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「第2のインスタグラム」を探せ - 注目と資金が集まるモバイル動画共有サービス

2012.05.08

Updated by WirelessWire News編集部 on May 8, 2012, 20:00 pm JST

スマートフォン向けアプリをつかった写真共有サービスのインスタグラム(Instagram)が先ごろフェイスブック(Facebook)に10億ドルで買収されることが決まったが、シリコンバレーの投資家の間でははやくも次の有望な分野としてモバイルベースの動画共有サービスに注目が集まっているようだ。

Color
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米携帯通信最大手のベライゾン・ワイアレス(Verizon Wireless)は7日、動画共有アプリ「Color」を開発するカラーラボ(Color Labs)との提携を発表。これにより、今後ベライゾンが提供する一部のLTE対応スマートフォンにColorアプリをプリインストールして出荷することになった。ベライゾンでは、720p(将来的には1080p)のHD画質でライブ動画を撮影・共有できるColorをつかって、自社LTEサービスの力を示すと共に、データ通信の利用拡大につなげたい考えと見られる。

いっぽう、音楽関連サービスのLalaをアップル(Apple)に売却した実績をもつビル・グエン(Bill Nguyen)氏が立ち上げたカラーラボでは、実際に製品を投入する前から4100万ドルもの資金を調達したことが話題を集めるなど、鳴り物入りでサービスを開始したものの、当初想定していた写真共有サービスがうまく立ち上がらず、昨年秋にはフェイスブックでも動画を共有できるスマートフォン・アプリに方向転換。今回のベライゾンとの提携により2度目の仕切り直しとなる。

だが、WSJによると、モバイル動画アプリの分野にはすでにソーシャルカム(Socialcam:登録ユーザー数約3600万人)やヴィディ(Viddy:同2600万人)、モブリ(Mobli:同300万人)など先行する競合サービスがあり、登録ユーザー数約100万人のカラーではかなり厳しい戦いを迫られることになりそうだという。

これらのモバイル動画共有サービスでは、インスタグラムと同様これといったマネタイズの方法が見つかっていないが、それでも短期間にユーザー数を増やしている点は間違いないようで、ソーシャルカムの場合はサービス開始が約14ヶ月前、またヴィディも2010年12月のサービス開始となっている。

ヴィディでは現在、新たな資金調達の準備を進めており、その評価額は2億ドル以上になると見られる。またインスタグラムも支援したVCのベンチマーク・キャピタル(Benchmark Capital)が中心となって昨年11月に800万ドルの資金を投入したクリップ(Klip)、さらにはナップスター(Napster)で音楽業界を混乱状態に陥れたショーン・パーカー(Sean Parker)とショーン・ファニングの二人組が投入準備を進めているとされるライブ動画チャットサービスのエアタイム(Airtime)など、潤沢な資金を擁する参加者も複数あるという。

ただし、いっぽうには、動画の場合、写真ほど簡単に撮影・共有できないなど違いを理由に、懐疑的な見方をする声も上がっており、また携帯通信網へのトラフィックの負荷増大を懸念する声もあるという。

ベライゾンやAT&Tのようにすでに従量制課金に移行した大手では、こうしたモバイル動画アプリの利用が流行・定着しても「痛し痒し」で済まされるかもしれない。それに対し、スプリント(Sprint Nextel)のようにデータ通信の定額制をユーザー集めの訴求点にしている下位の事業者では、さらに厳しい立ち場に追い込まれる可能性もある。

【参照情報】
The Race: Build the Instagram of Video - WSJ
Verizon offers Color a second chance with video partnership - GigaOM
フェイスブック、初の大型買収 - 写真共有アプリのインスタグラムを10億ドルで

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