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東北大学、キャリアの回線を使わずスマホのWi-Fiだけでメッセージリレーに成功

2013.02.15

Updated by Naohisa Iwamoto on February 15, 2013, 18:24 pm JST

東北大学大学院情報科学研究科は2013年2月14日、キャリアの携帯電話回線を利用することなく、スマートフォンのWi-Fi(無線LAN)通信だけでメッセージをリレーすることに成功したと発表した。災害時などに携帯電話回線がつながらない状況でも、スマートフォンを介してメッセージをリレーして伝えられる可能性を示した。

この研究は、東北大学大学院情報科学研究科の加藤寧教授、西山大樹准教授らの研究グループが行ったもの。2013年2月8日に東北大学青葉山キャンパスで、スマートフォン27台を利用して、Wi-Fiだけでメッセージをリレーする実験に成功した。実験で使用したスマートフォンは、電池残量や加速度センサーの情報、周囲の状況などから適切なネットワーク形成モードを選択する機能を搭載した。これにより、Wi-Fiだけでスマートフォンを結ぶネットワークを形成し、メッセージをリレーする方法で離れたスマートフォンに届けることができるようになった。災害発生時やイベント時などに、集まった人のスマートフォン同士をネットワーク化し、コミュニケーションが取れるようになるという。

今回の実験は、総務省受託研究事業「災害に強いネットワークを実現するための技術の研究開発」の一環として、通信技術の評価・実験を行った。研究グループでは、2月15日にもスマートフォン30台を利用した実験を行う。仙台市青葉区の西公園~禅定寺通り~勾当台公園で実験を実施し、人通りが多く無線電波があふれている市街地でのスマートフォンを使ったメッセージリレーの有効性を確認する。

【報道発表資料】
携帯電話が圏外でもメッセージ送信が可能に(災害時でも有効な通信手段として期待)

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。