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[Deloitte Mobile Survey #3]携帯電話広告の受け入れ余地〜携帯電話広告にも積極的な新興国ユーザー

2011.12.15

Updated by WirelessWire News編集部 on December 15, 2011, 16:00 pm JST

前回の報告では、モバイルインターネットに関する利用動向を、コミュニケーション系サービス、ブラウジング系サービス、コンテンツ系サービスの3つのカテゴリから調査を行い、多くの領域で、中国、インド、ブラジルといった新興国の代表国が上位を占める結果となり、第一回と同様に、日本を含む先進国との比較においても劣らない高い利用割合を示し、積極的にモバイルサービス/インターネットを使いこなす姿が明らかになった。

今回は、携帯電話広告に対する15ヶ国のユーザー動向を追ってみたい。

1. 携帯電話広告への反応の現状

携帯電話向けの広告に対し、広告の製品/サービスを実際に利用したり、広告された場所に行ったりと実際の利用/消費に近い積極的な行動を取ったグループと、広告主への連絡やリンクのクリックといった一定の興味を示したグループを、「携帯電話広告に対してポジティブ」と捉え、メッセージの削除や広告の配信停止依頼などを行ったグループを「携帯電話広告にネガティブ」と捉え、15ヶ国を整理した。結果、上位11ヶ国の50%以上の回答者が携帯電話広告にポジティブな反応を示し、残る4ヶ国では60%以上の回答者がネガティブな反応を示したことから、多くの国で過半数以上の回答者が携帯電話広告をポジティブに捉えていることが分かった(図1参照)。

特に、モバイル先進国である日本以上に、ポジティブな反応を示した5ヶ国の内、4ヶ国が、トルコ(1位)、南アフリカ(2位)、インド(3位)、ブラジル(4位)といった新興国で占められ、広告に対しても積極的に受け入れているユーザーの傾向が見て取れる。

▼図1:携帯電話広告に対し、どのように対応しますか? ※画像をクリックして拡大
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2. アプリケーションやゲームの無料利用があれば、携帯電話広告は受け入れられるか

次いで、アプリケーションやゲームの無料利用ができる代わりに、携帯電話広告がもっと表示されていいと思うかを尋ねたところ、中国(1位)、インド(2位)、南アフリカ(3位)の3ヶ国が他の国と比べ受け入れ意向が相対的に高く、次いでブラジル(4位)となった(図2参照)。前回の報告で、中国、ブラジル、インドの3ヶ国が相対的にモバイルゲームの利用頻度が高かったことを考えると、これらの国々では、モバイルゲームの有料モデル以外に、広告を用いた無料モデルを活用することにより、さらなるユーザーが獲得できる可能性が考えられる。

また、携帯電話広告の受け入れについて、15カ国中で最も否定的な(80%以上がネガティブと回答している)スペインにおいて、アプリケーションやゲームが無料であれば、受け入れると回答している割合が20%以上を示しているのは興味深い。スペインにおける潜在的なモバイルゲームユーザーの裾野を示しているとも言えるが、この調査結果は、ネガティブに受け取られることもある携帯電話広告も、無料サービスなどユーザーへの判りやすいメリットがあったり、使い方によってはポジティブなものに変わることを示している。狙いたいターゲットに応じて、受け入れやすい武器/道具と合わせることが重要になると推察される。

▼図2:「アプリケーションやゲームの無料利用」があれば、携帯電話にもっと広告が表示されてもいいですか? ※画像をクリックして拡大
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3. リアルタイムで携帯電話広告の提供があれば、受け入れられるか

次いで、時間や場所に紐付き提供されるリアルタイム性の高い携帯電話広告の受け入れについて調査したところ、中国の回答者が60%弱(1位)と突出して受け入れ意向が強く、インドの回答者が40%半ば(2位)と続いている。(図3参照)。

リアルタイムで提供される携帯電話広告の場合、時間や場所に紐付いた広告となるため、一般に、プライバシーの側面から受け入れを懸念する消費者が多い。そうした中で、中国、インドの2ヶ国の相対的な受け入れ意向の高さは、両国における広告活用ビジネスのポテンシャルの高さを示している。

携帯電話によるリアルタイム性を活用したサービスは、時間や場所の連動以外にも、携帯電話で使用しているアプリケーションなどもその対象として含みうるため、応用範囲は広いのではないかと考えられる。

時間、場所であれば、小売業との親和性が高いと考えられる。特に、大型のショッピングセンター、スーパーマーケット、それらとの複合施設などで、顧客の呼び寄せ、店舗への誘引などの利用シーンが考えられる。特に、屋内であれば、BluetoothやWifiの活用により、より精緻な位置情報の活用も容易になる。位置情報については、数十cm単位での位置情報の把握や、縦方向での把握も可能な仕組みも出始めているため、使い方によっては、売り場の特徴に応じたより精緻な広告/販促活用も可能となる。

▼図3:リアルタイムでの提供であれば、携帯電話にもっと広告が表示されてもいいですか? ※画像をクリックして拡大
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4. その時々にいる場所に関連する携帯電話広告であれば、受け入れられるか

次いで、携帯電話広告の受け入れ余地を、場所に紐付く広告に絞る形での調査を行ったところ、中国(1位)、インド(2位)、南アフリカ(3位)の3ヶ国の概ね30%以上の回答者が、その時々の場所に関連する携帯電話広告を受け入れると回答し、他国よりも、相対的な高さが際立った(図4参照)。

場所に紐付く携帯電話と広告を活用したビジネスモデルで代表的な事例は、foursquare、Shopkickだろう。foursquareは地図情報とソーシャルメディアを連携させ、クーポンなども扱っている。Shopkickは、より直接的な広告/販促の傾向が強く、Best Buyなどの加盟店と連携し、クーポンやロイヤリティプログラムとの連携を図っている。また、今回、最も高い受け入れ意向を示した中国では、小売連携という観点で考えると、foursquareやShopkickのビジネスモデル以外に、携帯電話のバーコードリーダーを活用した広告(情報提供、販促)の類いも存在し事例としては、中国のWochacha(我査査)が挙げられる。

▼図4:その時々にいる場所に関連する広告であれば、携帯電話にもっと広告が表示されてもいいですか? ※画像をクリックして拡大
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5. 対象者限定のバーゲンに関する携帯電話広告であれば、受け入れられるか

次いで、対象者限定のバーゲン情報/広告があれば、携帯電話広告の受け入れ余地があるか尋ねたところ、トルコ(1位)、中国(2位)の2ヶ国が50%を越え、南アフリカ(3位)、韓国(4位)、インド(5位)の3ヶ国が40%を越えた(図5参照)。

ここでも、新興国と呼ばれる国が上位に来ているわけだが、韓国が上位に入っているのは興味深い。韓国は、携帯電話広告全般の受け入れ傾向としては50%以上の回答者がポジティブではあるものの、15カ国中の順位は11位と決して高くはない(図1参照)。一方で、対象者限定のバーゲン情報/広告に対し、受け入れ余地を示しているということは、より実利的な内容に反応を示す傾向があるとも言える。また、携帯電話先進国であることを考えると、何らかの「売り」が明確であるサービスを取捨選択し使っているとも考えられる。

▼図5:対象者限定でしか提供されないバーゲン情報/広告であれば、携帯電話にもっと広告が表示されてもいいですか? ※画像をクリックして拡大
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6. 本当に好きなブランド/製品に関する携帯電話広告であれば、受け入れられるか

次いで、本当に好きなブランド/製品に関する携帯電話広告であれば受け入れ余地があるかを尋ねたところ、中国(1位)、インド(2位)、南アフリカ(3位)の3ヶ国の30%以上が、受け入れ余地があるとの回答した(図6参照)。他の国と比較し、自分の好みのものやブランドなどの嗜好性の高いものに関する広告消費の相対的な意欲の高さが現れていると考えられる。

▼図6:私が本当に好きなブランド/製品の広告であれば、携帯電話にもっと広告が表示されてもいいですか? ※画像をクリックして拡大
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7. 第三回の結論〜携帯電話広告でも積極的な新興国ユーザー

携帯電話広告に関する受け入れ傾向について、全体の傾向と広告の内容や手法の面から調査を行ったが、多くの領域で中国、インド、南アフリカといった新興国の代表国が上位を占める結果となった。特に、内容や手法を絞ると、それらの上位国は、他国と比較し、相対的に高い結果となることが分かった。

今回の調査結果は、携帯電話広告の活用可能性を示唆しているが、筆者は、携帯電話広告は、直接的な広告/販促以上に、サービスやアプリケーションの無料モデルを意識し活用することで、新興国を中心とした海外におけるサービスやアプリケーションの売上向上に役立つのではないかと考えている。

広告を用いた無料モデルについては、ゲームとアプリケーションという比較的大きな括り方での受け入れ余地の調査を行うに今回は留まったが、この領域も細分化を行うことで、新しいビジネスモデルや効果的な課金の仕組みが見えてくるのではないかと考えている。

例えば、海外、特に新興国と呼ばれる国で、ソーシャルアプリケーションにおけるアイテムなどのユーザー課金を、広告で代替することで、一ユーザー当たりの売上向上につながる可能性があるのではないだろうか。ソーシャルアプリケーションに限定して述べたが、この考え方は、サービスの特性に応じた広告表示(例:通信時の待ち時間での表示)の仕方の工夫などが必要になろうが、モバイルにおけるコンテンツやアプリケーションなどといった上位レイヤーサービスの全般で検討の余地があると考える。

いずれにせよ、前回同様に、携帯電話広告の分野においても、積極的な受け入れ余地を示す新興国ユーザーの姿が見えてきた。動きの早いマーケットだけに、今後の新たなビジネスモデルの登場を期待したい。

次回は、各国における海外旅行/海外滞在時における携帯電話の利用動向ついての15ヶ国調査の結果を紹介する。

デロイト「世界15カ国の携帯電話利用状況」調査について

○調査の目的
世界15カ国の携帯電話利用状況を国際比較に基づいて把握するとともに、今後の利用状況予測に関する情報を提供する。

○調査概要

  • 対象国(15カ国):UK、フランス、ドイツ、スペイン、オランダ、ノルウェー、ポーランド、トルコ、日本、韓国、中国、インド、US、ブラジル、南アフリカ
  • 調査方法:各国公用語によるオンラインアンケート(※)
  • 調査期間:2011年1月〜2月
  • 回答者数:30,454人

※オンライン調査であるため、トルコ、中国、インド、ブラジル、南アフリカについては、サンプルが都市部居住の富裕層に偏っていることに留意する必要がある。その他10カ国については、代表性があるサンプルであると考えられる。

 
文・清水 剛志(デロイトトーマツコンサルティング株式会社)

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