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勤め人を丁重に扱わない企業は毎日地雷を踏んでいる様なものだ

2014.01.27

Updated by Mayumi Tanimoto on January 27, 2014, 06:56 am UTC

日本では食品への毒物混入が話題になっております。品質管理体制や、内部統制体制などを見直している会社さんも少なくないでしょう。従業員が自らの待遇に不満があったのが動機の一つではないか、という憶測もありますが、この事件の教訓は、どんなに厳しい品質管理や内部統制を実施しても、内部の人間に何かをされたら、企業としては、もうどうしようもないということです。

これは、ワタクシが関わって来た内部統制やITセキュリティの世界でも、しばしば話題に上る事柄です。いくら監視システムを入れようとも、いくらチェックする体制を整えようとも、必ず抜け穴があります。人間というのは機械より遥かに賢いので、必ず抜け穴を探します。

業界の専門家と話していて、毎回たどり着くのは、「どんな体制や罰則を作っても、個人のモラルと、信頼に頼るほかない」ということです。企業は人なり、と松下幸之助先生がおっしゃりましたが、結局、企業というのは人の集った場に過ぎないので、働いてくれる個々の人の良心やモラルを信用する他ないわけです。

さて、働いてくれる人の良心やモラルを破壊する最も簡単な方法はなんでしょうか。それは、働いてくれる人を信用しない事、酷く扱う事であります

使う人も、使われる人も、どちらも人間であります。人間というのは、何でも白黒で割り切れる理論的な存在ではなく、非常に矛盾した存在で、感情という物があります。一生懸命やっているのに犯罪人扱いされたり、長年酷い扱いをされていたら、やはり、なんだか嫌だな、という気分になり、ちょっと何かやってやろうか、という気分になってしまうのは、当然と言えば当然です。

以前、欧州の組織はなぜ従業員を丁重に扱うのかという記事で、なぜ欧州の組織は従業員というのを丁重に扱い、それ相当の報酬を払うのか、ということを書きました。あの人達は歴史的経験により、何が効果的かを知っています。いくら監視体制を作っても、罰則を増やしても、従業員がアンハッピーであれば、企業に対して多大な損害を与える可能性がある、と知っているからです。

それが良くわかっている組織では、重要業務に関わる人は、率先的に社員化したり、社員化できない場合は、マーケットレートかそれ以上の報酬を払います。サービス残業や違法な働き方の強要など問題外です。そして、従業員には丁寧に接し、常に感謝します。日本の様な暴力的な注意や指導は言語道断であります。常に外交的なのです。日本企業の様に、サービス残業や無理な働き方をさせること前提ではないので、人件費は高騰しますが、しかし、その分、リスクを回避する事ができるのです。

高い、コストがかかる、とは、それなりに意味がある事なのです。安かろうは悪かろうです。

安いから、得だからと、人件費をドンドン削り、従業員や協力会社の人をゴミの様に扱い、無理な働き方を従業員に強いている経営者や管理者は、短期的な利益を追い求めることがいかに危ないか、ということ、冷凍ピザを食べながら考えてみると良いかもしれません。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。