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AT&Tも「データ共有プラン」発表 - 実質値上げ、オプション提供で差別化

2012.07.19

Updated by WirelessWire News編集部 on July 19, 2012, 11:30 am JST

米大手携帯通信事業者AT&Tは現地時間18日、ファミリーデータプラン「モバイル・シェア(Mobile Share)」を発表した。このプランは一つの契約で複数の端末を利用することができるというもので、8月下旬に提供開始になるという。同様の料金プランはすでにベライゾン・ワイアレス(Verizon Wireless:以下、ベライゾン)が6月末から提供を始めている。

AT&Tが発表した新しい料金プランは一言でいって「非情非常に複雑」なもの。日本で以前、「コーヒーショップのスターバックスに入った年配年輩の紳士が、オーダーの複雑さにたじろいだ」といった話がよく聞かれた覚えがあるが、この料金プランにはああした逸話(都市神話)を想起させるものがある。

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[AT&T]

Mobile Shareの料金プランは基本的に「2階建て」の構造ーーデータ通信料と端末ごとの契約料となっている。ただし、契約するデータ通信量によって、スマートフォン1台あたりの契約料が違う(30ドル〜45ドル)ほか、併用できる端末に対する追加料金も、タブレットやゲーム端末(10ドル)、USBモデム/PCカードモデム(20ドル)、フィーチャーフォン(30ドル)でそれぞれ異なっている。全体としては、加入するプランのデータ量が大きいほど割安、また契約する端末の数が増えるほど割安になるという傾向がはっきり打ち出されている。そのいっぽう、スマートフォン利用の最低料金が月額85ドル(しかも1GBあたりの単価が40ドル/現在は3GBで30ドル)という比較的敷居の高いものとなったため、ユーザーによってはプリペイドなど、より低価格のプランを提供する事業者に流れるケースも出てくる可能性が考えられる。なお、ベライゾンの場合と異なり、AT&Tではこの共有プランをあくまで選択肢のひとつとして提供するとのこと。

こうしたプラン料金プラン登場の背景には、スマートフォンやタブレットの急速な普及により、ひとりで複数の通信端末を利用したり、あるいは使えるデータを家族と共有することで無駄(データの未使用分)を減らしたい、というユーザーニーズを取り込みたいという通信事業者側の思惑がある。

ベライゾンの広報担当者はReutersに対し、「市場での競争は常に消費者へ恩恵をもたらす」とコメントしているいっぽう、大手2社に比べてカバレッジの広さなどで劣るスプリント側では「大手2社が提供・発表した共有プランの場合データ共有プランでは、月々の請求額が相当跳ね上がる可能性もある」として、データ利用量無制限・定額制の自社プランのほうが「消費者には理解しやすい」と応酬している。

なお、ベライゾンとAT&Tのデータ共有プランはいずれも、音声通話ならびにテキストメッセージを使い邦題放題としているが、これはSkypeなどIPベースのチャットアプリの利用者が増大していることを受けたもので、。これまでドル箱として温存してきた両サービスからの収入収入を事実上あきらめ、かわりにこれを損失分をデータ通信料で補おうとする意向の表れとみることもできる。

【参照情報】
AT&T data fees to jump in new shared plan option - Reuters
Crunching the Numbers on Verizon's and AT&T's Shared-Data Plans
- ATD
AT&T gets into shared data: 'Mobile Share' plans coming late August - The Verge
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