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[Deloitte Mobile Survey #2]携帯電話インターネット利用動向〜モバイルインターネットでも新興国の「アーリーアダプター」の動向を追え!

2011.11.17

Updated by WirelessWire News編集部 on November 17, 2011, 18:00 pm JST

前回の報告では、インド、中国、南アフリカといった新興国の回答者が、モバイル先進国である日本・韓国、および欧米先進国と比較し、同等以上に積極的に携帯電話を利用する姿の一端をご紹介した。簡単に述べると、新興国ユーザはスマートフォン、モバイルインターネットの利用に積極的で、更には新しい機能を使うことに対して貪欲であるという結果である。今回は、携帯電話を通じたインターネットの利用動向のうち、その内訳に迫ってみたい。

なお、今回、携帯電話によるインターネットサービスを、以下のように分類の上、調査を行っている。

●コミュニケーション系サービス

  • フォト・ビデオメッセージ
  • ソーシャル・ネットワーク

●ブラウジング系サービス

  • インターネットサイト閲覧
  • オンラインバンキング
  • オンラインショッピング

●コンテンツ系サービス

  • 着メロ・音楽ダウンロード
  • アプリ利用

1. コミュニケーション系サービス

日本においても普及期入りしたと言われ始めているfacebook、日本上陸を果たしたLinkedinとソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)に関する話題に事欠かない日本市場であるが、世界的に見ても、モバイル経由でのSNSへのアクセスは、日常化しつつあるようだ。スマートフォンあるいはPDA経由で、SNSを週に1回以上利用する人の割合を見ると、facebookの本国である米国を超えて、インドが一位(78%)となっている(図1参照)。元々、インドのSNS市場はGoogleのorkutが寡占していたが、Googleトレンドをみると2009年後半頃からfacebookが爆発的に伸びており、新規ユーザが大量に流入していることが推察される。この点を考えると、インドでの利用の多さはfacebookの伸びが影響しているのかもしれない。また、週に1回以上SNSをスマートフォン・PDA経由で利用すると回答している人が50%を超える国は15ヶ国中で14ヶ国という状況である。余談になるが、facebookと安価な携帯電話向けのチップなどに強みを持つメーカであるMediaTekが提携という発表が先日あった。この提携により、インドなどの新興国市場では、中堅以下のメーカで採用されるチップを通じ、更にfacebookの浸透が進む可能性もある。

▼図1:SNSを週に1回以上利用する割合(※画像をクリックして拡大)
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一方で、日本で「写メ」という言葉が代名詞ともなった、フォトメール、また動画/ビデオメールの利用状況を聞いてみたところ、中国が週に1回以上利用するユーザの割合が突出して高いこと(43%)が分かった(図2参照)。友人や家族間でのコミュニケーション、昨今の不況を受けた、消費者による小売店舗内での商品価格の友人との共有や連絡、そのような目的のためにフォトメールやソーシャル・ネットワークを使う機会が増えている。それを逆手にとり、ソーシャルメディアプロモーションを小売事業者が企画するという海外事例も出始めている。これら全てが当てはまらないとしても、そうした発想やQQなどに代表されるモバイルIM(インスタント・メッセンジャー)の普及などが、中国での活発なコミュニケーションの下支えになっているのかもしれない。

▼図2:フォト・ビデオメッセージを週に1回以上利用する 割合(※画像をクリックして拡大)
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2. ブラウジング系サービス

次に各国でのモバイルを通じたインターネットの利用状況を見てみたい。

まず、スマートフォンあるいはPDA保持者で週に1回以上インターネットサイトを閲覧する人の割合を見ると、先進国では日本と米国が80%以上の回答者が該当すると回答している。注目すべきは、日米の間に挟まれる格好になって、中国、インドの2ヶ国が入っていることだ(図3参照)。モバイル先進国の日本、スマートフォンの影響から従量制課金の動きとなっている米国と同等のインターネットサイトの閲覧割合の高さということは、両国と同様に、インターネットサイトを活用した様々なサービスの下地となるターゲット顧客層が存在すると推察される。

▼図3:モバイル経由でインターネットサイトを週に1回以上閲覧する割合(※画像をクリックして拡大)
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インターネットサイトを活用したサービスとして、モバイルバンキングの利用動向の比較を見てみたい。スマートフォン、あるいはPDAを持っている人で、インターネット利用を行っている回答者に絞って比較を行ったところ、週に1回以上モバイルバンキングを利用する人の割合が、モバイルインターネットサイトの閲覧上位である中国とインドの2ヶ国が1位、2位となった(図4参照)。そもそもインドでは銀行口座を持たない国民が多い中、携帯電話各社の競争激化を受け、新たなレベニューソースとなりうる領域として各社がモバイルバンキングに注目している。このことを考えると、モバイルバンキングに対する感度の高いユーザの存在は、全体に占める割合は決して高くはなかったとしても、今後の市場の可能性を感じさせる。また、今回の調査では、アフリカからは南アフリカのみが調査対象となっているが、アフリカの他の国も対象となれば、出稼ぎ労働者による携帯電話を介した送金が盛んな国々が入ることで、調査結果の上位国が変わることも想定される。

▼図4:モバイルバンキングを週に1回以上利用する割合(※画像をクリックして拡大)
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もう一つのサービスとして、モバイルショッピングの利用動向についても比較を行った。

結果は、日本以上に利用割合が高い国として中国(1位)、韓国以上に利用割合が高い国としてブラジル(3位)、インド(4位)があがった(図5参照)。1位の中国で特に興味深いのは、モバイルショッピングを利用しないと回答した人の割合が19.8%と相対的に低い点である。つまり、利用する割合の相対的な高さと、利用しない割合の相対的な低さを考えると、特定の層に限ってのこととは言え、市場として成り立ちうることが想像される。

これは、少し前の中国が、パソコン経由のECにおいてすら、事業者を信じず口コミ重視のユーザ習慣、安全な決済手段の不足や配送への不安と市場発達に必要な条件を欠いていたことを考えると信じがたいが、今回の調査結果を見る限り、まだまだ未発達で市場が立ち上がるのは先という認識を持っているようであれば、その認識を改める必要がありそうだ。

▼図5:モバイルショッピングを週に1回以上利用する割合(※画像をクリックして拡大)
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3. コンテンツ系サービス

最後に、ゲーム、音楽(着メロ、音楽ダウンロード)、アプリケーション利用について見てみたい。

まずゲームについて国別利用動向の状況を紹介する(図6参照)。

中国、ブラジルについては、毎日利用しているという人の割合が比較的高い。かつ利用しないと回答した人の割合を他の調査対象国と比較すると相対的に35%未満と低く、積極的に利用する姿が見て取れる。日本については、毎日利用しているという人の割合が他の調査対象国と比較すると16%と相対的に高い一方で、利用しないと回答した人の割合も他の調査対象国と比較すると55.8%と相対的に高く、一部の層が習慣的に利用/楽しんでいることが推察された。英国については、利用しないと回答した人の割合が80%近く、携帯電話を通じたゲームがごく一部の層にしか受け入れられていないようだ。英国については、ゲーム以外の他の図表も同様に、多くの調査結果が下から数えた方が早い順位/結果となっている。そもそもモバイルを活用したサービスに対する理解が浅い/なじまない国なのかもしれない。

▼図6:モバイルゲームの利用頻度(※画像をクリックして拡大)
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次に、着メロ、音楽ダウンロードの利用動向を見てみたい(図7、8参照)。着メロについては、週1回以上ダウンロードする人の割合は、ブラジル(1位)、インド(2位)、中国(3位)となった。音楽ダウンロードについても、週1回以上ダウンロードする人の割合は、順位こそ違えど、インド(1位)、中国(2位)、ブラジル(3位)という結果で、同じ顔ぶれとなった。また、着メロ、音楽のダウンロードについては、この3ヶ国は、他国から一つ抜けた高い利用割合、かつ比較的僅差という状況である。

▼図7:着メロのダウンロードを 週に1回以上利用する割合(※画像をクリックして拡大)
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▼図8:曲・アルバムのダウンロードを 週に1回以上利用する割合
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最後に、アプリの利用動向を見てみたい(図9参照)。アプリを週に1回以上利用すると回答した人の割合を見ると、日本(1位)、韓国(2位)、米国(3位)と先進国が続き、次いで、中国(4位)、インド(5位)、ブラジル(6位)と新興国が続いている。国の経済力に応じ、当然、価格差はあれど、値付けさえ適正であれば、先進国に続く勢いを示すことができることを示している。これを裏付ける調査として興味深いのが、Googleの調査によると、中国の都市住民のスマートフォンは一台あたり平均15個のアプリがインストールされ、そのうち有料アプリが6個を占めるという結果もあり、決して無料アプリだけが消費されているというわけではなく、市場としての可能性を感じさせる。

▼図9:アプリを週に1回以上利用する割合(※画像をクリックして拡大)
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4. 第二回の結論 〜モバイルインターネットでも新興国の「アーリーアダプター」の動向を追え!

モバイルインターネットに関する利用動向を、コミュニケーション系サービス、ブラウジング系サービス、コンテンツ系サービスの3つのカテゴリから調査を行ったが、多くの領域で、中国、インド、ブラジルといった新興国の代表国が上位を占める結果となり、日本を含む先進国との比較においても劣らない高い利用割合を示していることが明らかになった。

今後、中国各地で好調な「1,000元スマホ」と同水準の100USD帯のスマートフォンが新興国を含め、各地で普及すれば、通信料やネットワークの問題はあるとは言え、急速に、モバイルインターネットの普及と、それに伴う新たなビジネスモデルが生まれるかもしれない。私見では、SMS、メール、VoIPが無料、あるいは非常に低額になるなど、広告を活用したデータ通信型のサービスが価格弾力性の高い市場では普及を見せるのではないかと思う。

いずれにせよ、前回同様に、積極的にモバイルサービス/インターネットを使いこなす新興国ユーザの姿が見えてきたことかと思う。同時に、それらの国々における市場の可能性を強く感じさせられる。

次回は、モバイル広告についての15ヶ国調査の結果を紹介したい。

デロイト「世界15カ国の携帯電話利用状況」調査について

○調査の目的
世界15カ国の携帯電話利用状況を国際比較に基づいて把握するとともに、今後の利用状況予測に関する情報を提供する。

○調査概要

  • 対象国(15カ国):UK、フランス、ドイツ、スペイン、オランダ、ノルウェー、ポーランド、トルコ、日本、韓国、中国、インド、US、ブラジル、南アフリカ
  • 調査方法:各国公用語によるオンラインアンケート(※)
  • 調査期間:2011年1月〜2月
  • 回答者数:30,454人

※オンライン調査であるため、トルコ、中国、インド、ブラジル、南アフリカについては、サンプルが都市部居住の富裕層に偏っていることに留意する必要がある。その他10カ国については、代表性があるサンプルであると考えられる。

 
文・清水 剛志(デロイトトーマツコンサルティング株式会社)

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