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縦長ワイドスクリーンでLTE対応のiPhone 5が登場。予約は明日開始!

2012.09.13

Updated by Yuko Nonoshita on September 13, 2012, 15:00 pm JST

発売前からこれほどリーク情報が出回り、騒がれる製品はないであろう、アップルの新しいスマートフォンiPhone 5が、米国時間9月12日にいよいよ公式発表された。前回のiPhone 4Sの発表イベントが行われたのが昨年10月5日(日本時間)、発売が14日からだったので、今回は1年を切っての新製品登場となる。合わせて、第7世代iPod nano、第5世代目iPod touch、そして新しいイヤホンEarPodsが発表されたが、ここでは実機写真と共に機能における改良点や新規追加ポイント、操作感などを中心に紹介する。

今回のiPhone 5の最も大きな特徴は、何といってもディスプレイサイズが大きくなったことだろう。4インチ、1136×640ピクセル、16:9という数字だが、ちょうどアプリが1列多く並ぶ分だけ縦長になったということだ。ワイドスクリーンになったことで、HDビデオ表示できるようになり、画面がやや広くなった分だけ、画面の操作感も快適度が増した。レティナディスプレイはこれまで同様の326ppiだが、色の再現性は44%改善されている。気になる旧アプリだが、余白を調整することでそのまま使えるという。

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ボディは酸化皮膜処理されたアルミニウム製で、ガラス製インレイを組み合わせている。エッジ部分はダイヤモンドカットで面取りされ、カラーは黒と白があるが、黒はブラック&スレート、白はホワイト&シルバーと呼んでいるとのこと。高さ123.8 mm、幅58.6 mm、厚さ7.6mm、重さは112gとなっている。iPhone 4Sと比較すると18%薄く、20%軽くなっただけあって、手に持った瞬間軽いとわかる。まるでiPod touchのような感じだ。軽いのでバランスが悪いかと思いきや、想像以上にフィット感があり、縦に長い分だけキーボードをタップしても安定感がある。今回の軽量化は主にディスプレイにタッチセンサー機能を組み込むことで実現できたという。

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背面のiSightカメラは、800万画素、3264 x 2448ピクセルで、4Sより25%も小さくなった。耐久性の高いサファイヤクリスタルレンズカバーが採用され、5層レンズはf/2.4と暗いところでもより撮影しやすくなっている。シャッターボタンが大きくなり、静止画と動画の切り替えもかなり早い感じはする。動画顔検出機能は10人まで検出できるようになり、ワイド画面を使った大勢での記念撮影などがしやすそうだ。フロントのFaceTime カメラは20%小さくなり、1.2メガピクセルと機能も向上し、セルフポートレートや720pのHD動画撮影が可能になっている。

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動画は、1080pのHDビデオが撮影でき、撮影中にボリュームボタンをシャッターにして静止画撮影ができるようになった。さらに、最大28メガピクセルのパノラマ撮影が可能。オプションメニューから選択できるのだが、表示がシースルーになっているのでじゃまにならない。ムービーのように撮影できて、その間に上下のブレや撮影スピードのガイドが表示されるのがありがたい。仕上がりの写真もかなりいい感じだ。手ぶれ補正機能がかなり向上しているのもわかる。

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また、本体には3つのマイク(前、後、ボトム)を搭載。新しいノイズキャンセリング技術で背面のノイズが減り、ビデオでの音声が取り込みやすくなった。

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SIMカードは従来のmicroSIMからnanoSIMに変更。こちらも軽量化のための規格変更の一つなのだろう。格納する場所は変わらず、会場では実物を見ることはできなかった。

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付属イヤホンの「Apple EarPods with Remote and Mic」ことEarPodsは、開発に3年かけて、耳の形状をもとにデザインを設計したとあり、大きく見えて素材もやや硬めだが、耳にするりとフィットする感じはある。独自のノイズキャンセル方式でより音がクリアになるということだったが、実際に聞くとその通りで、外で使っても以前よりも音が明瞭に聞こえる。コントロール部分はクリック感がややはっきりした感じがある。コードの手触りもややなめらかという感じ。従来のイヤホンだと2〜3時間で耳が痛くなるのだが、形状が滑らかな分だけ、以前よりは痛みは感じない気がする。こちらは、正方形の収納トラベルケース付きで、すでに2800円でアップルストアで発売されている。

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肝心の回線周りだが、DC-HSDPAに加え、予想通りLTE(Long Term Evolution)を新たに追加。チップが一体化してこちらも軽量化に貢献している。日本のキャリアは従来どおりauとソフトバンクの2つで、auはCDMAモデル、ソフトバンクはGSMモデル対応。LTEはSingle Radio LTEソリューションを採用しており、日本ではいずれもBAND 1のみ使用できるようだ。Wi-Fiの方は、802.11a/b/g/n対応し、802.11nはデュアルチャンネルで、2.4GHz帯と5GHz帯が使用でき、最大150 Mbpsでのワイヤレス通信が可能だとしている。Bluetoothは4.0対応でUSBは3.0対応かどうかについては確認できなかった。

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さて以下は、残念ながらハンズオンでは見られなかった部分となるが紹介しておこう。

今回、ディスプレイサイズに続いて最も大きな変更点となったコネクタは、従来の30ピンから8ピンに変更。Lightning(ライトニング)理由は軽量化で本体が薄くなったためで、30ピンのままでは今回の薄さは実現できなかったとのこと。80%小さくなり、世界最小のコネクタであるとしている。それ以外でもリバーシブルで使えるようになり、耐久性をアップ。オーディオ機器にも対応していて、BOSE、JBL、B&Oらがすでにパートナーとして対応製品を開発しているそうだ。また、30ピンの変換コネクタも発売し、こちらを使えば従来のiPod対応カーオーディオで、新しいiPhoneとiPodも使うことができる。

内蔵されるCPUはA6チップにアップグレードされ、処理速度だけでなくサイズも小さくなった。ほぼ全体でパフォーマンスが2倍向上している。実際に、検索のスピードを4Sと比べてみても圧倒的に早い(といってもこちらはWi-Fi対応速度の関係も大きいといえそうだが)。約1時間いろいろ使われていたが、それほど熱を持つ感じはしなかった。だが、これがLTEで使用するとなるとどうなるかは、実際に使用してみないとわからない。

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バッテリーも3G通話では最大8時間可能と発表しているが、LTEについては記載がない。インターネット利用は、3GもLTEも最大8時間で、Wi-Fiは最大10時間、そして、ビデオは10時間、音楽は40時間となっているが、連続待受時間は最大225時間と、4Sから25時間増えているものの、4の300時間までには改善されていない。このあたりもLTEを使う場合に気になるところだ。

今回噂がありながら対応してなかったものが、microSDカードの搭載とNFC(Near Field Communication/近距離無線通信)だ。NFCについてはフィル・シラー上級副社長がインタビューに対し、米国で展開しているパスブックがQRやバーコードを利用していることや、最近登場しているイヤホンコネクタに挿し込んで使うクレジット決済機能が普及しているので、対応の必要性を感じないとしている。実際、NFCの場合はリーダーの設置がネックになるので、すでにリーダーが普及している日本とは事情が異なるようだ。

そして、最後に日本での販売価格だが間もなくauとソフトバンクからそれぞれ発表があるとのアナウンスがあったが、米国では4Sと同じということで、日本もそれに合わせるのではないかと思われる。ちなみに16GB 199ドル、32GB 299ドル、64GB 399ドルで、いずれも2年契約での価格となっている。LTEのデータ通信料金はauが定額制で月額5985円と発表している。予約は明日14日から開始。発売は1週間後の21日金曜からと発表されている。

【関連URL】
アップル - iPhone 5

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野々下 裕子(ののした・ゆうこ)

フリーランスライター。大阪のマーケティング会社勤務を経て独立。主にデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行うほか、本の企画編集や執筆、マーケティング業務なども手掛ける。掲載媒体に「月刊journalism」「DIME」「CNET Japan」「WIRED Japan」ほか。著書に『ロンドンオリンピックでソーシャルメディアはどう使われたのか』などがある。