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ジュニパー・ネットワークスが示す、通信事業者とクラウドの価値

2013.02.28

Updated by Shigeyuki Kishida on February 28, 2013, 15:43 pm JST

MWCでは、充実したブース展示と並行して、業界を代表するプレイヤーによる講演やパネルディスカッションが開催される。2013年の今回も数多く開催されたが、ジュニパー・ネットワークスのCEOはクラウド時代の通信事業者の価値について語った。

▼ジュニパー・ネットワークス ケビン・ジョンソンCEO
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クラウド時代の通信事業者の姿について、2つの見方があるとした。一つは、「通信事業者はダムパイプ問題をダムクラウドに置き換えているだけだ」というもの。もう一つは、「通信事業者はクラウドサービスを資本化するのに優位なポジションにある」というものである。
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同氏は「通信ネットワークは、クラウド体験の基礎となるもの。通信ネットワークがなければ、クラウドもない」との見方を引用し、モバイル・インターネットとクラウドに、セキュリティが付加されることに価値がある、とした。
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そして、クラウドのバリューチェーンにおいて、通信ネットワークがすでに差別化要因になっている、とした。
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こうした中、クラウドの成長を加速させる通信ネットワークのイノベーションとして3点を挙げている。
1点目は「セキュリティ・イノベーション」。ハッキングされた際に、ハッカーに正しくない情報を渡すことで個人や企業の情報を守ることができるとした。
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2点目は「サービス提供の速さ」。SDNが、従来なら数ヶ月かかっていたサービス提供までの期間を数分単位にまで短縮化する、とした。
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3点目は、「ユーザー・エクスペリエンス」。QoEが業界リーダーとフォロワーを分けることになる、とした。
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そして、将来はいま目の前にあるとした。
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講演の中で、クラウド時代において通信ネットワークの価値は高いとの論調であったが、市場が成熟するにつれ、今後5年で勝ち負けがはっきりしてくるとの見方を示した。

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岸田 重行(きしだ・しげゆき)

情報通信総合研究所上席主任研究員。1990年一橋大学卒業、NTT入社。1997年より現職。海外・国内のモバイル通信業界に関して、サービス動向から企業戦略まで広く調査研究を行っている。「通信事業者はどこへ行く」(「情報通信アウトルック2011」共著)「アプリケーション・ストア・ブームの衝撃」(「情報通信アウトルック2010」共著)「LTEの提供エリアはスムーズに広がるのか-世界におけるLTE普及への展望」(日経コミュニケーション2009年7月15日号)など、記事執筆・講演多数。