対象としたマルチスクリーンテレビサービスを考える。このとき、複数の配信方式を組み合わせることで、トラフィックの集中を避けることが可能になる」と言う。図Eのように、ライブのテレビ放送は衛星や地上波のデジタルテレビ放送(ヨーロッパではDVB方式)を使う。ビデオオンデマンドやゲーム、ニュースや天気予報といった情報サービスなどはIPネットワークやCATVを使って配信する。さらに3G携帯電話やWiMAX、4GのLTEなどでモバイル端末にもサービスを提供できる。利用端末やシーンによって複数の回線を使い分けることで、トラフィックの一極集中を防ぎ、快適なサービスの利用が可能になる。

▼図E ハイブリッド型のシステムでトラフィックの増加に対応。インターネット経由のOTTと、デジタル放送、モバイル回線を組み合わせた例 ※画像をクリックして拡大
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端末側から見ると、テレビ受像機ではSTB(セットトップボックス)を介して、衛星や地上波経由のテレビ放送とIPネットワークやケーブルテレビ経由の各種のサービスが受けられる。インターネットに接続したOTT STBを使えば、テレビでインターネット経由のサービスも受けられる。さらにパソコンやスマートフォン、タブレット端末などへは3GやLTEなどの無線データ通信を経由して各種のサービスを届けることも可能だ。このようにマルチスクリーンに対して、事業者は1つのプラットフォームから各種のコンテンツやサービスを提供できる仕組みが整えられている。

サービスを提供する際の中核機能が、図Bで紹介した「メディアデリバリープラットフォーム」である。コンテンツも端末もユーザーも、すべてのものがメディアデリバリープラットフォームにつながるイメージである。どんなネットワークで配信するかの制御、STBに合わせた配信方式の選択、加入者が視聴できる権利に対応したコンテンツの配信など、プラットフォームとしてテレビサービスを支える。一方、加入者情報の管理や課金などは「サービスメディエーション」が担当する。メディアデリバリープラットフォームとサービスメディエーションが連携して、テレビサービスをバックエンドで支えている構図である。

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目的に合わせてソリューションのポートフォリオを構成

ステファン氏は、「さまざまな端末で視聴する"マルチスクリーン"と、インターネットに接続した"コネクテッドテレビ"を活用することは、ユーザーにより良いサービスを提供するにとどまらず、事業者にとってもメリットがある」という。スマートテレビの提供でユーザーには、これまで以上に多様なサービスを得られるメリットがある。一方、事業者が得られるメリットを確認したい。キーワードが3つある。「リーチの延長(Extended Reach)」「サービスの融合(Blended Services)」「効果の最大化(Maximize Efficiency)」である(図F)。

▼図F スマートテレビ導入による通信事業者が得られる効果を3つの側面から整理する ※画像をクリックして拡大
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最初の「リーチの延長」では、新しいテレビサービスを提供することで、事業者はこれまでの通信サービスのユーザーとは異なる新しいユーザー層を取り込むことが可能になる。インターネットでテレビ放送やビデオオンデマンドを視聴したいユーザー、マルチスクリーンでどこでも映画を見たいユーザーなどを自社の顧客に取り込める。ユーザー層の拡大、ARPUの上昇につながる可能性がある。

2つ目の「サービスの融合」では、テレビのサービスとSNSなどの通信サービスを融合させ、アプリケーションゲートウェイにより新しいサービスを提供する。ソーシャルコミュニティのユーザーやマルチタスキングの利用形態を求めるユーザーにアピールするツールになる。魅力あるサービスを提供できれば、顧客の解約を減らすことにもつながる。

最後の「効果の最大化」では、ネットワークにおけるコストを下げることが目標になる。そのためには、動画コンテンツに適したキャッシングを採用することや、コンテンツ配信に最適化したコンテンツデリバリーネットワーク(CDN)の利用が候補になる。例えば、すでにYouTubeではトップ100のコンテンツが90%のビデオのトラフィックを占めていると聞く。こうした状況ではインテリジェントにキャッシングする機能があれば、ネットワークの負荷を下げることに大きな効果がある。

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動画コンテンツを扱うサービスでは、このように目的と手段を整理することで、事業者は目的に合わせたポートフォリオが選択できるようになる。「通信サービスのARPUを増やしたいならネットワーク経由のテレビサービスのソリューションを導入すればいいし、OTTのコストを下げたいならキャッシングやCDNを導入すればいい」とステファン氏は語る。マルチスクリーンやコネクテッドテレビを駆使した"スマートテレビ"のサービスは、各国の事業者の目的と意思が明確になれば、すでにノキア シーメンス ネットワークスのノウハウですぐに構築可能なところまできている。

201109261500-7.jpgステファン・シュナイダー氏
ノキア シーメンス ネットワークス TV&ビデオ・ソリューションズ・ビジネス・ディベロップメント責任者
Open IPTV Forum役員

ドイツ連邦軍大学でコンピューターサイエンスを学んだ後、モバイルおよび通信業界で20年以上の経験を持つ。過去10年以上にわたり、モバイルTV、モバイルペイメント、情報セキュリティ、バイオメトリクスなどの業界革新の発展に携わる。シーメンスネットワークスのビジネス・ディベロップメント・モバイル・ブロードキャストの責任者を務めた後、現職。

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