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広がるニューヨークでの無料公共Wi-Fi

2013.12.24

Updated by Hitoshi Sato on December 24, 2013, 13:39 pm JST

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(cc) image by The All-Nite Images

2013年12月10日、ニューヨークのブルームバーグ市長はニューヨークのハーレム地区の95ブロックをカバーする無料Wi-Fiを2014年5月までに導入することを発表した。第一段として2013年12月までにマンハッタンの110丁目(110th Street)から120丁目(120th Street)までに導入し、2014年5月までに138丁目(138th Street)までをカバーする予定である。同地区に住む約8万人の住民全てと、同地区を訪れるビジネスマンや訪問者が無料でWI-Fiに接続できるようになる。MSD Capital社社長であるグレン・ファーマン氏夫妻が200万ドル(約2億円)寄付したことによって実現する。

ブルームバーグ市長はニューヨークでの公共Wi-Fi設置には非常に積極的で、2013年9月にはブルックリンやマンハッタンなど多くのエリアで公共Wi-Fiの導入を明言している。そのために民間から340万ドル(約3.4億円)、市が90万ドル(約9千万円)の投資を行う。ニューヨークではすでに公園や地下鉄内でも公共Wi-Fiが導入されているが、今回のハーレム地区での無料の公共Wi-Fiはアメリカ最大規模のものになる予定である。他にも2013年1月にはチェルシーにあるGoogle本社周辺で同社が無料Wi-Fiの提供を開始した。

「今回無料Wi-Fiがハーレムで提供されることによって、24時間365日いつでもネットワークに接続することができるようになり、Knicksと Nets(New York KnicksとBrooklyn Netsという人気バスケットボールチーム)の試合結果を確認するように、様々な情報にアクセスすることができるようになる」とブルームバーグ市長は述べた。

ニューヨークは世界最大の都市の1つであり、市域で800万以上の人口がいる。このような大都市において無料で利用できる公共Wi-Fiが普及、浸透していくことは都市圏としての魅力も向上していく。企業やイベントなどの誘致にとってもプラスである。ニューヨーク市観光局によると、2012年にニューヨーク市を訪れた国内外からの観光客が前年比2.1%増の約5,200万人で過去最高を更新した(海外から1,100万人、アメリカ国内が4,100万人)。2012年の経済効果は直接消費の推定額369億ドルを含め553億ドルの推定である。さらに、2015年までに年間5,500万人の観光客誘致と経済効果700億ドルの目標を掲げている。

観光であれビジネスであれ、ニューヨークを訪問して無料で公共Wi-Fiが利用できれば利便性も向上するであろう。特にニューヨークのようにアメリカ国内だけでなく世界中から多くの人が集まる都市では無料でアクセスできる公共Wi-Fiは魅力的である。現在、多くの人がスマートフォン、タブレット、ラップトップを持っている。旅先にも持参している。彼らはいつでもどこでも無料で、簡単にネットワークにアクセスしたいのだ。そのような旅行客や住民のニーズに応えようとしているニューヨーク市の取組みに期待したい。近い将来、ニューヨークのあらゆるところでWi-Fiが接続できる環境が整備されていることだろう。

日本でも訪問した外国人や日本に住んでいる日本人が無料で簡単にアクセスできるWi-Fiが整備されることを期待している。公共Wi-Fiが充実していて、いつでもどこでも簡単にネットワークにアクセスできることが、都市の国際競争力の大きな要因にもなるだろう。そして近い将来、全世界で公共Wi-Fiでネットワークにアクセスすることは、水道をひねれば水が出てきたり、スイッチ入れれば電気がつくのと同じようなものになることだろう。

▼HCZ Press Conference: Harlem To Be America's Largest Free Wifi Zone

【参照情報】
Largest free public Wi-Fi network in US coming to Harlem
New Initiatives to Expand Wireless Access and Broadband Connectivity in NYC

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。