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個人情報法を理解したいなら歴史を学べ

2013.04.08

Updated by Mayumi Tanimoto on April 8, 2013, 04:18 am JST

EUにおいては、個人データの管理はEUのデータ保護指令(Data Protection Directive)と各国の情報保護法による規制を受けております。規制の元になっているのは1995 年データ保護指令(95/46/EC)という決まりです。

さて、最近欧州ではデータ保護指令を巡って色々な議論が起こっております。これ、(1)データ保護の基本的な権利(2)EU 域内において個人情報が自由なやりとりを実現する、という二つの目的を達成するために作られたんですが、「こんなもの守れるわけない」加盟各国が怒ってしまいまして、この指令はあるものの、各国が異なったデータ保護法を運用しております。

EU は新しい政府の形だ、なんて誰がいったんでございましょう。ワタクシの記憶にある限り、日本の欧州研究とか国際機関研究の学者の先生方の中には「これは世界政府である」と言っている方がおられました。どうもみなさん英語も他の欧州原語もおできにならないので、実態をお分かりでない様です。

実態は一年中大げんかしている村の寄り合いにございます。

例えば、ドイツやオーストリアは第二次世界大戦中にナチによる情報統制や、検閲、市民の情報を元にした人権侵害が会ったため、消費者のデータ保護に大変慎重であります。政府や警察が市民の情報を使用することに関しても慎重です。

ファシスト政権を経験したイタリアや、フランコ政権時代に政府による市民への弾圧があったスペインでも同様です。役所なんて信用していないのです(だから脱税するのです)。

ハンガリーやラトビア、リトアニアポーランドなどの旧共産圏だと、ソビエト時代に政府や警察が市民の情報を悪用し、迫害を加えたので、政府なぞ信用しておりません。

例えばハンガリーのブタペストに行きますと恐怖の館という博物館があります。そこには共産圏時代の拷問部屋がそのまま保存してあり、見ているだけでめまいがして来ます。虐待の様子とか死んだ人の写真なども展示してありますが、あれを見てしまうと「ああ、なるほど」と納得するわけです。ハンガリーに行く方、温泉ばっかりいってないで、こういう所にも行きましょう。街の中心にあるのでアクセスも簡単です。市街地にこういう博物館があるというのは凄いですね。忘れっぽい日本人にも必要ですね。

一方で、こういう弾圧を体験していないイギリスは、政府による規制は最小限にすべきだとの意見です。また、政府が消費者のデータを犯罪捜査に使用することに大賛成なわけです。面白いですね。ちなみにイギリスはEU が大嫌いなので、EU 指令のうち三分の一程度の34しか従っておりません。その他はガン無視というわけです。困ったイギリスさんですね。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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