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ロシアのヨタ社、液晶・電子インクの2面ディスプレイを採用したスマホを開発

2013.03.05

Updated by Kenji Tsuda on March 5, 2013, 18:30 pm UTC

表裏とも同じようなディスプレイからなるデザインのスマートフォンが試作された。ロシアのヨタデバイセズ(Yota Devices)社が開発したもので、表は従来と同じ液晶スクリーンを使ったものだが、裏面には電子インクを使うディスプレイ構成になっている(図1)。ここのブースは人だかりでごった返していたが、日本人はほとんど来ていなかった。

▼図1 表は液晶、裏は電子インクの画面を持つスマホ
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このような2面ディスプレイを使う狙いは何か。同社ビジネス開発マネージャーのPavel Zakharkin氏は、利用シーンとして3つを考えているという。一つは、フェイスブックやツイッターなどを行っている時に、電話やメールが入った場合に直前のスクリーンを裏面の電子インクスクリーンに保存しておき、電話などが終わった時に再び見ることができるというもの。電子インクは不揮発性で、電源をオフにしてもディスプレイ画面を表示できるため、消費電力は極めて小さい。

二つ目は、バッテリが切れた時でも画面の内容を残すことができる点だ。大事な画面を電池の残りが少ない時に残しておく。さらく、西洋人のように家族の写真をいつでもどこでも見られるようにすることもできる。ただし今の所、電子インクの画面はモノクロのみだ。

三つ目は、電子ブックリーダーとして使う用途だ。電子ブックはE-インク社のディスプレイを採用したもので、ディスプレイ上で文字や写真を表示している間、電力はほぼゼロ。画面を切り替える時しか電力を消費しないため、消費電力が極めて少なく電池寿命を延ばすことができる。

チップの心臓部にはクアルコムのSnapdragon S4アプリケーションプロセッサ(最先端の28nmプロセスを使うチップ)を使った設計を行っている。両面を同時にアクセルするマルチタスクには欠かせない性能が求められるからだ。ヨタは、端末だけではなく、モデムやルーターも開発する計画であり、これらにはクアルコムの4G LTEのGobiチップセットMSM9215とMSM9225を使う。OSにはアンドロイド4.2を使っている。現在世界の主要通信オペレータやディストリビュータにスマホをサンプル出荷しており、各地のカスタマイズに対応する。

MWC会期中に同社は、クアルコム社とLTEのソフトウエアライセンス契約を結んだことを発表した。クアルコムがロシア企業にライセンス供与するのはこれが初めて。クアルコム欧州社長でクアルコムテクノロジーズ社のシニアVPであるEnrico Salvatori氏は「ロシアは今後2年間、3G市場として成長が期待できる重要な地域だ。クアルコムがグローバルな企業とコラボすることで革新的なアイデアが生まれる。ヨタデバイセズを成功例にしたい」と語る。

ヨタデバイセズ社は、ロシアのモスクワに本社と研究開発センターを置くベンチャー企業である。スマホ本体のデザインとソフトウエア開発、ハードウエア設計を自社で行っている。同社はモスクワの他に、ロンドンと米国、シンガポールにオフィスを持ち、世界中に売り込むための準備を整えている。狙う市場はロシア国内に加え、東欧、インド、米国などから参入していく。

 
文・津田 建二(国際技術ジャーナリスト兼セミコンポータル編集長)

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津田建二(つだ・けんじ)

現在、英文・和文のフリー国際技術ジャーナリスト兼セミコンポータル編集長兼newsandchips.com編集長。半導体・エレクトロニクス産業を30年以上取材。日経マグロウヒル(現日経BP社)時代からの少ない現役生き残り。Reed Business Informationでは米国の編集者らとの太いパイプを築き、欧米アジアの編集記者との付き合いは長い。著書「メガトレンド半導体 2014-2023」、「欧州ファブレス半導体産業の真実」など。