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[2013年第1週]「あけおめ」メールは大きな混乱なし、KDDIは年末年始にLTEで通信トラブル

2013.01.07

Updated by Naohisa Iwamoto on January 7, 2013, 12:03 pm JST

あけましておめでとうございます。2013年が通信・ワイヤレスに関係する皆さまに良い年となることを心からお祈り申し上げます。ここでは、年末から年始にかけての通信状況やトラブルの情報をはじめとした、年末年始のワイヤレス業界のトピックをまとめた。

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(cc) Image by Yoshikazu TAKADA

「あけおめ」対策は通信のみ規制にシフト

年が明けた直後からの「あけましておめでとう」コールやメールで、通信キャリアのネットワークが輻輳することは毎年の恒例行事のようになっている。電気通信事業者協会(TCA)と携帯電話各社は、年末に「年末年始のケータイのご利用についてのお願い」として、1月1日へと日付が変わった後2時間のおめでとうコール・メールはなるべく控えるよう呼びかけていた。これによると、0時からの30分間は音声通話・メールとも接続・送信できない可能性があり、音声通話は1時頃までには復旧、メールは約2時間程度にわたって遅延の可能性があるとしていた(関連記事:「あけおめ」メッセージもオフロード、2013年の年明け通信事情

年が明けて、1月4日に広報部と連絡がとれたNTTドコモ、KDDIの両社に実際の状況を確認したところ、この年末年始には大きな混乱はなかった模様だ。まずNTTドコモは、通信について0時をまたぐ20〜30分程度に渡り10%前後の規制を行った。一方で通話は2012年の正月から規制をしていないという。NTTドコモでは、「今は通話よりもメールやSNSの方が主流で、そちらが問題になっていると認識しているため、このような規制になっている」としている。2012年の年明けにはspモードメールが利用しづらい状況になるなど問題が起こったが、2013年は「一部地域で短時間発生した可能性はあるが、全体としては特に大きな障害は出なかったと認識している」とのことで、大きな混乱はなかった模様だ。

KDDIも同様で、2013年の年明けは音声通話の規制は行なっておらず、通信だけ0時少し前から1時間程度の規制を実施したという。規制の具体的な割合は公表していない。輻輳やメールの遅延についても、あらかじめTCAと共同でリリースした範囲に収まっていたとのことだ。

年末恒例の不具合? 今年はKDDIがLTEでトラブル

「あけおめ」コール・メールによる大きなトラブルは回避できたものの、この年末年始にも携帯電話のトラブルが発生してしまった。今回はKDDI。まず12月31日の0時から4時23分の間、auのLTE対応機種の一部でデータ通信サービスが利用できなくなる障害が発生した。0時から2時55分の間、データ通信が全く利用できない状態となり、その後4時23分までの間は利用しづらい状況が継続した。影響範囲は全国で最大約180万ユーザーとしている(関連記事:auのLTE対応機種でデータ通信障害<復旧済み>))。

また1月2日にも0時5分から1時53分にかけて、4G LTE対応端末でデータ通信が利用できない事象が発生した。影響範囲は全国に及んだ(発表資料:【復旧】auデータ通信がご利用いただけない状況について)。さらに、auスマートパスなどのau IDを使ったサービスが利用できない状況が1月1日に発生した(発表資料:【復旧】auスマートパス等au IDを利用したサービスが利用しづらい状況について)。

これらについてKDDでは、「12月31日、1月2日の4G LTE端末の通信障害については、おそらく同じ原因で起こったと考えられる。詳細については現在調査中なので具体的な回答は差し控えたい」とコメントしている。また、1月1日にスマートパスが利用しにくくなった状況については、2012年8月に発生した事象と同様で、月初で負荷が高くなったことに加えて、ユーザーの利用が集中したことが原因と分析している。

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2013年は地下鉄で通信OKの年に、キャリア満足度はKDDI

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このほかの年末年始のトピックを紹介していく。

2012年12月26日正午に、東京メトロの丸ノ内線(赤坂見附駅〜新宿御苑前駅)、千代田線(霞ケ関駅〜代々木上原駅)、半蔵門線(永田町駅〜神保町駅)、副都心線(千川駅〜要町駅)の各区間で走行中の車内で、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイル、イー・アクセス(EMOBILE)の携帯電話利用が可能となった。また、12月21日から、大江戸線の光が丘〜新宿間を除く都営地下鉄全線でも、走行中の社内で携帯電話利用が可能となっている。

地下鉄の携帯電話エリア化は、東京だけでなく全国でも着々と進んでいる。2013年には一層のエリア化進展が期待でき、地下も含めた生活圏の多くの場所で携帯電話が使えるようになりそうだ。WirelessWire Newsでは、2012年12月26日現在の全国の地下の駅間で携帯電話が利用できる区間を、各社の公開資料を元にまとめた記事を公開している(関連記事:【まとめ】駅間で携帯電話が利用できる地下区間)。

また、UQコミュニケーションズ(UQ)のWiMAXサービスも地下鉄などのエリア化を積極的に展開している。2012年12月26日には、都営地下鉄の全線でWiMAXサービスが利用できるようにするエリア整備が完了したと発表した。UQは2011年12月26日に都営地下鉄三田線の大手町駅にWiMAX無線設備を設置し都営地下鉄で初めてサービスを開始したが、それからちょうど1年で全線へのエリア整備を終えた(関連記事:UQ、都営地下鉄全線でWiMAXエリアの整備を完了)。

キャリアに対するユーザーの満足度を尋ねた調査の結果では、KDDIが総合満足度で首位に立った。MMD研究所(モバイルマーケティングデータ研究所)が発表した調査結果で、ユーザーが利用しているスマートフォンのキャリアについて、満足度を料金プラン、電波状況、通話エリアなどの9項目で尋ねたもの。総合満足度の結果では、KDDIが64.6%と高いスコアを得た。2012年5月の調査ではKDDIの総合満足度は55.2%であり、大きな伸びを見せたことがわかる。一方、NTTドコモは48.4%で、5月調査の52.8%からスコアを落とした。ソフトバンクモバイルは46.9%で、5月調査の45.6%からスコアが微増した結果だった
(関連記事:スマホ満足度はau(KDDI)が他を引き離して首位に--MMD研究所)。

現行は手数料が不要だったサービスにKDDIが手数料を新設。auショップやコンビニエンスストア、各種金融機関などの窓口で携帯電話や固定電話の料金を支払う場合に必要となる「窓口でのお支払手数料」の105円と、「WIN」端末から「WIN」端末への機種変更に適用される「機種変更手数料」の2100円である。先行して手数料新設などを発表しているNTTドコモ、ソフトバンクモバイルと、実質的に横並びにする施策だ(関連記事:KDDI、窓口支払や機種変更時の事務手数料などを新設)。

ユーザーの多様な利用法に対応。日本通信は、利用しない月には基本料金がかからない「基本料0円SIM」のLTE対応版をヨドバシカメラで提供開始した。基本料金は0円で、利用しない月は費用がかからない。通信を利用すると100MBまでは1MB当たり37.8円の従量課金となる。100MBから1GBまでは3780円の定額で通信が可能だ。普段はWi-Fi環境で使っているような端末で、たまにしか携帯電話ネットワークに接続しないが、使うときは高速通信が必要といったユーザーが便利に利用できる(関連記事:日本通信の「基本料0円SIM」、LTEに対応しヨドバシカメラから発売)。

昨年の第1週のできごと

・スマホも通信モジュールも市場拡大へ
・spモードメール、相次ぐ不具合
・WiMAXの上りが15.4Mbpsへと高速化
・ドコモが半導体で内外メーカーと合弁

[2012年第1週]スマホ出荷好調、年明け早々spモードメールに不具合、WiMAX上り高速化

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。