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巨大データセンターはスカンジナビアをめざす(編集担当メモ)

2011.09.14

Updated by WirelessWire News編集部 on September 14, 2011, 16:42 pm JST

グーグル(Google)が先週末に、フィンランドのハミナ(Hamina)という町に総額2億ユーロをかけたという巨大なデータセンターを開設したが、これにあわせてWall Street Journal(WSJ)がグローバルなウェブ企業のデータセンター誘致をねらう地元スカンジナビア諸国の思惑や期待なども交えた詳細なレポート記事を掲載していた。

まず、グーグルのデータセンターが置かれたハミナという町は、下記のGoogle Mapにあるとおり、首都ヘルシンキの東方、ロシア国境からもそれほど遠くないバルト海に面した場所にある。グーグルは2009年に、この町にある製紙工場 - 廃業により使われなくなっていた--を買い取り、データセンターへの転用にむけて準備を進めてきていた(オンラインや他の電子媒体との競争激化で紙媒体の苦戦が続くなか、その原料となる雑誌や新聞用の紙を生産していた施設をグーグルが買い取るというのも時代の流れを反映する出来事か)。


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WSJによれば、グーグルがこの地への巨大データセンター設置を決めた主な理由は、その「寒さ」(寒冷な気候)にあるという。同社では先ごろ自社のエネルギー関連の取り組みに関する情報を公表、そのなかで昨年の年間電力使用量が2.26テラワット/hであったことを明らかにしたが、これは米国の標準的な家庭で使う電力の20万倍(20万世帯分)に相当するという。そして、この大部分がデータセンターでのサーバー冷却に使われているとWSJでは指摘している。また昨年、世界の電力消費量の約1.5%がデータセンターによるものとされ、今後さらにインターネットのデータトラフィック増大が予想される中で、この冷却費用の低減は関係各社にとっての優先課題になっているという。

ハミナのデータセンターには、製紙工場として使われていた時代から海水を使った機械を冷やすための仕組みがあったが、グーグルは新たにこの冷却装置を作り直して利用するため、寒冷な外気とも相まって、同社データセンターのなかでももっとも電力利用効率が高い施設になっているという。


Google's Hamina Data Center

日本でもしばらく前から北海道をはじめとする寒冷地へのデータセンター誘致・開設の動きが活発になっているが、「大量の熱を発するサーバー群を自然の力を借りて冷やす」という発想はいずこも同じなのか、スカンジナビアではこのグーグルの例以外にも巨大データセンターの誘致・開設に向けた動きが進んでいるとWSJは述べ、スウェーデンの北部にあるルレア(Luleå)という町の例も紹介している。


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ボスニア海に面した人口5万人ほどのこの町は、年間の平均気温が摂氏2度で、ここ50年間に気温が摂氏30度を超えた時間(日数ではない)はあわせて24時間程度に過ぎないという。だが地元の起業家らは、そうしたある意味過酷ともいえそうな気候を逆手にとって、現在同地を「データセンターのメッカ(hot spot)」にしようと積極的に誘致活動を展開。そして、この活動が奏功し、すでに「天然の冷蔵庫」ともいえるこの気候に着目した米国の某ネット企業ーーWSJでは「フェイスブック(Facebook)と思われる」としているーーが、町の外側に巨大なデータセンターを建設する方向で計画を進めているという。

このルレアでのデータセンター開設に要する費用は推定で30億〜50億クローネ(4億5900万〜7億6400万米ドル)と前述のグーグルのフィンランド・データセンターのそれを上回ると予想され、地元にとってもこれまでで最大--過去に行われた企業による最大の投資例にくらべて3倍以上の規模になるという。ただし、経済効果については一時的なものがもっぱらで、雇用の創出やそこからの波及効果という面ではあまり期待できないとWSJは指摘、雇用される従業員の数は、グーグルのフィンランドの例で90人、計画中のスウェーデンの例でも70〜90人程度になる見通しと付け加えている。

さらに、グーグルやフェイスブックといったネット企業が、スカンジナビアをデータセンターの拠点に選ぶ理由は、寒冷な気候にとどまらない。WSJでは、そのほかに、安定した政治・社会状況、優れた光ファイバー網(通信インフラ)、自然災害の可能性の低さなどを挙げる識者の声も紹介されており、さらに将来の市場拡大が見込まれるロシアへの近さにも触れている。

さらに歴史的に製紙業や製鉄業が盛んだったこれらの地域では、水力発電による廉価で潤沢な電力の確保が期待できることも企業にとっては大きいとし、「(停電もさほどめずらしくはない)米国からの来訪者に『当地では1979年以来一度も停電がない』と言っても、なかなか信じてもらえないようだ」という地元関係者のコメントも紹介されている。

【参照情報】
Google Green - Google
For Data Center, Google Goes for the Cold - WSJ.com
Cool Finnish weather the new hotness for green data centers - GigaOM
Google、フィンランドの製紙工場を買収へ - TechCrunch JP
Google、"100%海水冷却"のグリーンデータセンターを動画で紹介 - アイティメディア

データセンターにおける停電対策と、消費電力削減のための取り組みについて、データセンター事業者大手のさくらインターネットに取材した記事はこちら

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