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[2012年第39週]Nexus 7国内発売、大阪地下鉄もエリア拡大へ、船舶に基地局の実験

2012.10.01

Updated by Naohisa Iwamoto on October 1, 2012, 11:00 am JST

かねてから国内発売のうわさは高まっていたグーグルブランドのタブレット端末「Nexus 7」が、ようやく実際に発売になった。Google Playでの販売価格は1万9800円で、値ごろ感のある価格がタブレット端末市場にどう影響を与えるのかを見守りたい。地下鉄のサービスエリア化が着々と進展する中、大阪市営地下鉄でもエリア拡大のニュースがあった。また船舶に基地局を設置することで、災害時などに陸上のエリアを確保する試みも始まった。

Nexus 7やWindows 8搭載などタブレット続々

お待ちかねのGoogleのタブレット「Nexus 7」が、国内のGoogle Playにお目見えした。提供するのは16GBモデルで、価格は1万9800円。Nexus 7はASUS製のタブレット端末で、プロセッサにNVIDIA製のクアッドコア「Tegra 3」、画面には7インチの液晶画面(解像度1280×800ピクセル)を採用する。OSはAndroid4.1(Jelly Bean)。ネットワーク機能としてはWi-Fi(802.11 b/g/n)を備えるが、携帯通信網には対応しない。Nexus 7上からGoogle Playにクレジットカードを登録することで、プリインストールコンテンツと2000円分のクレジットを提供する期間限定キャンペーンを実施している(関連記事:日本のGoogle PlayにもNexus 7が登場、電子書籍サービスも日本語対応)。

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Google Playでの発売に合わせて、インターネットサービスプロバイダーからもNexus 7の提供が始まった。ハイホー(hi-ho)、NECビッグローブ(BIGLOBE)、GMOインターネット(GMOとくとくBB)は、Nexus 7をモバイルデータ通信サービスとセットで提供する。Google Playでは16GB版のみの取り扱い1万9800円となっているが、プロバイダー各社が提供するのはグーグルが取り扱っていない8GB版で、通信回線とのセットなどにより0円〜1万7800円で提供する(関連記事:ハイホー、BIGLOBE、GMOインターネット、「Nexus 7」のセット販売)。

Windowsタブレットの存在を示す発表もあった。パナソニックが、同社として初のUltrabookとなる「Let's note CF-AX2」を発売すると発表したことだ。360度回転するディスプレイ部分を持つのが特徴で、液晶を外側にして折り畳むとタブレットとして利用できる。OSにはWindows 8を採用してタッチ操作を可能にした。薄さ18mm、質量約1.14kgの薄型軽量ボディーに11.6型HDタッチパネル液晶搭載し、バッテリーで約9〜9.5時間の連続駆動が可能だとしている(報道発表資料:モバイルノートパソコン Let's note 店頭向け秋冬モデルを発売)。

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エリア拡大やキャンペーン拡充などでさらに使いやすく

この週のキャリアー関連のニュースをチェックしていこう。

まず、携帯電話サービスエリアの拡充の話題から。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルは共同で、大阪市営地下鉄でのエリア拡大をアナウンスしている。2012年9月30日(日曜)に提供を開始したのは、中央線「九条駅〜本町駅」区間と「堺筋本町駅〜谷町四丁目駅」区間。また2012年10月中旬に開始する予定なのが、御堂筋線「西中島南方駅〜淀屋橋駅」区間となっている。これまでに、中央線「本町駅〜堺筋本町駅」と御堂筋線「淀屋橋駅〜本町駅」ではサービスが提供されており、利用できるエリアが隣接した区間で広がることになる(報道発表資料:大阪市営地下鉄 中央線および御堂筋線における携帯電話のサービスエリア拡大について)。

低コストで安心・安全対策が可能に。NTTドコモは、スマートフォンを利用する際の脅威からスマートフォンを守るための機能をまとめて使える「ネットセキュリティあんしんパック」の提供を開始する。月額使用量は210円で、2012年10月中旬に提供を始める。複数のセキュリティー関連サービスをまとめて提供するもので、「ドコモあんしんスキャン(セキュリティスキャン1、プライバシーチェック2、セーフブラウジング2)」および「spモードメールウイルスチェック1」が使えるようになる。また、インストールしたアプリがどのような個人データを送信・閲覧しているかを確認できる「プライバシーチェック」機能も追加する(報道発表資料:「ネットセキュリティあんしんパック」の開始について)。

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古いiPhoneを月額0円で家族用に残せる!? ソフトバンクモバイルは、実施中の「4G/LTEスマホ家族キャンペーン」を拡充し、パケット定額サービス定額料が0〜4980円になる「ゼロから定額」をプランに加えた。パケット定額サービスが最低0円で使えるほか、ホワイトプラン基本使用料も2年間は無料、S!ベーシックパックも0〜315円となるため、月額0円から利用できる。また、当初はiPhone 5だけが対象だったが、iPhone 4Sに機種変更したユーザーも対象に加えた(関連記事:ソフトバンク、4G/LTEスマホ家族キャンペーンに「ゼロから定額」を追加)。

データ通信を低コストで使える施策も。KDDIとUQコミュニケーションズは、3GとWiMAXを利用できるデータ通信端末向けのプランの料金を改定し、これまでより530円安い月額3880円で利用できるようにした。KDDIは、割引プランの割引額を改定で、対象となるのはデータ通信端末の「DATA08W」または「DATA01」。UQコミュニケーションズはキャンペーン割引額の改定で、もデータ通信端末「DATA08W」が対象となる(関連記事:KDDIとUQ、3G+WiMAXデータ通信端末を最大25カ月間3880円に)。

ユーザーに少し負担が増えるかもしれない。ソフトバンクモバイルは、開始したばかりの「スマホ下取りプログラム」について、9月25日から買い取り業務をグループ会社のソフトバンクテレコムに委託した。ソフトバンクモバイルは古物商の認可を得ておらず、古物営業法違反(無許可営業)に当たるとして警視庁から指導を受けたための変更だ。業務を委託されるソフトバンクテレコムは東京都公安委員会から古物商の認可を受けている。ユーザーは、専用封筒に下取りを希望する端末を封入してソフトバンクテレコムに送付する手間が増えることになった(関連記事:SBM、スマホ下取りプログラムの買取業務をソフトバンクテレコムに委託)。

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災害対策、キャリアーも個人も

東日本大震災から1年半が過ぎたが、災害対策の手は緩められていない。KDDIは、船舶の上に携帯基地局を設置して陸上のエリアを確保するための実地試験を行うと発表した。海上保安庁の船舶を使って11月下旬に実施する計画である。この実地試験は、災害などで通信障害が発生しているサービスエリアを早期に復旧させるための1つの方策で、海上の船舶に携帯基地局を開設して音声通話やデータ通信のサービスを提供する。実地試験は11月下旬に行う計画で、広島県呉市倉橋町の海上で第六管区海上保安本部所有 巡視船くろせを用いて実施する(関連記事:海上から被災地などに携帯エリアを作る--KDDIが船上基地局の試験)。

これなら個人でも対策ができそう。J-Forceブランドでスマートフォン関連製品などを提供するフォースメディアは、ラジオの緊急警報放送/緊急地震速報と連動した充電式ラジオライト「グラピカ」を発売する。ラジオの緊急警報放送/緊急地震速報を受信すると、ラジオの電源が自動的に入り、LEDライトも自動点灯する。1000mAhのリチウムイオン電池を採用しており、災害時には携帯電話やスマートフォンの充電にも使える。価格はオープンだが想定実売価格は5980円(関連記事:スマホの充電器にもなる緊急地震速報連動型LEDライト「グラピカ」)。

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昨年の第38週のできごと

・秋冬の新製品はスマホが中心
・3G機能付きReader、1GB3100円のバリエーション
・最大110Mbpsの新サービス、山陽新幹線のエリア化
・スマホ向けのサービスも続々
・スマホのトラフィックを公衆無線LANサービスへ
・グローバル展開への模索
・法人とスマートデバイスの接近
・災害・トラブルへの対応

[2011年第38〜39週]新作続々でスマホシフトが鮮明に

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。