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Viberが語る、OTTと通信事業者のあるべき関係

2013.03.04

Updated by Shigeyuki Kishida on March 4, 2013, 13:42 pm JST

MWCでは、充実したブース展示と並行して、業界を代表するプレイヤーによる講演やパネルディッションが開催される。2013年の今回も数多く開催されたが、メッセンジャーアプリ大手ViberのCEOは、イノベーションという軸から通信事業者が抱える課題を指摘、その上でOTT(参考情報)と通信事業者のあるべき関係について語った。

▼Viber タルモン・マルコ CEO
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なぜ、Viberがメッセンジャーアプリとしてこれだけ消費者に使われているのか。無料だから? そうではない。たとえば、モナコ。
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モナコの住人はリッチであるし、年齢層も高い(Medianで50歳)。もともと、モナコテレコムではSMSが無料。
しかし、一日のViberメッセージ利用者数はモナコ人口の9割近くにのぼる。その答えは「エクスペリエンス」だ。
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消費者はイノベーションを求めている。
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同氏が自社サービスの人気の理由を説明する一方、通信事業者も「Joyn」ブランドで、通信事業者版のメッセンジャーアプリ「RCS」を市場投入してきたところだ。しかし、OTTプレイヤーによるメッセンジャーアプリは世界的に活況であるものの、乱立気味だ。異なるアプリ間ではメッセージのやりとりは行えない。LINEからViberへはつながらないのが実態だ。ではなぜ、OTTプレイヤーはアプリ間の相互接続をしないのか?

この問いに、同氏は「イノベーション」と「インターオペラビリティ(相互動作性)」の両立が難しい点を挙げて説明した。
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インターオペラビリティを確立しライバル(の通信事業者)を説得しなければいけないという点を考えると、ことイノベーションに関して言えば、通信事業者は不利な立場だとした。

そして同氏は通信事業者に対し、OTTと通信事業者の役割分担を提案した。
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OTTプレイヤーがサービスを提供し、通信事業者はデータ通信接続を提供する、という姿だ。

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「らくだは、コミッティーがデザインした馬だ」通信事業者が導入したJoynは2007年から開発が始まっている。しかし進化版のRCSeは通信事業者9社しかサポートしていない、また楽しくないから将来もない、とバッサリ。

同氏はストレージサービスのboxとT-モバイルの提携、Viberとインドネシアの通信事業者Axisとの提携(プレゼン当日に発表)を引き合いに出した。
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そして、このセッションで同席し、すでにプレゼンテーションを終えていたドイツテレコムの「モア・イノベーション・バイ・コーオペレーション(協調でさらなる革新へ)」というフレーズを引用した。

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「これが、我々(通信事業者とOTTプレイヤー)が進むべき道だ。」

通信事業者はOTTを活用してサービスを差別化し、通信事業者のサービスで、OTTのサービスをより良いものにすることができるとした。

たとえば通信事業者の機能を活用してViber通話の高品質版が提供できれば、ニーズはあるし、有料化でき、それを通信事業者とレベニューシェアできるだろう、また通信事業者も運用コストが安いOTTの設備を活用すればよい、といった具体的なアイデアまで示した。

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岸田 重行(きしだ・しげゆき)

情報通信総合研究所上席主任研究員。1990年一橋大学卒業、NTT入社。1997年より現職。海外・国内のモバイル通信業界に関して、サービス動向から企業戦略まで広く調査研究を行っている。「通信事業者はどこへ行く」(「情報通信アウトルック2011」共著)「アプリケーション・ストア・ブームの衝撃」(「情報通信アウトルック2010」共著)「LTEの提供エリアはスムーズに広がるのか-世界におけるLTE普及への展望」(日経コミュニケーション2009年7月15日号)など、記事執筆・講演多数。