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[2013年第4週]ドコモが春モデル11機種を発表、学生向けキャンペーンも各社出揃う

2013.01.28

Updated by Naohisa Iwamoto on January 28, 2013, 12:00 pm JST

NTTが春モデルとして一挙に11機種の新製品を投入してきたのがこの週の最大のニュースだろう。すでに冬モデルで16機種を提供している上に、春モデルでも大量な新製品の投入することになる。iPhoneの影響で苦戦が伝えられる状況からの脱却を目指した総力戦だ。春といえば、学生の進入学シーズンで携帯電話の販売が活況を呈する。各社とも学生の取り込みを目指したキャンペーンを開始し、端末、サービスの両面で春商戦に臨む。

ドコモが春モデルで攻勢

まず新製品の話題から紹介する。NTTドコモは、2013年春モデルとしてスマートフォン8機種、タブレット端末2機種、モバイルWi-Fiルーター1機種の計11機種を発表した。発表会に登壇したNTTドコモの加藤薫代表取締役社長は「生活を快適に彩るパートナーとして、新生活にピッタリの機種を取りそろえた」と語った。また、スマートフォンと家庭の機器を連携させて映像や音楽などのコンテンツを楽しむ環境を提供する「ドコモ スマートホーム」の展開もアナウンスした。

春モデルの特徴は、高精細、高速通信、高速処理の3つ。実際、フルHDディスプレイが5機種、Xi受信時112.5Mbpsが2機種、100Mbpsが8機種、クアッドコアCPUの搭載が9機種と従来機よりも大きくスペックアップした印象だ。その他にも最新のAndroid 4.1を搭載するモデルが10機種、2000mAh以上の大容量バッテリーを搭載するスマートフォンが7機種、NOTTVの視聴が可能なモバキャス対応が6機種、NFCへの対応が6機種となる。各社のフラッグシップモデルがそろってラインアップしたかのようなハイスペックぶりである(関連記事:NTTドコモ、春モデルのハイスペックスマホなど11機種を一挙発表

2画面折りたたみ式で新しいスマートフォンの形を提案する「MEDIAS W」
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一方、KDDI(au)は、高速データ通信の「4G LTE」に対応した、INFOBARシリーズの新製品「INFOBAR A02」を発表した。製造はHTCが担当する。コンセプトは「クラウドに触る、新しい感覚」。音楽、写真、SNS、書籍などのアプリやウィジェットはパネル化されて、自由にホーム画面にレイアウトできる。ハードウエア的にも2013年の春にふさわしいスペックを備える。1.5GHzクアッドコアCPU、4.7インチのHDディスプレイを搭載し、OSにはAndroid 4.1を採用する(関連記事:KDDI、情報に"触れる"新感覚のUIを採用した4G LTE対応の新INFOBARを発売)。

ソフトバンクモバイルは、2012年冬〜2013年春モデルに未発売の製品が多い。この週には、カラフルでポップなAndroid 4.1搭載スマートフォン「HONEY BEE SoftBank 201K」(京セラ製)と、8色のカラーバリエーションで防水・防塵を備えたプラチナバンド対応のPANTONEケータイ「PANTONE WATERPROOF 202SH」の2機種が発売された(報道発表資料:「HONEY BEE 201K」「PANTONE WATERPROOF 202SH」の発売について)。発表済みで未発売の製品に「AQUOS PHONE Xx 203SH」(シャープ製)や「ARROWS A 201F」(富士通モバイルコミュニケーションズ製)があり、これらが春モデルとして今後発売される。

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進入学の春、学生対象のキャンペーン

携帯電話販売のピークを迎える春。各社とも学生の取り込みを意識したキャンペーンを展開する。KDDIは学生向けなどの新規キャンペーンを開始。「学割」キャンペーンでは、新規契約の学生の基本使用料が最大3年間、学生のご家族の基本使用料が最大1年間、それぞれ無料となる。また、新規契約時に「4G LTE」対応のAndroid搭載スマートフォンをご購入し、「LTEフラット」へ申し込んだ利用者に「LTEフラット」の定額料を割り引く「LTEスマホ パケット割」や、MNPを利用した新規契約で一定の条件に当てはまる場合は月額基本使用料が最大2年間無料となる「ウェルカム割」も実施する(報道発表資料: 学生のお客さまとご家族を対象にしたauの「学割」キャンペーンなどの実施について)。

ソフトバンクモバイルも、学生や子どもとその家族を対象にした新キャンペーンを実施する。「ホワイト学割with家族2013」では、学生・子どもと、そのご家族「ホワイトプラン」月額基本使用料(980円)が、新規加入から3年間にわたり無料になる(家族はMNP利用時に3年、MNP以外では1年)になる。同時に、家族がこのキャンペーンに申し込むと、デジタルフォトフレーム「PhotoVision TV SoftBank 202HW」を無料でプレゼントするキャンペーンも実施する(報道発表資料:学生・お子さまとその家族の基本使用料が3年間無料
「ホワイト学割with家族2013」スタート
)。

NTTドコモは、両社に先立つ1月10日にキャンペーン「応援学割2013」を発表。学生の基本使用料が3年間無料になるほか、スマートフォン利用者にはパケット定額サービスの上限額を毎月1050円割り引くといった施策を提供している(報道発表資料:学生のお客様とご家族を対象としたキャンペーン「応援学割2013」を実施)。

AKBダケの応援学割|NTTドコモ
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テレビ、音楽、写真──サービスいろいろ

スマートフォンなどのユーザーを対象としてコンテンツの楽しみ方を拡げるニュースが多くあったのもこの週の特徴だ。まず、テレビの楽しみ方を変える製品から。ソフトバンクBBは、テレビ放送や録画した番組を無線LAN環境がある外出先で視聴できる「エリアフリー 録画対応デジタルTVチューナー」を発売すると発表した。製品はピクセラ製。SoftBank SELECTIONオンラインショップで販売している。3波で放送中のテレビ番組や、録画した番組はインターネットを経由して、無線LAN環境でインターネット接続している外出先のiPhoneやiPadから視聴できる。無線LAN環境さえあれば視聴できるため、国内はもちろん海外でも日本のテレビ番組や撮りためた番組を楽しめる(関連記事:外出先でも海外でもiPhoneでテレビを見られる--ソフトバンクBBが3波対応チューナー)。

音楽の新サービスをNTTぷららが提供する。同社の映像配信サービス「ひかりTV」の新サービスとして、定額で聴き放題の音楽配信サービス「ひかTVミュージック」を追加し、3月1日に開始する予定だ。100万曲以上の楽曲を月額980円の定額で楽しめる。サービスを利用できる端末は、Android 2.3以降のスマートフォン(008Z、009Z、104SHは除く)。3月上旬以降には、iOS 5.0以降のiPhone、「ひかりTV」対応チューナー(PM-700、ST-770、M-IPS200)でも利用できるようになる。このサービスは、レコチョクとの協業により提供される(報道発表資料:邦楽も充実、月額980円で聴き放題の音楽配信サービス「ひかりTVミュージック」、レコチョク社との協業により提供開始)。

写真や動画の使い道を拡げる試みもある。NTTドコモは、写真や動画を無料でクラウドに保存できるサービス「フォトコレクション」に、保存した写真・動画を家族や友人と共有できる「友人への公開機能」と、保存した写真で様々なオンラインプリントサービスを利用できる「オンラインプリント連携機能」を追加する。2013年2月下旬に提供を開始、無料で利用できる。Android 4.0以上を搭載したドコモのスマートフォン/タブレット、パソコンが対象となる(報道発表資料:ドコモクラウド「フォトコレクション」の機能を拡充

オンラインプリント連携機能
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地下鉄ではau有利、ソフトバンクは障がい児教育に力

そのほか、この週のトピックを紹介する。MMD研究所(モバイルマーケティングデータ研究所)は、全国の主要な地下鉄の駅でのLTEサービスの実情を調べた調査の結果を発表した。6都市、34路線の615駅で調査したところ、4G/LTE捕捉、平均通信速度ともにau(KDDI)が優位な結果となった。4G/LTEの電波捕捉状況は、Android端末では、auが615駅中598駅(捕捉率97.2%)と最も捕捉率が高く、NTTドコモが298駅(同48.5%)と続いた。ソフトバンクモバイルは49駅(同8.0%)しか4Gサービスの電波を捉えることができなかった。iPhoneでも同様の傾向で、地下鉄駅の高速データ通信環境ではauが数歩リードしている状況が見えてきた(関連記事:地下鉄のLTE環境はauがだんぜん優勢--MMD研究所調べ)。

東京大学先端科学技術研究センターとソフトバンクモバイル、ソフトバンクグループで教育事業を行うエデュアスは共同で、携帯情報端末を活用して障がい児の学習・生活支援を行う「魔法のランププロジェクト」を実施する。プロジェクトでは、選定された協力校にスマートフォンやタブレット端末を無償で貸し出して、学習や生活への支援の具体的な事例を研究・公開する。協力校には、校内や地域でICT活用セミナーや研修会の実施を推奨し、活用事例の啓発や普及を目指す。具体的な支援活動を通じて、障がい児が学習の機会を公平に得られる「学習のバリアフリー」を促進したい考えだ(関連記事:東大とソフトバンク、ICTで障がい児を支援するプロジェクト)。

昨年の第4週のできごと

・相次ぐトラブル、ネットワークへの信頼を揺るがす
・auのiPhoneで絵文字、Xiにキャンペーン
・スマホを中小企業に、インモビの広告ネット
・ドコモは減収減益、KDDIは増収増益

[2012年第4週]スマホが原因でトラブル、au版iPhoneが絵文字対応、ドコモとKDDIの決算

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。