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欧州委員会、サムスンとアップルを調査 - 「FRAND特許」関連で情報提供を要請

2011.11.07

Updated by WirelessWire News編集部 on November 7, 2011, 11:27 am JST

欧州委員会(European Commission:以下、EC)が、スマートフォンやタブレット端末関連の特許侵害で訴訟を続けているアップル(Apple)とサムスン(Samsung)に対し、関連分野の製品に不可欠な「標準特許」に関する情報の提供を求めたことが明らかになった。

両社は現在世界10カ国であわせて20数件の訴訟を争っているが、このなかではアップルが主に携帯端末の形状やユーザー・インターフェイス(UI)に関するデザイン特許ならびに技術関連の特許侵害でサムスンを訴えている。それに対して、サムスンは主に無線通信関連の特許侵害でアップルを訴えているが、ただしサムスンがこのための材料として持ち出している3G/UMTS関連の技術は、広汎な普及を目的として標準化団体から「公平で妥当かつ差別のない」(Fair, Reasonable and Nondiscriminatory:FRAND)やり方で他社にライセンス提供を行うことが求められている、いわゆる「FRAND特許」に該当するものであるため、もし同社の主張が認められるようなことになれば、関連業界で活動する数多くの企業にも影響が及ぶ可能性があるとの懸念も浮上していた。

ECでは、両社への情報提供要請について、独占禁止法関連の調査では「標準的な手続き」と説明している。またサムスンでもECから要請があったことを認め、「十分に協力していく」とコメントしているという。

アップルは先月28日にカリフォルニア州北部連邦地裁に提出した書類のなかで、「これらの特許に関するサムスンの訴訟活動などが度を越しているため、欧州委員会は先ごろ、サムスンの行動がEUの独占禁止法に違反していないかどうかについての調査を開始した」と記し、この調査がサムスンを対象としたものであることを示唆していた。

知財関連分野のアナリスト、フロリアン・ミューラー(Florian Mueller)氏は、EUの調査はアップルよりもむしろサムスンを対象としている可能性が高いと指摘。欧州の規制当局が、自社のFRAND特許を使ってiPhone 4Sなどの販売差し止めを求めるサムスンのやり方を独禁法違反と認めることになれば、同社は対アップル訴訟の大半を取り下げざるを得なくなる可能性もあるとし、すでにハーグ(オランダ)の法廷ではFRAND特許の侵害を主張したサムスンの訴えが却下されてされていると付け加えている。

【参照情報】
EU Asks Tech Giants for Patent Details - WSJ
EU Commission probes Samsung, Apple over patents - Reuters
Clarification: Samsung, not Apple, subject to EU probe - Computer World
European Commission investigating Samsung over possible abuse of FRAND patents against Apple - Foss Patents
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