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ドケチなユーザーが多い日本では電子書籍の値段はイギリス型になっていくんじゃないか

2014.01.30

Updated by Mayumi Tanimoto on January 30, 2014, 06:20 am UTC

角川のKindle70%出血大サービスセールに関して、書籍業界界隈のからの意見をあまり見かけないわけですが、さて、日本での電子書籍の価格はどんな風になって行くんでしょうか。

電子書籍が日本よりも普及している国の事情をちょっと覗いてみましょう。

まずは、電子書籍の普及が世界で最も進んでいると考えられるアメリカの場合です。
Ten Things You May Not Know About Ebookという記事のデータがなかなか興味深いです。この記事はLuzmeという電子書籍価格比較サイトのデータを参考にして書かれた物です。 

アメリカでは$1-2(約100ー200円)程度の本が売れ筋ですが、$10(約1000円)程度の本も売れています。また、$100(約1万円)を越えるプレミアム本も売れています。価格が $10(約1000円) を越えると販売数がグンと減ります。収益が最も大きいのは $9〜$10(約900円〜1000円) の本です。また、アメリカは定期購読を提供する会社が多く、電子書籍の定期購読ユーザーも少なくありません。

ところが、これがイギリスとなると状況が激変します。イギリスも電子書籍では日本よりも先行していますが、最も多く売れた電子書籍は£1 (約170円)かそれ以下であり、特に人気があるのが99ペンス(約168円)の本です。£5(約850円)を越えると殆ど売れなくなります。また、収益に関しても同じで、最も収益が大きいのは£1 (約170円)かそれ以下の本です。高価なプレミアム本も売れません。また、イギリスでは電子書籍の定期購読は流行っていません。また、電子書籍に関しては、Amazonだけではなく、スーパーも参入していて、価格競争が激しいため、激安セールが少なくありません。なお、イギリスのスーパーは紙の書籍も扱っており、しばしば激安セールをやっています。

また、イギリス通信庁(Ofcom)の実施した調査結果も興味深いです。 81%の調査対象者は、一冊の電子書籍に対して£2 (約340円)までなら払えると回答していますが、£10(約1700円)払うと答えたのはたった9% です。払えると答えた値段の上限は£3.74(約634円)でした。また、電子書籍の月額定期購読料金として払える値段は£3.40 (約578円)と、電子書籍一冊の値段よりも低くなります。

ワタクシはイギリスにおりますので、この結果を見て「ああ、やっぱり」と思いました。イギリス国民の消費の仕方や考え方はアメリカ人とかなり違います。イギリスは、一般的にドケチな人が多く、身も蓋もないお金の話が大好きで、お金を稼ぐのは好きですが、使うのは嫌いです。ただし、働くのも嫌いです。最近大流行りの店は£1ショップです。日常会話では、いくら値切った、いくら得したというセコイ話ばかりで、「俺は超労働してこんな凄い車を買った!!!ヒャッハー!!!」と楽しそうに自慢するアメリカ人とは大違いです。

イギリスではお金がある人でもボロ車に乗っていたり、歯が真っ黄色でガタガタだったり、靴下に穴があいていたりします。でもオランダ人には負けると言っています。そして、歯を矯正しないのです。それは田舎に住んでいるアメリカ人の大好きな活動なので、矯正してしまうと、アメリカ人に間違われるからです。

日本は、ネットリした人間関係を重視し、わりと見栄っ張りな人が多いです。服や髪型や化粧品やガジェットなど目に見えるものにはお金は使っても、サービスやデータにはお金を出したがらない人が多い気がします。この辺は、服とか見た目に命をかけている南欧に似ておりますね。イギリス人ほどお金の話はしませんが、割引とか、セールとか、クーポンとかポイントとか好きで、結構セコい人が多いわけです。そもそも、従業員にサービス残業などの無償労働をさせたり、お店の人に値段以上のサービスを強要したりするので、イギリス人よりもドケチかもしれません。

日本の電子書籍の価格が、アメリカ型になっていくのか、イギリス型になっていくのか、それとも全く違う形になって行くのかはわかりませんが、角川セールでのユーザーのコメントをみる限り、個人的にはドケチが多いイギリス型に近くなっていくんじゃないかな、と感じています。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。