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アバターで高齢者を見守るIBMとカナダの大学病院の「スマートマンション」実験

2011.11.15

Updated by WirelessWire News編集部 on November 15, 2011, 16:30 pm JST

マンションの部屋の中にセンサーを多数取り付けて、高齢者の日常生活を見守る実験がIBMとカナダのアルバータ大学(University of Alberta)によって6月から10月にかけて行われた。脳卒中、骨折、その他のリハビリ入院中の患者6名が合意の上で病院内に作られたマンションの部屋で暮らしながら実験に参加した。

室内にはモーションセンサーや電極センサーが食器戸棚の取っ手、寝室のドアのノブ、マットレス、椅子のクッション、コーヒーポット、照明設備、薬の容器などいたるところに忍ばされている。センサーからのデータはIBMのWebSphere Sensor Eventというアプリケーションが解析する。夜中にあまりに頻繁にトイレに行くとか、決められた時間に薬を服用しているかなどが分かる。例えば、キッチンに行って食器戸棚を開き、閉じて、また開いたりしておきながら、水道やレンジを使わずにキッチンを立ち去るような行動が繰り返されれば、認知症のケアがさらに必要だということも分かるという。

日本でもPHS機能のついた電気ポットやセンサー付きのトイレなどで、独居老人の異常を察知するシステムが商用化されているが、IBMの実験でユニークなのは、アバターを利用する点。センサーが検出するデータから、観察対象の人物の動きをアバターのアニメーションにより仮想的な部屋の中で再現する。医師らは、画面上で患者の動きを目で確認することで、状況がよく分かり、診断の精度を上げることができるという。

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アルバータ大学の設備は、もともと数年前に高齢の入院患者の配偶者などが、退院前に患者と暮らすことで、退院後の生活の不安を取り除くことを目的に建設されたもの。アルバータ大学では、「スマートマンション(Smart Condo)」実験の規模を拡大するために、現在、新しいマンションの建設を進めている。

【参照情報】
IBM Software Aids Research Aimed at Extending Seniors' Independent Living<プレスリリース>
'Smart' suite laced with monitors could help seniors live better
'Smart condo' will monitor, model the elderly
Seniors' Health Tracked By Avatars In WebSphere

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