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070番の携帯への割り当ては2014年初頭から、MNPも実施を目指す

2012.03.02

Updated by Asako Itagaki on March 2, 2012, 21:05 pm JST

3月1日、総務省は、情報通信審議会から、070番号の携帯電話への割当てや携帯電話・PHS間のナンバーポータビリティ(MNP)について答申を受けたと発表した。現在はPHSに使用されている070番号の携帯電話への割当ては、2014年初頭からの開始に向け準備を進めることが適当であるとされた。また携帯電話とPHSの間のMNPについては2014年度内の導入を目指すことが適当であるとされた。

この答申は、2011年5月25日に情報通信審議会に諮問された「携帯電話の電話番号数の拡大に向けた電気通信番号に係る制度等の在り方」に対するもの。現在携帯電話用に割当てられている080番号、090番号合計1億8000万番号のうち、2011年3月時点で残りは1930万番号となっていた。総務省では携帯電話向けの電話番号は2014年2月頃に不足すると予測し、利用できる電話番号を拡大すべく情報通信審議会に対して諮問した後、制度案を検討してきた。

PHSが現在使用している070番号については、1490万番号が指定されており、残りは7000万番号。070番号を携帯電話に使用する場合、現在既にPHSとして利用されていることから、PHSへの識別性、事業者ネットワークや端末に与える影響、利用者に与える影響の観点から検討が必要であるとした。

識別性の観点からは、従来携帯電話用に用いていた090、080と連続しており、他の0A0番号に比べて識別性が働きやすいと判断された。事業者やネットワーク端末に与える影響としては、PHSと携帯電話の識別に070番号を用いていたシステムの改修が若干必要なものの、他の0A0番号を導入する場合と大きな差はないと判断された。

利用者に与える影響としては、PHSユーザー同士の無料通話などのサービスが提供されており、携帯電話も070番号で提供されることで料金について分かりにくくなるという指摘があった。その点については、070-c番号による携帯電話とPHSの識別について、実施前に周知徹底する必要性が指摘された。

こうした意見を踏まえ、2012年より影響が予想されるサービスへの対応を含めた準備を開始し、遅くとも2014年初頭までには070番号の共用ができるよう関係事業者間の準備調整を進めることが適当であると結論された。

また、MNPについては、総務省が実施したアンケートによると、PHS利用者の約38%、携帯電話利用者の約15%が両サービス間のMNPを利用したいという結果になっており、一定のニーズがあるとした。料金制度やサービスについて現状差があるものの、導入に向けて準備を進めることが望ましいとした。

時期については、PHSに既存のMNPの仕組みを新たに導入する必要があり、携帯電話側の調整も含めて事業者ネットワークの調整に2~3年程度の期間が必要であると見込んだ。また、利用者には、両サービスの制度や料金について、十分な周知期間が必要であるとし、2014年度内の導入を目指すことが適当であるとした。

SMSの相互接続については、PHSが携帯電話のSMSのプロトコルに対応する必要があり、改修のためには相応の期間を要するが、対策をしないと、携帯とPHS間のMNPが実現した場合、利用者から見るとSMSの使用の可否が電話番号では識別できなくなり利用者の利便性を損なうことになる。そのため、関係事業者においては、設備投資が過度の負担とならない限り、利用者の利便性向上の観点から、将来的なSMS相互接続の実現に向け、検討を進めることが適当であるとした。

【報道発表資料】
携帯電話の電話番号数の拡大に向けた電気通信番号に係る制度等の在り方 ―情報通信審議会からの答申―

(3/4 22:00)
公開時、携帯電話とPHSのMNP開始時期について、本文最初の段落と記事の概要内で「2014年以内」と誤記しておりましたが、正しくは「2014年度内」です。お詫びして訂正いたします。(概要および本文は訂正済み)

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。