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AT&Tが「データ通信版フリーダイヤル」サービス発表 - ネット中立性で波紋

2014.01.07

Updated by WirelessWire News編集部 on January 7, 2014, 12:52 pm JST

AT&Tが米国時間6日に発表した「Sponsored Data」プログラムという新たな取り組みが、ネットワーク中立性の観点からさっそく波紋を呼んでいるようだ。

「Sponsored Data」は、携帯通信網経由でウェブサービスやアプリを利用するユーザーのモバイルデータ通信料を、サービス提供企業側が代わりに負担できるというもの。AT&Tでは同プログラムについて「フリーダイヤルのデータ通信版」などとし、企業側には自社サービスの利用促進につながり、ユーザーにとってはデータ通信の上限を気にせずそのサービスを利用できるメリットがあるなどと説明している。また同社は「Sponsored Data」のトラフィックを通常のデータトラフィックより優遇することはないと述べているという。

スマートフォンの普及や端末画面の大型化により、携帯端末経由の動画視聴やソーシャルメディア利用が増え続けるなか、データトラフィック急増に対応するための負担増大は各国の通信事業者にとって大きな悩みの種となっている。また米国ではAT&Tとベライゾン・ワイアレス(Verizon Wireless)の大手2社がすでに従量制課金に移行していることから、両社のサービス加入者はデータ通信量を気にしながら各種のウェブサービスを利用する必要も高まっている。AT&Tとしては、新プログラムの提供を通じてこうした問題を解決し、売上増加につなげたい考えとみられる。

しかし、この話題を採り上げたThe Vergeでは、「Sponsored Data」のような取り組みが定着すると携帯通信事業者のインターネット通信に対する影響力が増大することに加え、ウェブ企業各社の間でも体力で劣る新興企業などが不利な立場に立たされる懸念があるなどとして、こうした取り組みを批判している。同媒体では、たとえば動画のストリーミングサービスの場合、データ送信にかかる費用を負担できるサービス提供者にユーザーが流れる可能性が高く、その結果としてネットユーザーの選択の幅が狭まるほか、サービスの利用料金にデータ通信料が上乗せされることで実質的な値上げにつながる可能性もあるなどと指摘している。

それに対してGigaOMでは、「Sponsored Data」のような取り組みによりネットワーク中立性が損なわれるとは一概に言い切れないとの考えを示している。同媒体はその理由として、携帯端末ユーザーにはWi−Fiなど携帯通信網以外の選択肢も存在することや、AT&Tが同プログラムを利用するためのAPIを公開して一部の大企業だけでなく新興企業でもこれを使えるようにしようとしていることなどを挙げている。ただし同媒体では、ネットユーザーに与えられた選択肢が少ない有線ブロードバンドの場合は事情が異なるため、データ通信量の上限設定にも反対としている。

なお、フェイスブック(Facebook)やツィッター(Twitter)といったウェブ企業では、主に新興市場などでユーザーが自社のサービスを無料で利用できるようにするプログラムを提供してきている。

【参照情報】
Sponsored Data: AT&T will now let companies buy out your data charges for specific videos and apps - The Verge
AT&T's Sponsored Data is bad for the internet, the economy, and you - The Verge
In Wireless First, AT&T Says It Is Ready to Offer "Toll-Free" Data - Re/code
AT&T launches "Sponsored Data," inviting content providers to pay consumers' mobile data bills - GigaOM
AT&T's Sponsored Data plan isn't the end of net neutrality but it is a new model for wireless - GigaOM

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