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KCCS、災害時に無線でケーブルテレビを応急復旧する実証実験を気仙沼で実施

2013.01.28

Updated by Naohisa Iwamoto on January 28, 2013, 18:35 pm JST

京セラコミュニケーションシステム(KCCS)は2013年1月28日、災害時にケーブルテレビを応急復旧するためのシステムの実証実験を実施すると発表した。ケーブルテレビの幹線伝送路設備が被災したときに、無線で応急復旧するためのシステムで、2013年2月から宮城県気仙沼市で実証実験を始める。

この実証実験は、KCCSが総務省 情報通信ネットワークにおける耐災害性強化のための研究開発である「災害時におけるケーブルテレビ応急復旧システム(幹線応急復旧用無線伝送装置)の研究開発」を受託して研究開発している一環として実施する。無線による応急復旧システムの有効性の検証と実用化を目指す。

実証実験では、宮城県気仙沼市に海上伝搬を含む1.4kmの無線伝送路を構築。23GHz帯の周波数を用いてデジタルケーブルテレビの信号を無線で伝送する。実験では、装置の安定性をはじめ、無線伝送品質や降雨による無線伝送特性の評価を行う。無線装置の設置性や使い勝手についてケーブルテレビ事業者にアンケートも実施する。具体的には、23GHz帯の無線伝送路で、地上デジタル放送やコミュニティチャンネルなどの複数のデジタルテレビ信号を伝送する。システムの特徴としては、AC100V(発電機などを想定)とDC12V(車載バッテリを想定)の電源供給に対応するほか、同軸ケーブル網と光ファイバ網の双方の幹線に接続可能なことや、小型で設置性・可搬性があり、省電力であることが挙げられる。

東日本大震災では、被災したケーブルテレビの幹線伝送路の復旧までに1カ月以上かかるケースがあった。このため、無線を使った応急復旧システムの研究開発を進め、被災地への情報提供ルートの確保につなげる。

【報道発表資料】
「災害時におけるケーブルテレビ応急復旧システム(幹線応急復旧用無線伝送装置)」の実証実験を実施

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。