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[2012年第30週]ドコモは増収減益、KDDIは減収減益の1Q決算、spモードでまた事故

2012.07.30

Updated by Naohisa Iwamoto on July 30, 2012, 16:30 pm JST

この週はNTTドコモとKDDIの2012年度第1四半期の決算が発表された。いずれも営業利益が前年同期比を下回る減益決算だったが、通期への減益の影響はないとの予想をしている。NTTドコモのspモードで、今度は他人のメールアドレスを書き換えることが可能になるという事故が発生した。

ドコモとKDDIが揃って減益決算

NTTドコモは、2012年度第1四半期の決算を発表した。第1四半期はパケット収入の増加などが寄与して前年同期比で増収となったが、端末販売費用の増加などもあり営業利益は減少した。営業収益は1兆723億円で前年同期比2.4%の増加、営業利益は2626億円で同1.9%の減少だった。当期純利益は同3.5%オズの1643億円。スマートフォンの販売数は249万台となり、前年同期の130万台から倍増に近い伸びを示した。249万台のうちLTEサービスの「Xi」が約4割を占め、Xiへの移行がうまく進んでいる。また、第1四半期の量販店におけるスマートフォン販売シェアでは、49%がドコモと高いシェアを得ていることをアピールした(発表資料:2013年3月期 第1四半期決算説明会資料 )。

KDDIも2013年3月期(2012年度)第1四半期の決算を発表している。営業収益は8616億円で前年同期比0.4%の微減、営業利益は942億円で前年同期比32.8%の大幅減となる減収減益決算になった。営業利益の大幅減の主な要因は、モバイル通信料収入の減少と、3M戦略の先行投資コストがかかったこと。第2四半期以降はau契約者が増加している効果から通信料収入減が縮小するとともに、旧800MHz帯からの周波数再編コストである端末移行コストが前年同期比で500億円規模で減少するなどにより、増益の効果が現れるとしている。固定通信サービスと組み合わせてauスマートフォンの料金を割り引く「スマートバリュー」はau契約数で133万、固定系の世帯契約数で82万に上った。また、アプリ取り放題などの「スマートパス」は6月末で147万契約となり、契約率もおよそ80%に上るなど好調な推移を見せているという(発表資料:2013年3月期第1四半期決算プレゼンテーション資料)。

spモードでまたもや事故

spモード | NTTドコモ
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NTTドコモは、サーバーの設定誤りにより、spモード利用者の「spモード設定情報」を本人以外が閲覧できたり、変更可能になる場合があったことを明らかにした。障害が発生したのは、2012年7月25日1時41分から9時14分の間。なお、同日9時14分から13時37分までの間、対策のため「spモード各種設定」サイトを停止していた。13時37分以降は正常に稼働している。

影響があったのは約1000人。他人のspモードメールアドレス、Wi-Fi設定、公衆無線LAN設定などを閲覧、変更できるようになっていた。spモードサービスの設定変更サイトのアクセスを管理するサーバーのソフトウエア更改に伴う、データ設定の誤りを起因としてこの事象が起きたという(関連記事:spモードに不具合、一時、設定が変更される状態に(解消済み))。

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ソフトバンクが900MHz帯運用開始、ドコモのXiは400万達成

ソフトバンクが念願のプラチナバンドでサービスをスタート。ソフトバンクモバイルは900MHz帯を使った新サービスを7月25日に開始し、同日に都内で開通を記念したイベントを開催した。7月25日の開通はすでにアナウンスされていたが、開始時刻やサービスエリアについての告知はなく、Twitterなどのソーシャルメディア上では「プラチナバンドは25日のいつから使えるのか」といったユーザーの声が上がっていた。25日の未明の1時前に、同社CTOの宮川潤一氏がTwitter上で "広島市内にて『プラチナバンド第一号』開通試験完了"とツイートし、同日の夜明けまでに全国で数百局が開局することを明らかにした(関連記事:SBMの「プラチナバンド」サービス開始 エリアは順次拡大中)。

NTTドコモは2012年7月24日、2つの数値の達成を発表した。1つは高速通信サービス「Xi」で400万件を突破したこと。300万件からの100万件増加は1カ月半で達成し、それまでの約3カ月かかっていた100万件増加のペースを大幅に上回った。もう1つは、定額制動画配信サービス「dマーケット VIDEOストア」が200万件を突破したことである。VIDEOストアは、8月には複数のスマートフォンやタブレット端末の間でdマーケット VIDEOストアを共有できるマルチデバイス対応を実施することも明らかにした(関連記事:)。

開幕したばかりのロンドンオリンピックとのコラボレーションも始まった。NTTドコモは、日本オリンピック委員会と共同で提供しているロンドン五輪日本代表選手団への応援メッセージの閲覧・投稿ができるスマートフォンアプリ「1億2500万人の第応援団 公式応援アプリ」のバージョンアップを行った。これにより、Twitterとの連携機能や、NTTドコモのテレビCMを音声認識してキャンペーンへの応募ができるなどの新機能が加わった(関連記事:オリンピック応援アプリ、Twitter連動やドコモCMからのキャンペーンなどを実施)。

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またNTTドコモは、アニメーションの動きをするデコメ素材「デコメ絵文字pop」「デコメピクチャpop」を、Android 4.0対応端末でも利用できるようにするとアナウンスした。新しいspモードメールアプリを提供することで利用に対応した。Android 4.0を搭載した端末では従来のspモードメールアプリでこれらの素材が動作しないとアナウンスしていた(関連記事:ドコモ、デコメ絵文字popなどをAndroid 4.0端末でも利用可能に)。

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法人向けの新施策も登場

このほかでは、法人向けのソリューションが目についた。富士通は、Webフロントアプリケーション構築基盤「Interstage Interaction Manager(インターステージ インタラクション マネージャー) V10」を発売した。企業内の既存の複数のサービスやシステムを企業ポータルで統合する機能を備えたWebフロントアプリケーション構築基盤で、最新版ではシングルサインオンやオートパイロットの各機能をスマートデバイスでも利用できるようになる(関連記事:富士通、スマートデバイス対応した企業ポータル作成プラットフォーム)。

成長企業を紹介するWeb番組「C-PRO」を運営するアイヴィジョンは、高画質の動画のデータを軽量化して配信するシステム「新スマートヴィジョン」を開発した。3G回線でもスムーズに高画質な映像を閲覧できるという。携帯電話の3Gデータ通信でもスムーズに高画質な動画を配信したいという情報提供側のニーズの高まりに応えた(関連記事:アイヴィジョン、3G回線でも高画質動画をスムーズに再生する技術)。

昨年の第30週のできごと

・最新の「Mango」を搭載、スマホ向け低料金SIMも登場
・ドコモに相次ぐ不具合
・伸びるスマートフォン、年度内に出荷の過半数に
・着々と増える法人向けのモバイルソリューション

[2011年第30週]ついに登場Windows Phone、ドコモ相次ぐ不具合、法人ソリューション続々

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。