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苦戦が続く「Google Wallet」 - グーグル、通信事業者への利益分配などを検討(Bloomberg報道)

2012.03.22

Updated by WirelessWire News編集部 on March 22, 2012, 11:12 am JST

グーグル(Google)が、同社のモバイル決済サービス「Google Wallet」の普及促進をねらって、携帯通信事業者に売り上げの一部を支払う方向で検討を進めていると、Bloombergが匿名の関係者の話として報じた。

グーグルは、NFC技術に対応するAndroid端末を利用したサービスの準備を一昨年暮れから進め、昨年9月に「Google Wallet」の名称でこれを正式にリリース。しかし、いまのところ同サービスに対応するスマートフォンはスプリント・ネクステル(Sprint Nextel)が取り扱う2種類に限られるなどで、普及が伸び悩んでいる。また、米最大手のベライゾン・ワイヤレス(Verizon Wireless)が扱う「Galaxy Nexus」など、NFCチップを搭載したAndroid端末自体はすでに存在しているが、ベライゾンでは同社も出資するジョイントベンチャー(JV)で、Google Walletと潜在的に競合する「Isis」の動きも睨みながら、いまのところは「Galaxy Nexus」へのGoogle Wallet実装を見合わせている。

さらに、Google Wallet開発チームの重要メンバーとされる2人の社員がグーグルを退社したほか、同サービスのセキュリティ上の問題が発覚して、ユーザーへの5ドルのデポジット発行を余儀なくされるなど、同社にとって順調とは言えない状態が続いている。

こうしたなかで、グーグルは「Google Wallet」アプリで発生した売り上げの一部をベライゾン・ワイヤレスやAT&Tに分配することで、通信事業者の協力を得る方法を検討しているという。

この話を取り上げたGigaOMでは、大手通信事業者が公式サービスとしてモバイル決済サービスを立ち上げる以上、グーグルは不利な戦いを強いられると指摘している。

このほか、グーグル社内では通信事業者に頼らず、店頭への対応POS端末設置を通じて決済を行う方法も検討されているという。ただしこの方法を採った場合、新たなソフトウェアやハードウェアへの投資が必要となる可能性が高いという。

モバイル決済サービスの普及で一時は他の市場に遅れをとっていた米国市場だが、スマートフォンの普及などに伴い、ここ1年あまりの間に、クレジットカード会社などの金融系企業、大手通信事業者、グーグルやペイパル(PayPal:イーベイ傘下)といったウェブサービス大手、それにスクウェア(Square)といったベンチャー企業までが入り乱れた混戦模様が続いているが、さらに今月はじめにはウォルマート(Wal-Mart)やターゲット(Target)といった大手小売チェーンの作るグループが参入の準備を進めているとも報じられていた。

なお、スマートフォンを利用してユーザーが商品購入を行うモバイル決済の市場規模は、2016年に6000億ドル超まで増加するとの、業界団体の試算も出ている。

【参照情報】
Google Said to Rethink Wallet Strategy Amid Slow Adoption - Bloomberg
Could sharing lead to caring about Google Wallet? - GigaOM
Google's new Wallet plan: Share the take with carriers - 9 to 5 Google
米モバイル決済市場、大手小売連合も参戦か - ウォルマートやターゲットの名前も(WSJ報道)
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