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[2012年第4週]スマホが原因でトラブル、au版iPhoneが絵文字対応、ドコモとKDDIの決算

2012.01.30

Updated by Naohisa Iwamoto on January 30, 2012, 11:00 am JST

正月気分も抜けた第4週、携帯電話事業者にとってこれからの大きな課題になるようなトラブルが発生した。スマートフォンが生み出すトラフィックや信号がきっかけとなって、NTTドコモのFOMAネットワークが輻輳し、通信ができなくなってしまったのだ。

相次ぐトラブル、ネットワークへの信頼を揺るがす

201201301100-1.jpg1月25日朝から昼過ぎにかけ、東京都心部を中心にNTTドコモの携帯電話がつながりにくくなる障害が発生した。同社によれば、障害の発生は1月25日8時26分で、13時8分には回復した(関連記事:ドコモ 都心14区で通信障害、一時通話もできない状態に)。

翌日、NTTドコモは、東京都心部などでのFOMA網の通信障害について、詳細を発表した。今回の障害の原因となったのは新型のパケット交換機。同社では、スマートフォンによるトラフィック増大に対応するため、37台の無線制御装置について、現行パケット交換機から新型パケット交換機への切り替えを1月24日深夜から25日未明にかけて実施した。しかし25日8時26分頃から、この新型パケット交換機の状態がトラフィックの増加により不安定な状態となり、輻輳の原因になったという(関連記事:1/25のドコモ通信障害 原因は制御信号増加による交換機のオーバーフロー)。

NTTドコモでは立て続けに起こる通信障害に対して、「今後のネットワークの安定的な運用、処理能力の更なる向上などを全社横断的に検討し、信頼性向上に向けた抜本対策を実行することで、スマートフォン5000万台にも耐えうるネットワーク基盤の高度化の実現に取り組んでいる」としている。具体的には、一連の障害に対する当面と対策として2011〜12年度にかけて40億円の投資、スマートフォン5000万台に耐えうる基盤の構築として2014年度にかけて合計1600億円の投資を見込んでいる(報道発表資料:一連のネットワーク障害への対策について)。

201201301100-2.jpgまた、spモードやネットワークの一連の通信障害の責任を明確にするため、取締役報酬および執行役員報酬の一部を返上することを決定した。代表取締役社長の山田隆持氏は月額報酬の20%×3カ月の返上となる(報道発表資料:当社取締役及び執行役員の報酬の一部返上について)。携帯電話はなくてはならないライフラインであり、抜本的な対策が求められていることを肝に銘じてほしい。

一方、1月25日深夜から翌未明には、KDDIでも通信障害が発生し、東京西部の一部エリアで、au携帯電話の一部がつながりにくくなった。また、固定通信サービスが使えなくなった。KDDIの発表によれば、障害が発生したのは1月25日 23時33分から1月26日 3時03分の間であり、原因は伝送設備の故障。その後の調べにより、au携帯電話で影響を受けたのは2043回線だったことがわかった(関連記事:KDDIでも通信障害が発生、固定通信サービスにも影響)。

また、1月28日には、auフェムトセルサービスが2時間にわたって利用できない状況になっていたことも明らかにしている。影響エリアは全国で、設備故障が原因だという(報道発表資料:全国にてauフェムトセルサービスがご利用できない状況について

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auのiPhoneで絵文字、Xiにキャンペーン

トラブル以外でも、サービス拡充や料金など、業界の動きは活発だった。まずはKDDI。auのiPhone 4SでもEメールの絵文字の送受信を可能にした。「〜@ezweb.ne.jp」アドレスのEメールで、1月27日 9時以降に新しく送受信するEメールから絵文字が表示されるようになった。これでauのiPhone 4S同士だけでなく、それ以外のau携帯電話や、他社の携帯電話とのEメールでも絵文字が利用できる(関連記事:au版のiPhone 4S、1月27日からEメール絵文字に対応)。

NTTドコモは、いくつかの発表をしている。1つはXiの利用者に向けた2種類のキャンペーン。2台目のXiをパケット定額料を割り引く「Xi(クロッシィ)2割」キャンペーン(「2」は上付き文字)と、Xiのパケット定額料の上限を割り引く「Xiスタートキャンペーン2」である(関連記事:ドコモ、Xi普及に向けて料金を割り引く2種のキャンペーン)。

201201301100-3.jpg2つ目は、携帯電話の接続料金の改定について。2011年度のNTTドコモの音声接続料は、区域内が0.068円、区域外が0.082円。2010年度適用の接続料は区域内が0.087円、区域外が0.105円で、それぞれ21.8%と21.9%の引き下げになる(関連記事:ドコモ、携帯電話の接続料を20%超引き下げ)。

3つ目は、顧客サポートの新サービスとスマートフォン新機種。スマートフォンを遠隔操作でサポートしてもらえる「スマートフォンあんしん遠隔サポート」のサービスと、同サービスに対応するスマートフォン「docomo with series MEDIAS ES N-05D」の提供を発表した。いずれも2012年2月下旬から3月の提供を予定している(関連記事:ドコモがスマホの遠隔サポート開始、対応の6.7mm薄型「MEDIAS ES N-05D」を提供)。

UQコミュニケーションズは、WiMAXサービスの全国実人口カバーが1億人を達成したことを発表している。またNECアクセステクニカから薄型のモバイルWi-Fiルーター「AtermWM3600R」と、家庭での利用を想定したホームルーター「AtermWM3450RN」が発売されることもアナウンスした(関連記事:UQ、実人口カバーで1億人達成、高送信出力のWi-Fiルーターも提供

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スマホを中小企業に、インモビの広告ネット

201201301100-4.jpg法人や個人に向けた各種サービスの発表もあった。KDDIは、中小企業を対象に、auスマートフォンやクラウドサービスを手軽に導入できる「スマートバリュー for Business」を2012年3月1日から提供する。同一の法人名義でauスマートフォン、指定の固定通信サービス、クラウドサービスの「ベーシックパック」を申し込むと、auスマートフォンの月額利用料金が最大2年間にわたり1480円 割り引く。2年経過後も永年980円の割引を得られる(報道発表資料:中小企業のお客さまがauスマートフォンをおトクに導入できる「スマートバリュー for Business」の提供開始について)。

同時に、中小企業向けのビジネスアプリを集めた前述のクラウドサービス「ベーシックパック」の提供も発表している。メール、ファイルストレージ、セキュリティサービス、グループウエア、名刺管理の5つのビジネスアプリを月額390円で使える(報道発表資料:中小企業のお客さまにおすすめのビジネスアプリを集めた「ベーシックパック」の提供開始について)。

ソフトバンクモバイルは、モバイル広告ネットワーク事業を展開するインモビ ジャパンと提携した。インモビ ジャパンは、世界規模でモバイル広告ネットワーク事業を展開するInMobi Pte. Ltd.(本社はシンガポール)の100%子会社である。提携により、ソフトバンクモバイルは、既存の「ソフトバンクスマートフォンメディアパッケージ」に加えて、インモビ ジャパンのモバイル広告ネットワークも取り扱う(関連記事:ソフトバンク、モバイル広告ネットワークの「インモビ」と提携)。

201201301100-5.jpg一風変わった発表もあった。JR東日本ウォータービジネス(以下ウォータービジネス社)は、主力製品のミネラルウォーター「FROM AQUA(フロムアクア)」のリニューアルを発表した。新製品の特徴は「落ちないキャップ」を採用したこと。「落ちないキャップ」を機能として訴求するミネラルウォーターというコンセプト開発のきっかけとなったのは、新型Suica決済端末「VT-10」によって収集されたビッグデータだった(関連記事:ビッグデータと「落ちないキャップ」の関係 JR東ウォータービジネス社がミネラルウォーターをリニューアル)。

個人向けの新しいサービスも登場した。jig.jpはが発表した、ロケーションベースのAndroid端末向けソーシャルアプリ「jigloco」のβ版がそれ。友だちが近くにいることを教えてくれたり、出会いそうな人を予測したりすることで、新しいコミュニケーションの仕方を提案する(関連記事:jig.jp、「バッタリ出会う」可能性を高めるロケーションアプリを提供)。

ドコモは減収減益、KDDIは増収増益

この週にはNTTドコモとKDDIの2011年度第3四半期の決算発表があった。NTTドコモは前年同期比で減収減益、KDDIは増収増益の決算だった。NTTドコモも、制度見直しなどの影響を除くと増益となる決算で、スマートフォンへの急速な移行が好調な業績を後押ししている(発表資料:NTTドコモ 2011年度 第3四半期決算KDDI 2012年3月期第3四半期決算)。

昨年の第4週のできごと

・SIMロック解除、スマートフォン向けプランなどが続々
・モバイルでエンターテインメントが加速へ
・高速サービスが着々、現時点のスピードはUQ
・スマートフォンも、ウイルスにご用心

[2011年 第4週]NTTドコモが矢継ぎ早に施策を発表、PSP後継機は3G接続機能を搭載へ

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。