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「窓ガラス」からイノベーション - エリクソンの「Windows of Opportunity」 -

2013.03.04

Updated by Kazutaka Shimura on March 4, 2013, 13:08 pm JST

どんな家にもある部屋の「窓ガラス」。それが、WiFiのルーターやテレビアンテナ、それに太陽電池になるとどうだろう。屋内よりも電波の受信状況はいいだろうし、日当りもいい。それに、ルーターの上に溜まるホコリを毎日掃除しなくてもいい。そんな「窓ガラス」をもとに、未来のイノベーションを考えると楽しい。

バルセロナで開催されたMWC。8個ある展示会場のうち、南入口から近いHall2。Hallをいちばん奥に進むと、エリクソンの巨大な展示ブースがある。そのエリクソンブースにあった「Windows of Opportunity」が、今回のMWCでいちばん面白かった。展示されていたのは、アンテナ、太陽電池、シールド(電波を遮断する)、不透明になったり掲示板になる、「窓ガラス」4点。特殊な物質をガラスに焼き付けて、それぞれの機能を引き出している。

「窓ガラス」がアンテナになったり、発電すると、何の役に立つのだろうか。たとえば、ガラスに書いたアイデアを、モバイル・ネットワークを通してタブレットなどで共有することが可能になる。ビルの「窓ガラス」に発電機能を持たせれば節電になる。また、不透明になったり透明になればブラインドが無くても、温度調節が可能になり、これも節電効果があるだろう。

デジタル化、電化技術の導入には、ハード機器が付きものだった。電話機、パソコン、ホワイトボード、WiFiルータ、テレビなどなど。部屋やオフィスに増えていく機器群。機器が乱雑に置かれている状態に我慢できたのは、それ以上に便利さを享受できたからだ。

しかし、電化、デジタル化が行き渡ると、建築やインテリアなどデザインが気になり始める人もいるだろう。そうしたときに、家に既にあるモノ、家を構成する基本部分をデジタル化し、モバイル・ネットワークに組み込む方向性はアリだろう。

数年前にCESでパナソニックが壁一面をスクリーンにするデモをしたことがある。今年のCESには空間に映像を映すエアスクリーンのデモをする企業がいた。つまり、部屋やオフィスからどんどんハード機器が無くなる未来は簡単に想像がつく。

そうした意味で、今回のエリクソンの「Windows of Opportunity」の試みはとても面白いし、もっといろいろアイデアが浮かんできそうだ。

▼青いガラス部分に菱形のアンテナが埋め込まれている
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▼電波を遮断するガラス。特殊な物質(Shieldの上に見える薄い繊維)をガラスにプリントしている。
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▼発電機能を持った窓ガラス。実際に照明を当てるとプロペラが廻るデモをしていた。
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志村 一隆(しむら・かずたか)

情報通信総合研究所主任研究員。1991年早稲田大学卒業、WOWOW入社。2001年ケータイWOWOW設立、代表取締役就任。2007年より情報通信総合研究所で、メディア、インターネットの海外動向の研究に従事。2000年エモリー大学でMBA、2005年高知工科大学で博士号を取得。文系・理系に通じ、さらには国内外のメディア事情、コンテンツ産業に精通。著書に『ネットテレビの衝撃―20XX年のテレビビジネス』(東洋経済新報社)『明日のテレビ チャンネルが消える日』(朝日新書)がある。