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男が家事をやらないと責めまくるだけなのは生産性のない議論

2014.10.30

Updated by Mayumi Tanimoto on October 30, 2014, 01:13 am JST

日本の女性雑誌や女性が集うウェブサイトに目を通しますと、日本の男性がいかに家事をやらないかという文句が延々と渦巻いています。

ネットでもワタクシに「ちょっと聞いて下さい!うちの旦那は家事をやらないし子育てもやらない。もういや!!外国に逃げたいです!!!」という文句を延々と送ってくる電波な方がおります。

ワタクシは生ゴミ処理機かなににかだと思い込んでいる様で、そんな友達でも知り合いでもない人の怒りの電波は放置しているのですが、放置していると「読みましたか!!」という文句がくるので、もうストーカーされる人の気持ちがわからないでもないです。(残念ながら根暗でオカメ顔のワタクシはストーカーとかそういう経験はないのでわりと気楽な人生を送って来たのです)

電波を浴びるのに疲れ果てたので、メロンパンの皮を焼いたのは食べるの値するかどうかというのをTwitterで真剣に調べておりましたら(顔本の人は上品なのでこういうケッタイな物はお食べにならないのです)そういう電波を疲れ果てたオッサン達に直撃ビーム放射する記事が流れてきました。

日本の家庭は最悪のブラック企業!? 女性活躍の推進に不可欠な「ダンナ」対策  大和総研調査本部主席研究員 河口真理子

この記事の内容をまとめますと、日本の男性は家事や育児を眺めているだけで、全然やらない、そして働いている妻は家事も育児も仕事もやって凄く大変なのでケシカランということです。

まあ確かにおっしゃる通りなのですが、それを延々と言っていても、根本的な原因があるんだから非生産的というものです。

ところで、欧州の北の方では旦那は家事をやります。ゲイとかレズビアンとかトランスジェンダーのカップルもどっちかに家事とか育児を押し付けるというのはあんまりありませんね。(ところでイギリスなど同性婚でも養子を迎えたり代理母に子供産んでもらったりしますので子供がいるのは珍しくないです)

欧州と言っても広いので、これがイタリアとかスペインとかギリシャとか東欧の方に行きますと、男が家事やら育児をやる比率はグンと下がりまして、何でもかんでも母ちゃんがやるという悲惨な状況になります。そして女性の社会的地位はもちろん低いです。しかしながら、女性の地位が低い地域は伝統文化が残っているので、食事はうまいのですが。

さて、日本の人が「こうなっらたいいなあ」と思っているのは多分欧州の北の方なんだと思いますが、その辺りでなぜ男性が家事と育児をやるかというと、仕事が楽であるというのが最大の理由ですね。

ごく一部の高級取りを除いて、大半の人々は定時かその前に仕事を上がり、同僚との飲み会などいかないで(そもそも同僚も上司も大嫌いなので師ねと一日中唱えています)さっさと家に帰り、人によっては途中で子供を拾って行ったり、買い物して帰ります。

そして家に帰ると買って来た食べ物をオーブンに突っ込んで(切ったり煮込んだりしないから時間の節約)「素晴らしい田園風景」みたいな番組を見ながら妻と「激務で疲れた」という話をして(定時上がりであっても通勤するだけで激務なのでそれは激務)ご飯食べて子供を風呂に入れてから寝るという感じであります。

朝は子供を保育園に送って行く父ちゃんというのは珍しくありませんし、保護者会にでる父ちゃんも珍しくありません。

子供が病気になると父ちゃんが家で面倒を見ることもあります。母ちゃんも家にいることもあります。金融でもテレコムでも政府でも法律事務所でも、人と直接会わない様な仕事をしている職種だと、在宅勤務が当たり前みたいな感じになっているので、家で仕事をしながら子供の面倒をみれるわけです。いつ在宅にするか勝手に決めても平気な会社も結構あります。

なんで在宅がそんなに流行っているかというと、働きやすい職場にしておかないと、優秀な人はドンドン転職してしまうし、他社に取られてしまうからです。要するに、働きやすさや柔軟性が事業戦略なんです。しかもそもそも管理職だって経営者だって会社には極力来たくないという登校拒否状態ですので、こういうのはザッツウェルカムであります。誰だって脂ぎったオッサンや眉間にしわのよったオバハンと一日中顔を突き合わせていたくないのです。

ところで、上記みたいな知識産業の世界は、誰がやっても同じ結果がでる、というわけではなく、人によりパフォーマンスが全然違いますので、優秀人材の確保と維持は最重要課題と言っても差し支えありません。アホウを5人雇うよりも、一人で素晴らしいコーディングができて、しかも管理も営業も企画もできるという人を雇ってしまった方が早いわけですから。ゴミの様な人々はいらない。優秀な人を少数雇うには、職能採用、能力給、契約ベースの雇用、自動的に昇進はしないという仕組みの方が有利であり、人の流動性が高いと助かるわけです。

そんな感じですので、男も家事育児を自分のこととしてやるのが当たり前です。多くの男性は「イクメンにならなければ!」と気張っているわけではなく、奥さんだけにやらせてるのはフェアじゃないからねとサクサクっと取り組む感じです。時間がある上、体も疲れきってないので、妻が怒鳴らなくても自然にやるわけです。

毎日深夜帰りだったり、出張しまくりという激務の人々もいるわけですが、そういう方々は高級取りなので、掃除人や子守りを雇って家事は極力外注しているので、日本の家庭みたいに「旦那が家事をやらない許せない!!」にはならないわけです。妻もやりませんので。

つまり、何が言いたいかというと、男性も家事育児をやる様にするには、終身雇用の廃止、メンバーシップ型雇用を辞めて職能雇用にする、自動昇給廃止で能力給、契約ベースの雇用、正社員と契約社員という身分制度による差別を辞める、自分の仕事が終わったらさっさと家に帰る、という「働き方の大変革」が必要なわけです。

しかし、それをやろうとすると、従来の仕組みの中で「楽をして来た人」が悲惨な目にあう上、そういう人は往々にして年を取っており、決定権を持っていたりするので、変わるのかどうかは疑わしいということであります。

しかも日本の管理職は職能雇用に必須のジョブデスクリプションは書けないし、そもそも職能型雇用の従業員の「マネージ」はできないし、そもそも自分自体がプロの管理者ではないというハードルもあるので、多分日本では無理でしょう。

いつもの様に極論を申しますと、もし可能にしたいなら、そういう管理職を全部首にして、インドとかブラジルのエリートに置き換えることです。ところで、彼らの方が日本の無能な管理職より数倍頭がいいので、従来と同じ人数はいりません。オフィスの場所も光熱費も節約できて素晴らしいわけです。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。