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クラウド電話API Twilioの可能性とハッカソンへの期待

2013.09.24

Updated by WirelessWire News編集部 on September 24, 2013, 17:30 pm UTC Sponsored by 株式会社パソナテック

10月5日、パソナテックの創業15周年記念イベント「TECH FESTA 2013」で、"Communicate Hack"と題してクラウド電話API「Twilio」のハッカソン・アイデアソンが開催される(アイデアソンは10月3日開催)。日本でTwilioのサービスを展開するKDDIウェブコミュニケーションズ SMB事業本部 Twilio事業部 小出範幸氏に、日本でのローンチから間もなく半年が経つTwilioの現状と、ハッカソンへの期待を聞いた。

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小出 範幸(こいで・のりゆき)
1973年生まれ。愛知県半田市出身。千葉大学・大学院(工学系修士)を修了後、大手精密機器メーカーに入社。ネットビジネスを志向し大手コールセンター系アウトソーサーに勤務後、2008年に筑波大学・大学院(社会人大学院)にてMBA取得。2010年より現職。2011年に自社開発のクラウド型電話API『boundio(バウンディオ)』事業を立ち上げ、現在は、米国発のクラウド型電話API『Twilio(トゥイリオ) for KDDI Web Communications』事業のゼネラルマネージャー。

──はじめに、Twilioとはどのようなサービスなのか、概要を教えて下さい。

小出氏:Twilioとは、一言でいうとたった数行のコードを書くだけで、ウェブと電話を繋ぐことができるサービスです。ソフトウェア開発者が当社から提供するAPIをアプリケーションに組み込むことで、音声通話やテキストメッセージの送受信を可能にします。通信の発信と受信はクラウド側で制御することができるので、開発者は自前の音声サーバーを用意することなく、通話ソリューションを提供するアプリやウェブサービスを構築できます。ウェブとアプリをブリッジして、通話のコントロール機能を提供しているのです。

技術的なことを言うと、REST形式なので、ウェブアプリケーションからだけでなく、センサーからの入力をトリガーにしてAPIを経由して電話をかけるようなこともできます。たとえばハードウェアに振動センサーを組み込んでおき、揺れたら電話やメッセージを飛ばすとか。そういうものを自宅のドアに取り付けておけば、ドアが開いたら自分の携帯電話が鳴るような、セキュリティソリューションができますね。

一対一の通話やメッセージだけではなく、サーバーからメッセージを送信することもできます。SMSを使ったサービスは日本ではあまりまだポピュラーではありませんが、Uberというタクシー配車サービスでは、Twilioを利用してユーザー登録時の認証コードや、配車したタクシーがあと何分で到着するなどのメッセージをSMSでユーザーの携帯電話に送信します。

──Twilioを使って提供されているサービスの例としては、どのようなものがあるでしょうか。

小出氏:最近はセキュリティ強化のために端末認証や二要素認証でセキュリティコードを発行するのにSMSを使用するケースが多いですが、その際に利用されている事例が多いです。さきほど紹介したUberや、アメリカでは広く使われているintuitで従業員が給与明細を確認する時の認証、B2Bをターゲットにしたストレージ共有サービスboxの認証でも使われています。

別の利用例をあげると、音声通話のトラッキングや匿名通話があります。たとえば、お店の紹介サイトなどでよくお店の電話番号の下に「お問合わせの際は○○を見たというとスムーズです」と書いてありますが、これはそう言ってもらわないとお店から見てそのサイトの集客効果が分からないからです。そこで、お店の電話番号を掲載する代わりにTwilioの電話番号を掲載すると、Twilioのサーバーで通話の記録が全部とれます。また、Twilioの電話番号を「お店の電話番号」として自分の電話帳に登録した顧客がいた場合、その顧客はその後もずっとその番号を使ってお店に電話しますから、どれだけの送客効果があるかを正確に測定できるのです。

このような使い方をしている例としては、ニフティの暮らしづくり代行や製造業向けのマッチングビジネスをしているiPROSがあります。登録されているお店や会社に電話をつなぐのに、Twilioの電話番号を使っています。かかってきた側にもTwilioの電話番号しか見えないので、お互いの電話番号を知らせなくても会話ができる匿名通話が提供できます。

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──匿名通話というのは、よくオークションサイトなどでメールアドレスを相手に教えなくてもメールで連絡がとれるシステムがありますが、あれに近い感じでしょうか。

小出氏:似ているかもしれませんね。メールだと、なんとなく書くのが億劫だったり、ハードルが高いですが、電話なら気軽にかけられるという利点があると思います。airbnbという「うちの空き部屋を宿として貸します」というサービスでは、Twilioで匿名通話を提供していますが、個人で部屋を貸す人にとっては自分の電話番号を知られることなく連絡が取りあえる匿名通話はとてもいいと思います。

──さまざまな可能性がありますが、一方でKDDIのサービスとは競合関係になるのではありませんか。

小出氏:電話のサービスということもあり、それはたまに言われるのですが、違います。当社は、創業から一貫して、「中小事業者のみなさまを当社のサービスを通して支援する」というビジョンがあります。当社はKDDIグループの中でも、中小事業者のみなさまに向けたサービスを担い、BtoBサービスの展開を行っている会社です。Twilioも、APIのコードを開発中のサービスに搭載するだけという簡単さや、わかりやすい料金体系など、中小事業者のみなさまによりご利用いただけるサービス内容になっています。親会社であるKDDIとは競合関係になるとは思っていません。

──中小事業者を支援するということですが、どのようなサービスを提供しているのでしょうか。また、Twilioのローンチ以前から、音声系のサービスは提供していらっしゃったのでしょうか。

小出氏:KDDIウェブコミュニケーションズは、主軸事業として、ホスティングサービス「CPI」を提供しています。また、クラウドサービスとしてCloudCoreを提供しています。現在、売り上げの多くをホスティングとクラウドが占めています。一方で、数年前からウェブサービス事業も進めていて、ドイツで創業され、誰でも簡単にホームページが作成できるサービスJimdoや現在はまだβ版の展開ですが、ストレージサービスのcorabbitなどを提供しています。

また、以前、音声系のサービスとしては、自社開発のboundio(バウンディオ)というサービスを提供していました。仕組みとしてはクラウドでアウトバウンドコール(電話をかける)機能のAPIを提供するもので、私はこのサービスのプロダクトマネージャーを務めていました。

ところが、他社のサービスを調べていると、Twilioという、我々のサービスのイメージする完成形がすでにあることが分かった。2年ほど前だったのですが、その段階でTwilioはアウトバウンド、インバウンド、SMS対応、ショートコード対応もできていて、とても完成度が高いサービスでした。

当時、Twilioの社員は100人前後で、その半分以上が開発者でした。一方、うちのboundioは機能としてはその一部だけで、開発者はわずか数名。既に大差がついているところに開発力でも圧倒的な差があって、これから追いつくことは難しい。だったら一緒にやる方がいいだろう、ということで契約交渉を開始し、この4月からの提供となりました。boundioのプロダクトマネージャーとしてはちょっと複雑な思いはありますが、自分が作ったサービスを立ち上げて、閉めて、新しいものを持ってくるというのはいい経験になったと思います。

──日本でのローンチから間もなく半年になりますが、反響はいかがでしょう。

小出氏:手ごたえは、当初の予想通りです。個人的にはもう少しいってくれてもいいかな?とも思いますが、普通に考えれば順当なところです。多くの会社から引き合いもいただいていて、年末から年初にかけてさまざまなサービスが始まると思います。今年はまだ準備期間で、来年度からサービスを、というお客様もいくつかありますね。

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──10月に、パソナテックと一緒にTwilioを使ったハッカソン・アイデアソンを開催されますが、これはどういったきっかけだったのでしょうか。

小出氏:パソナテックの豊川さんから熱烈なラブコールをいただいたのがきっかけです。私たちももっと技術者の方にTwilioを知っていただきたいという思いがありますから、非常にありがたいお話だなと、共催させていただくことになりました。

▼株式会社パソナテック マーケティング企画部 HR企画グループ 豊川瑠子氏
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豊川瑠子氏(パソナテック):今回のハッカソン・アイデアソンは、パソナテック創立15周年のイベント「TECH FESTA 2013」の一環として開催されます。イベント全体の「エンジニアのボーダレス時代を知る」というテーマの中で、「つながりを通した発見の機会」というのは一つのキーコンセプトになっています。

つながりには、エンジニア同士のつながりや、新しい技術とのつながりなど、さまざまなつながりがあります。パソナテックという会社自体も、この15年間、さまざまな企業やエンジニアの方々とつながって成長してきました。こうしたコンセプトに親和性があるサービスで何かできないかとさがしていて、ウェブと電話をつなぐTwilioはまさにぴったりなサービスだと思いました。

アメリカで注目されているAPIで、かつ、4行のコードで電話機能を実装できる手軽なものですので、エントリー層の、ハッカソンには今まで参加したことがないようなエンジニアの方にも、興味を持って気軽に参加していただけると思います

小出氏:これまでにも、アマゾンやマイクロソフトと共同でさまざまなイベントを開催しています。さまざまな企業の方と、一緒にやれるのはうれしいと思っています。

▼Mashup AwardにもAPIを提供している。小出氏は交流イベントにも参加。(写真提供:KDDIウェブコミュニケーションズ)
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──今回のハッカソン・アイデアソンにはどのようなことを期待されますか。

小出氏:Twilioの使い方は大きく分類すると3つあると思っています。1つめは、既存サービスの置き換え。コールセンターや督促通知のようにレガシーの機器を利用して電話を一斉にかけるような仕組みをクラウドに置き換えるというもの。2つめが、人がやっていることを自動化することで効率化するようなものです。たとえば、先日発売になったiPhone 5sのような、人気があって予約販売するような商品では、販売店に商品が入荷すると、入荷台数に合わせて予約をしていた人に電話をかけて連絡する、という作業が発生します。今までは人力で電話をかけていましたが、在庫とCRMをつないで、入荷数に合わせて予約待ちの人に順番に自動的に電話をしていくといった使い方で、効率的に、間違いなく電話がかけられます。

3つめが、先ほど紹介したUberやairbnbのように、今まではなかった新しい発想で電話を使うものです。ハッカソンやアイデアソンではこれを期待しています。今までになかった新しいアイデアで、世の中を便利に、楽しくするような使い方が出てくるといいなあと思います。

参加者の皆さんには、感動的なサービスのアイデアを出していただき、ゆくゆくはそれをビジネスに結び付けていただけるといいなと思います。でも、一番大事なのは参加者の皆さん自身が楽しんでいただくことです。楽しいハッカソンにしてください。

──ありがとうございました。

10/5のイベント情報はこちらで紹介されている。「エンジニアのボーダレス時代を知る」をテーマに、個性が生かせる働き方を「人のつながり」を通じて発見する機会を提供する。201309241630-4.jpgパソナテック15周年サイトTECH FESTA 2013
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